はぎわら_m の部屋
社会・時事批評、オピニオン、初等物理の気まぐれ考究、物理教育放談

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北朝鮮が地下核実験に成功したと発表した。これに起因すると思われる地震波が観測されたそうだが、爆発のエネルギー規模等に関連して、いろいろの憶測が出ているようだ。
神戸新聞の報道
北朝鮮核実験:爆発、小規模か 専門家「失敗」分析も-アジア:MSN毎日インタラクティブ
CNN.com - U.S. calls for sanctions against North Korea - Oct 9, 2006
Technobahn - 軍事技術: 北朝鮮の核実験、米核実験の専門家が分析「実験は失敗した可能性が高い」
(10/17 リンク切れのため引用サイト変更・追加)
政治記事本文:AOLニュース
放射性物質検出できず CTBT機構の観測網(共同通信) - goo ニュース
(10/23 上の2サイト追加)

既に、北朝鮮は、2001年1月にNPTを脱退し、2005年2月には核兵器を保有したことを宣言していた(北朝鮮核保有を宣言 日米の態度非難 [CHUNICHI WEB PRESS])わけだから、予想された(悪しき)ロードマップをひたひた進むことを、国際社会が許してしまったという印象だ。


さて、非難だ制裁だと慌しいが、日本のとるべき態度は次の2つであると思う。

一つは、科学的情報収集能力の高度化だ。核実験の分析を米・ロ・中・韓から出た情報に頼るしかないというようなだらしの無いことは、今後は許されないだろう。人工衛星による観測、大気中の放射性元素分析、地震波分析、およびそれらに基づく核爆発の推定技術については、東アジア地区での圧倒的レベルを獲得し保たなくてなくてはならない。ただし、自衛軍事的動きはこれだけでよい。北朝鮮の出来そこない臭い原子爆弾などをはるかに凌ぐ質・量の核兵器が、ロシアにもアメリカにも中国にもある。今さら、へなちょこ原爆が一つ増えたからと言って、うろたえるような状況ではない。

最重要なのは、二番目の決然とした行動、すなわち「核軍縮」の動きを全力で訴えることなのだ。そして、北朝鮮(および他の核実験を推進している国)は、この世界的動きに逆行する、狂った方向に進む国であることを、世界にアピールし、この論調を世界のスタンダードにしてしまうことなのだ。

米・中・北鮮などだけを見ていると、「核軍縮」はとっくに頓挫した過去の概念のように見えるかも知れない。しかし読者諸氏は、2005年9月にはレバノンが、今年3月にはベトナムが、今年8月にはエチオピアが、新たに包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准するに至ったという動きをご存知だろうか(CTBT署名・批准状況/外務省CTBT批准国推移等)。一部の国を除いて、核軍縮は着実に進んでいる。

この条約は、地下や宇宙空間を含むあらゆる場所での核実験を禁止する包括的核実験禁止条約で、発効要件国44ヵ国中、34ヵ国が現時点で批准している。しかし残りの10ヵ国が批准していないために、発効に至っていない。このトンデモ国家10ヵ国を以下に掲げてみよう。

〔CTBT発行要件国中の未署名・未批准国〕
中国、コロンビア、北朝鮮、エジプト、インド、インドネシア、
イラン、イスラエル、パキスタン、アメリカ合衆国



北朝鮮の核実験は、明らかに、こうした人類の到達した見識を否定する愚かな行為である。そして、中国も、アメリカも、イスラエルも、愚かな国である。

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CTBT (Comprehensive Nuclear Test Ban Treaty) について
包括的核実験禁止条約(CTBT)/日本原子力研究開発機構


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