はぎわら_m の部屋
社会・時事批評、オピニオン、初等物理の気まぐれ考究、物理教育放談

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先に、Newton力学における力の意味づけを考えるための例として、バネの先につけた重りの等速円運動を例に上げた。しかし、釈然としないものが残る人も少なくないだろう。そして、この釈然としない疑問の構造こそが、大事な次のステップにつながる、、ので、もう少しだけ言及しておく。

重りには、バネの弾性エネルギーを起源とする、進路を回転中心側に曲げるような、回転中心を原点としたときの位置ベクトルと反対向きの力(しばしば向心力と呼ばれる)が作用している旨の話をした。

しかし、バネが自然長より引き伸ばされているのは、正に現実そのものである。この効果(しばしば遠心力と呼ばれる)は、決して仮想的なものでも、見かけのものでもない。中心から外に向かう力を考えるな、、というのは、あまりにも不自然でとても納得できない、、、

-この感覚は真っ当である。しかし、ここで、何に作用する力であるかを明確にすべきという、前回の方針を思い出す必要がある。このことに注意して、バネに作用する力の情況を考えてみよう。

バネにつながった重りは、バネの外端点を介して向心力を受ける。このとき、バネという系の外端点は、重りから、向心力と大きさは等しく逆向きの反作用を受ける。すなわち、バネは、重りに慣性運動から外れた運動を強いている束縛要素系であって、この束縛要素系としてのバネには、束縛力の反作用が作用するのである。そして、さらに、バネ系の中心端は、バネを中心につなぎ止めておくための束縛力を、固定回転中心より受けている(この力は、重りが受ける向心力と等しい)。対して、固定回転中心(大地)には、バネに対する束縛力の反作用が作用することになる。

ここに、バネ系に作用する力を総合すると、重りがつながるところに作用する中心から外に向かう力、および、回転中心定点につながる部分に作用する、先の力とは逆向きの力であり、これら両者の力が釣り合った状態にあることが理解される。ただし、バネは、大きさと内部構造をもつ系であるから、両端に作用する逆向きの力は、単に相殺されるのではなく、引き伸ばし応力の効果をもたらすのである。これが、バネが伸びていることの理由である。(初めにどうやって延ばすかは、別途考える必要があるが、、)

(実は、バネを構成するいたる所の質点要素に対して、そこに作用する力を考えることができるが、バネ全体を系と見るときには、内力を考慮から外すことになる、という事情がある.)

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以上の話は、回転座標系(非慣性系)を一切使わずに進めたことに注意してほしい。回転座標系の「見かけの力」の問題と、我々が目にする遠心力の効果の問題は、区別して考えないと混乱を招くという はぎわら_m の警鐘である。

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