ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

グーグルが日本を破壊する / 竹内一正

2008年04月23日 | 読書
いま何が変わろうとしているのか―。どうやら(NHKも含めて)TV業界は何かおかしいらしい、新聞社は本当に危機的状態らしい、iTunesがあるからラジオはきかない、YouTubeやニコ動ばかり見ている気がする…一般の人にとっても何となく「メディア」が変わりつつあることに気付いているのではないだろうか。ここに書かれていることは「暴論」ではない。インターネットが、googleがもたらした/そうとしている「現実」が書かれている。ネットの世界にいる人間、メディアと呼ばれる世界とかかわりがある人間が直面している問題群をコンパクトにまとめた一冊。



ベースになる問題としては、

1)「検索」という行為に伴う「公共性」と「権力」の問題
2)googleの広告配信の仕組みがもたらしすメディアのビジネスモデルの解体と再構築
3)PCからネットの「あちら側」への資源(リソース)の再分配

と、そしてgoogleがこれらの問題全てにおいて優位に立ってしまうことへの危機感だろう。

1)の問題は、人がインターネットを通じて「情報」にアクセスしようとする際に、現時点では「検索」を使わざろうえないことに起因する(もちろんRSSやRIAなどが台頭してる理由もここにあるわけだが)。

その際に「グーグル八分」といわれるような事象、果たして私的企業の私的なプログラムによって情報へのアクセス路(表示順位)を決定させるのが適切なのか、ここに発生する「権力」をどのようにコントロールするのか、「検閲」といった行為がgoogleの判断や国家権力とgoogleが結びついた時、どのように監視すべきなのか、という問題がある。

このあたりは第一章~第2章あたりにかかわる問題だ。

2)の問題については、基本的には、クライアントとメディアが直接結びつく仕組み、明確にメディアを通じて得られる効果がわかる仕組みをgoogleが用意したことが問題の起点となる。

これによって、(こと日本について言えば)広告の効果が明確になり、そうして広告代理店の存在の意義を問いかけることになり、はたして彼らが必要なのかを問いかけることになったのだ。ここでいう彼らとは何も広告代理店だけではない、テレビ局やラジオ、新聞社など既存のメディア自身の存在意義を問いかけたといっても過言ではないだろう。もう少し正確に言おう、「彼らのどの部分が必要なのか」が問われているのだ。

第3章から第6章までは、googleが提示した、クライアントが条件に応じて入札するという「自己責任」モデルがもたらすこれまでのメディアのビジネスモデルに対する挑戦についての記述になる。

7章(と5章)については、OSとオフィス系ソフトを握っていたマイクロソフトに対するgoogleの挑戦が中心となる。このときのキーとなるのが3)でも書いた、「PCからネットの「あちら側」への資源(リソース)の再分配」の問題である。

インターネットへの定額常時接続とPCのスペックの向上、ユビキタス環境の整備によって、固定のPCでの作業することが限界にきつつある。そうなるとネットの向こう側にあらゆるリソースを置いて、ネット経由で作業した方が効率的ではないか、という議論がでてくる。それを具体的に実現したのが、google doc関連の話だ。

しかしこの著書でも記載があるとおり、必ずしも理解が得られるわけではない。当たり前だ。例えば社内秘の資料をgoogleのサーバにのせるか、著作権にうるさい資料を他者サーバで共有するか、といわれればなかなかOKといえないだろう。

そうした前提を踏まえつつ、MSとgoogleの死闘をどう理解するかというのは大事な問題だろう。

で、最後の8章は、こうした大きな流れの中で、googleではなく、日本の技術がどこまで通用するのか、という問題について書かれたものだ。

まず「検索」ということを考えれば、googleが「最適解」ではない。人間が不条理な存在である限り、「あ、うん」の呼吸で通じることこそ求められるのだ。そうしたものを実現するために、日本語、あるいは日本分化の固有性をどう解釈するか、シマンテック的なアプローチがどれだけ効果的か、というのは今後の方向性という意味では重要だろう。「なづき」がどこまで効果的かはわからない。しかし一方で「日本語」という固有の文化を踏まえた上での成果であれば、ある意味、「ガラパゴス化」であるし、「なづき」に効果を求めるか、「google」に慣れるかというのはまた別次元の問題として、大きな課題となるのだろう。

いずれにしろ、現代のメディアが直面している問題群を把握したいと考えている人にはお奨めの著作だ。
以下は、各章について、僕が直面していた問題のメモ。まぁ、この著作の問題群の大枠は網羅しているのではないかと思うので、この本を読んだ人は合わせて読んでもらえばいいのではないかと思う。


第1章 google VS プライバシー

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか / 梅田望夫:Web2.0時代の経典を読む

「つながり・同期・メタデータ」東浩紀が捉えたネット社会

第2章 google像 VS googleの現実

googleもただの商業主義にすぎないのか?!

第3章 google VS テレビ

広告業界という《旧体制》の崩壊

第4章 google VS CM業界

「電通買収」とインターネット広告のあり方

googleのラジオ広告が実現する新しい世界

第5章 google VS 携帯電話

google携帯プラットフォーム「Android」は何を目指すのか

第6章 google VS 新聞

googleニュースと「他人のふんどし」
googleニュースが「β」を捨てる日
iPodが「アルバム」のあり方を変える!

第7章 google VS マイクロソフト

マイクロソフト、Yahoo!買収が「お得」になるために必要なこととは

第8章 google VS 次世代

検索エンジンに求められる「あ・うん」の呼吸-gooラボを巡る冒険

Yahooが消滅する日――「グーグル革命」の進展

BTA広告がもたらすYahoo!のmixi化

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グーグルが日本を破壊する (PHP新書 518): 竹内 一正


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