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文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

半七捕物帳 14 山祝いの夜

2021-08-09 08:10:34 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 

 タイトルにある山祝いというのは、昔あった風習で、難所となる山を越したときなどにする祝いのことだ。現代のように交通が発達した時代なら、いちいち山を越えたくらいで祝うことはないだろうが、江戸時代はまだ交通が発達していなかった。基本は歩くことだった時代に、無事に山を越えたことは、それだけでも祝う理由になったのだろう。

 この話では、半七親分は江戸を飛び出し箱根に向かう。同心の妻が産後の湯治をしているのを見舞うためだ。途中の小田原宿のこと、連れの多吉と言う子分が、七蔵という男に泣きつかれる。

 七蔵が使えている主人の小森市之助が、自分を手打ちにして、切腹するというのだ。いきさつはこうだ。道楽者の七蔵は喜三郎という男と一つ前の三島宿で知り合う。三島宿と小田原宿の間に箱根の関所があったが、喜三郎は、通行手形を持っていない。そこで、小森の臨時の家来にして関所を越えさせてくれというのだ。

 本書によれば、当時はそのような行為は大目に見られていたようだ。何もなければ特に咎められることもない。ところが、この喜三郎と言うのはとんでもない男だった。その正体は盗賊。一行の泊っている旅籠屋の客二人を殺して、どこかに逃げてしまった。このままでは、表向きの詮議となり、市之助にも責任がかかる。そこで、手打ち、切腹と言う話になってくるのである。

 半七捕物帳というのは、前半はホラー風味の味付けがされていることが多いが、この話にはホラー要素は見られない。七蔵も小悪党だったので、結局は市之助に手打ちにされ、悪いことはみんなかぶせられている。その知恵を貸したのが半七親分である。そう、半七親分は、ミステリーによく出てくるような四角四面の石頭ではない。このような臨機応変ぶりも半七親分の魅力だろう。

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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孔雀王~戦国転生~4、5

2021-08-07 10:00:30 | 書評:その他

 

 

 

 この作品は、2019年に亡くなられた荻野真さんの描く孔雀王世界の一つだ。大きな孔雀王世界から切り出した一つのストーリーだと考えるといいと思う。

 この作品と、孔雀の少年時代を描いた「孔雀王ライジング」(ただし、パラレルワールドの孔雀のようだが)の2本を、亡くなる当時連載していた。そして両作品とも、病床でどちらも完結させており、そのプロ根性には頭が下がる。

 さて、この作品では中年孔雀が、戦国時代に行って大暴れする。なにしろ出てくる戦国武将がみんなキモイ妖怪なのである。敵役のキモさには、よくこんなキャラを考えられるものだと感心する。

 孔雀が戦国時代に行ったのは、最愛の阿修羅を取り戻すためだ。阿修羅は、大呪により、戦国時代に流され、体を奪われ、魂は阿修羅像の中に封印された。そして、織田信長は、阿修羅(体のみ)の子なのである。

 本書を読むと、色々なパロディが出てくるのに気づく。どれも笑ってしまうが、特に一向宗の本尊であるいっこう阿弥陀には捧腹絶倒だ。どうみても「どんだけ~」の人だろう。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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任侠転生-異世界のヤクザ姫- (2)

2021-08-05 09:00:26 | 書評:その他

 

 背中に吉祥天の彫り物を持ち、「暴れ吉祥」と二つ名を持つ、新宿の龍と呼ばれた、昔気質の老ヤクザ。兄弟分の裏切りにより、命を落としたと思いきや、何と異世界の王女、サナリア・リュー・ルンドブルグとして転生し、異世界で大暴れするというもの。

 このお姫様、見かけは可愛いのに、完全な武闘派。行く先々で肉体言語で語り合う。そして一人称は「オレ」。お姫様なのに、「オレ」。そして、どんどん舎弟が増えていく。

 この巻では、上級悪魔(アークデーモン)も登場し、このお姫様、そいつとも肉体言語で語り合っている。まさに向かうところ敵なし。

 しかし、可愛らしい女の子に生まれ変わったのなら、あんなことやこんなこと、いろいろ試してみてもいいと思うのだが、前巻で付いていない(何が?)ことを確認した位で、他には特別なシーンはみられない。

 この見かけは可愛らしいお姫様だが、やっていることは老ヤクザそのもの、そのギャップがなんとも面白いのだ。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

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薔薇のなかの蛇

2021-08-03 22:35:53 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 「麦の海に沈む果実」、「黄昏の百合の骨」に続く「理瀬」シリーズの第3弾。何と17年ぶりの「理瀬」シリーズである。前二作は国内が舞台だったが。この作品では理瀬は日本を飛び出し、英国に留学している。次のような記述があることから、ケンブリッジ大学に留学しているものと思われる。

「彼女、一緒に来たの。あたしの友達よ。彼女は美術史を研究してるの」(p37)
「はい、ケンブリッジのダウアー教授のところで」(p43)



 この作品では、理瀬は友人のアリスから、「ブラックローズハウス」で開催されたパーティに招待される。ところが次々に起こる不可思議な事件。そして、一族に伝わるという「聖杯」。いったい、この館には、どんな秘密が眠っているのか。

 どこかミステリアスな雰囲気のある「理瀬」ファンは多いと思われる。ただ、理瀬は、最初の頃から出てくるのだが、登場人物のひとりのような観があり、あまり話の中心になっている気がしない。しかし、ブラックローズとは日本の家紋の裏桔梗のことではないかと指摘するなど、時折彼女らしい場面はあった。そして、最後はいかにも「理瀬」シリーズらしい終わり方だったと思う。もっとも、尻切れトンボ的な感じもあり、そう遠くないうちに恩田さんは続編を書くつもりなのだろうかと思ってしまう。ここは、あくまでも私の受けた感じなので、必ずしも恩田さんの考えと同じだとは限らないということを強調しておこう。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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空手バカ異世界 1

2021-08-01 16:13:06 | 書評:その他

 

 

 なんだか、どこかで聞いたようなタイトルなのはさておき、この作品は、実戦空手を追求する主人公が、暴走する4tトラックに轢かれて異世界に転移し、空手を使って大暴れするというものである。

 そもそも4tトラックに轢かれたいきさつが、少女を助けようとして、空手で立ち向かったからだ。

俺は4tトラックに負けたんだなー(p9)



いや、普通負けますって。しかし、異世界に転移してからの主人公は、向かうところ敵なし。ミノタウルスを倒し、1国の軍隊を相手にし、果てはワイバーンまで倒しちゃう。

 彼がたまたまミノタウルスから助けた形になった、この国の第8王女ウィルマ姫に懐かれ、王様とも仲良くなる。

 異世界転生ものや転位ものは、女神さまからチート能力を授かるというのが定番だが、主人公は自分には空手があるからそんなものいらないと断る。人外の魔物が跋扈する異世界。果たして主人公は空手だけでどこまで行くのか。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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