みなさんは、E=mc^2という数式をご存じだろうか。アインシュタインの特殊相対性理論から導かれる質量とエネルギーが等価であることを主張する数式である。あのホーキング博士も、「ホーキング、宇宙を語る」(早川書房)の中で、数式を一つ入れるたびに本の売れ行きが半減すると教えてくれた人があるが、この式だけは入れたという趣旨のことを書いていた(同書p6)。
本書の目的は、次のように書かれている。
「本書は、物理学の詳しい知識を持たない人を前提に、初歩の初歩から「E=mc^2のからくり」を解き明かしていきます。」(p6)
この本に書かれていることを列挙すれば、ニュートン力学、エネルギー保存則、電磁力、4つの力、E=mc^2そして真空のエネルギーなど。基本的には数式を使わずに(もちろんE=mc^2は使われているが)、これらについて説明されている。
物理学の詳しい知識を持たない人は、このような本に書かれていることを読むだけでも相対性理論や量子力学の基礎的な概念は分かるだろう。ただ物理学の知識がある程度ある人には、数式を使わないというのは、却って分かりにくいかもしれない。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。