本書は、伯爵令嬢(父親が公爵家の後継者だが、まだ当主ではなく現在伯爵のため今は伯爵令嬢だが、未来の公爵令嬢はほぼ確定)のクリスティが様々な難事件に挑むというもの。時代は19世紀のビクトリア朝で、母方の伯父があの有名なシャーロック・ホームズという設定である。だからモチーフになっているのはシャーロックホームズの事件。もちろんあちらの方にはクリスティというキャラは出てこないので、くまでモチーフに使っているというだけだ。その血のせいか、クリスティは利発な少女で、なにかにつけ事件に首をつっこむところがある。
デビューが少女漫画雑誌の「りぼん」ということもあり、絵柄からは女性漫画家のようだが、男性漫画家であるが、クリスティの美幼女ぶりにはやられる人も結構多いと思う。実は私は新谷さんの作品に結構ハマっているのだが、最近はお歳のせいか新作を眼にしないので、若干寂しい思いをしている。
さて、本作で謎解きをするのは次の2編。高利貸しの女性が殺された事件と有名なカナリアトレーナーに関する事件。最初の事件ではクリスティは初めてサーカスを見にいき感動している。夜の部も観たいというクリスティに、メイドのノーラはやめた方がいいと言う。その理由は、連続して観ると感動が薄くなりアラばっかり目に入るので、こういった現実ばなれしたイベントは年に1回くらい観るのがいいというということらしい。クリスティはこれに対して「信じられない。ノーラが哲学者に見える」という反応。なにしろノーラは、今はクリスティのメイドをしているが、その前は浮浪児でガサツな性格の鞭使いなのだ。
もう一つの話は、カナリア専門店に関する話だ。実はその専門店は犯罪の温床となっている。これを解き明かすのがホームズとクリスティというわけだ。
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