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ケルト 再生の思想――ハロウィンからの生命循環: ハロウィンからの生命循環 (ちくま新書) |
鶴岡 真弓 | |
筑摩書房 |
ケルト文化には四つの季節祭がある。冬のついたちサウィン、春のついたちインボルク、夏のついたちベルティネ、秋のついたちルーナサ/ラマスである。そしてこれらが毎年循環していく。本書はこれらについて解説したものだ。
最近わが国でもよく耳にするハロウィンはケルト文化のサウィンが起源だという。これは冬のついたちであると同時にそして1年の始まりでもある。この日を境に、世界は「光の半年」から「闇の半年」に入る。
ハロウィンの夜には、先祖や親しかった死者がよみがえり、それらを供養するという。日本で言えば、お盆のようなものか。この供養を怠ると、霊たちの怒りを買い邪悪なことが起こるという。これが「トリック・オア・トリート」ということである。
決して、ハロウィンとは暴れたいだけのバカ者が、渋谷で大暴れするような日ではないのである。本書を読めば、そのルーツがよく分かるが、一般の読者にとっては、ケルト神話はあまり馴染みがないだろう。巻末にでも、ケルト神話の概略や神々について簡単に纏めたものがあればより本書を理解できただろうと思う。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。