内部監査人室―内部監査人のための実践読本 | |
阿久沢 栄夫 | |
文芸社 |
本書は、近年注目を浴びている内部監査について一冊に纏めたものだ。実は私も会社に勤めていた頃、内部監査部門に所属していた時期が長く、配属されたときは大いに参考にしたものだ。
内部監査と、公認会計士監査、監査役監査の3つを合わせて3様監査というが、内部監査は他の二つのように法令により直接根拠づけられている訳ではない。内部監査は任意監査なのだ。ただ。会社法には、取締役会に対して内部統制システムの整備を義務付けているので、間接的には法律に根拠を持っているといえよう。
ただし、任意監査なので、必ずこうしなければいけないというものはない。一般社団法人日本内部監査協会というものがあり、CIAなどの監査人資格はあるものの、別に絶対に持っておかないといけないというものはない。
本書は、内部監査の流れは理解できるが、読者はこれを絶対視しない方がいいと思う。一つの例としてみた方がいいだおう。おそらく会社ごとに細かいところが異なってくるのではないか。私にしても細かいところには異論がある。
はじめて内部監査部門に配属になったような人は、業務の全体像を知るにはいいだろう。そして内部監査に対するフレームワークを身に着けるのにも。
☆☆☆
※初出は、「風竜胆の書評」です。