2049 日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生 (集英社ビジネス書) | |
高城剛 | |
集英社 |
本書の内容を一言で言えば、未来予測の書である。著者は日本がEUに加盟することを、予測している。日本がEUに加盟したら、最大の人口を有する国となり、EU大統領を出すことも夢ではないというのだ。日本が加盟したらEU(European Union)じゃないやんというツッコミがまず頭に浮かぶ。著者は、これに対してGU(Grobal Union)という概念を提示しているのだが、EをEropeでなくEurasiaととらえれば、EUでもいいのか。
著者はインドの潜在能力に注目しているが、私も賛成だ。インドは対日感情も良いと聞く。人口も多い大国だ。我が国が置かれている現状を考えると、インドとの関係を重視するのは理にかなっているだろう。ただ、インドは巨大なカオスなので、派遣国の座につくことにはならないと著者は見ている。
一つ気になることがある。本書にはAmazonGOの話が出てくる。AmazonGOとは無人コンビニのことである。入場時に、ゲートにスマホをかざしさえすれば、会計の必要もなく、代金が自動的に口座から引き落とされる。客もレジで待たずに済み、店もコストを減らせる。一見すれば、バラ色の未来だが、実は、ものすごい危険性を含んでいるのだ。本書ではその危険性に対して、次のように警告している。
「今後、無人化の象徴になるだろうAmazonGOが、米国内陸部で焼き討ちに遭うかもしれない。同じ未来でも、人によってはバラ色に見えるとは限らないのだ。」(p55)
これは、コンビニのお客は誰かを考えると、分かるのではないか。お客は、働いて得る給料を買い物の原資としている。もし、無人の店舗が増えると、人が買い物のための原資を得る場所がなくなる。つまり、無人コンビニを展開するというのは、自分で自分の首を絞めるのに等しいだろう。
ただHUMAN3.0というのはどうなんだろう。これは、身体や脳をカスタム化し、パーツを入れ替えて寿命を延ばして、ホモ・サピエンスの能力を拡張したものだが、身体はともかく脳はどうかなと思う。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。