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文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:とろける鉄工所(2)

2016-12-29 08:57:13 | 書評:その他
とろける鉄工所(2) (イブニングコミックス)
クリエーター情報なし
講談社

・野村宗弘

 広島出身の作者が、広島弁で描いた「溶接工あるある」マンガの第2弾。舞台は、「のろ鉄工」という広島のどこかにあるという小さな鉄工所。そこで働く溶接工たちの悲喜こもごもをユーモラスに描いたものだ。

 鉄工所の仕事は厳しい。まさに3K職場の典型。夏は風が溶接の大敵ということで窓が開けられないため、溶接の熱も加わった灼熱地獄。また、アーク溶接では床が金属でないと電気が通らないということで、鉄板が敷き詰められているので、冬は酷寒地獄だ。

 労働時間も半端じゃない。主人公の北さんが、上下それぞれ3着の作業着を、1週間にどうローテーションするかという表が載っているが、きっちり土曜日まで入っている。というのは土曜日は出勤日ということだろう。その他、休日出勤が入れば日曜日も仕事だ。

 「のろ鉄工」がこんなに忙しいのも、社長が納期も考えずに仕事を取ってくるからだが、かと言って極悪だという訳でもない。仕事を取ってくるのは、皆物入りだろうからという思いがあるし、年一回は、皆で社員旅行に行ったりもしている。

 工場の責任者のような小島さんの娘の美少女高校生のさと子ちゃんは、毎年この社員旅行に参加するのを楽しみにしているようだし、小学生の頃には社長夫婦からランドセルも買ってもらったらしい。

 ちなみに、今回の社員旅行の行先は、北海道の小樽と函館。私が北海道で行ったことのある数少ない地でもあるので、なんだか懐かしい。

 登場人物たちの笑いとペーソスに溢れた物語は、とても面白いが、でもこれ傍で観ているということもあるんだろうな。自分がこの立場になるのはちょっといやだ(笑)。

 ところで、1巻では、欄外で思い切りやりたい放題していた編集担当者のK添嬢。この巻では「お嬢様担当編集の紙ブログ」というのが何ページかあるだけ。あれが面白かったのに、少し残念だ。

☆☆☆☆

※本記事は、「風竜胆の書評」に掲載したものです。
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