文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

竹原4(西芳寺普明閣)(見学会バス旅行6)

2016-01-27 15:00:00 | 旅行:広島県
西芳寺山門


西芳寺本堂


 竹原散策で次に訪れたのは竹原観光のメインイベントともいえる西芳寺。浄土宗の寺だ。もともとこの地には禅寺の妙法寺があったのだが、火災で焼失したために、その跡地に、別の場所にあった西芳寺が移ってきたらしい。そのとき西芳寺も禅宗から浄土宗に改宗したという。


普明閣


 そしてこれが有名な普明閣。竹原の観光案内には必ず乗っている建物だ。これを見て何かを連想しないだろうか。京都の清水寺を連想したら「正解!」。規模的にはかなり違うが、清水の舞台を模して建てられたようだ。ここは、正式には大悲閣といい、西芳寺の観音堂である。祀られているのは、県重要文化財の十一面観音だそうだ。


普明閣から見た竹原の街並み


 西芳寺は高台にあるが、この普明閣はさらにもう一段高いところにあるので、ここからの竹原の眺めはすばらしい。竹原に来たら忘れずに訪れるべき場所だろう。


○関連過去記事
竹原3:竹鶴酒造(見学会バス旅行5)
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書評:城崎殺人事件

2016-01-27 06:25:01 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
城崎殺人事件 (角川文庫)
クリエーター情報なし
角川書店


 城崎は言わずと知れた温泉の街だ。この温泉の特徴は、外湯がメインだということで、7つの外湯巡りはこの街を訪れる人たちの大きな楽しみとなっている。またこの地は、「城の崎にて」を執筆した志賀直哉を始め多くの文人たちが訪れたことでも知られる「文学の街」でもあるのだ。

 本作「城崎殺人事件」は、内田康夫氏による旅情ミステリー「浅見光彦シリーズ」の一冊である。今回光彦が城崎を訪れたのは、母親の雪江未亡人が志賀直哉を読んで城崎に行くと言い出したので、そのお供を仰せつかったからだ。だから今回は、いつものように光彦の愛車ソアラでの移動ではなく、雪江未亡人とJRでフルムーン旅行となっている。

 「旅と歴史」の藤田「副」編集長から、旅のついでにと仕事を頼まれるのもいつもの通り。この地に伝わる「土蜘蛛伝説」を取材して記事を書けというのである。この時期藤田はまだ編集長に出世はしていなかったようだ。

 ところが現地に着いてみると、曰く付きの幽霊ビルで人が3人も死んだという。光彦が雪江の顰蹙を買いながらも、いつものビョーキで事件に首を突っ込んでいき容疑者扱いされるというのはもう定型パターン。

 ところでこのビルでの死者3人のうちの2人までが保全投資協会の関係者だった。保全投資協会というのは、多くの人々から大金をだまし取っていた詐欺グループで、かって「漂泊の楽人」という作品において光彦が壊滅に追い込んだ団体である。つまりこの作品は、「漂泊の楽人」の続編と言えるような作品で、保全投資協会との因縁が大きく関わっているのだ。

 光彦が借りたレンタカーのブレーキが何者かに細工され、雪江共々あわやということになってしまう。浅見陽一郎刑事局長殿の御威光も、雪江が言うほどこの城崎の地までは行き届いていないのか、光彦が陽一郎の弟、雪江はその母親だと分かっても、地元警察の動きはいつもより悪いようだ。おまけに逮捕こそされなかったものの、光彦はずっと容疑者扱いのままである。

 ところで土蜘蛛とは、朝廷がまつろわぬ民を貶めて呼んだ言葉だ。本作ではこの土蜘蛛と「アメノヒボコ」族の関係が語られている。この辺りは高田崇史のQEDの世界を少し連想させるのだが、あくまでもこの作品は旅情ミステリー。古代史の謎に深入りしすぎることも、薀蓄を語り過ぎることもない。作中では、光彦たちが、かって志賀直哉が滞在した旅館に泊まったり、出石そばや出石焼の店を訪れたりと、旅情ミステリーらしさを意識した作りになっているのである。 土蜘蛛伝説の方も、旅情を盛り上げるための材料の一つだと考えた方が良いだろう。

 このシリーズは、ヒロインと光彦の絡みも読みどころの一つなのだが、今回はヒロインの要件を満たしている女性が見当たらない。光彦が心惹かれる若く美しい女性は一応登場はしているのだが、二人で事件を調べるというようなこともなく何度か話をしてそれで終わり。おまけにその女性は出石焼作家の娘だったものだから、光彦は30万円もする壺を見栄で買ってしまうという体たらく。いっしょに行動していることが多いのは母親の雪江未亡人だったのだが、もしかすると本作のヒロインは彼女だということなのか。そうだとしたら、このシリーズの最高齢ヒロインとなるのだが。いや、さすがにそれはないか(笑)。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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