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「風の陰陽師」一 きつね童子 三田村信行 ポプラ社

2015-05-26 | 読書


本棚に岡崎玲子絵、夢枕獏原作の「陰陽師」13巻がある。夢中になって読んでから10年近くになる。その間映画化されたものも見た。妖しのはびこる平安京が舞台で漫画は分かりやすいと思ったが、巻が進むにつれて文字が増えて内容も難解になった。これでは原作を読むなんてムリだろうと思ってそのままになっていた。

「風の陰陽師」と言うものが出ていると知った。図書館に行くと「児童書だから読みやすいですよ」ということで安心して二冊借りてきた。

(一)は清明の誕生から、都に戻り中納言に仕えるまでの話

父安部の保名と葛の葉の間に生まれた清明は、信太の森にいる母に会いに行く。そこは狐が守っている森だった。母は長の葛翁の子供で、大きな白狐だった。狐たちに守られて修行をする。狐たちは様々な術を使って暮らしていた。

母は清明が信太の森からでて人々の間で生きることを願っていた。

清明は母に守られ、赤い玉を思って都に帰ってくる。父が亡くなった後、屋敷は狐たちが守っていたが、陰陽頭の加茂忠行に預けられる。

京に帰る旅の途中で、多城丸と妹の小枝と知り合う。流浪の高僧知徳法師にもあう、気難しい僧だったが眼鏡にかなって弟子になる。

忠行の下から、陰陽寮に通って修業を始める。母の愛に見守られ、狐たちとの交流のなかで成長していく。
知徳の弟子だった破戒僧の暗躍、子供ながら災難は容赦なく降りかかってくるが、信太の母から貰った赤い玉は「赤眉」と言う狐だった。その術は強くて清明は何度も助けられる。

次第に強くなる清明が可愛らしくて頼もしい。

当時の京の都は様々な怪異、妖怪が跋扈していた。魔を操るものはその術で出世を目論んでいたり、盗賊だったりして、貴族たちは自衛のために強い陰陽師に守られたいと思っていた。

中納言の家の陰陽師が亡くなり、腕比べをして勝てば出入りできるという。相手は蘆屋道満と言う僧だった。
強敵の道満を破り、清明は名前を知られるようになっていった。

単に清明の成長記でなく、エピソード満載で、その上読みやすい。清明はかわいいし、狐たちも無邪気でとても面白い。

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