読み始めてすぐ、おっとこれは! と思い出した。うっすらと・・。
はっきりと覚えているのは始めと終わり。途中はおぼろ、でもミステリや犯人探しで、最後を覚えているなんて最悪。
だけれど、メモをしてないとこういう失敗は多い。記録しなかった理由がみつかるかも知れないし。
いろいろ読むが、また読むことはないと思うとメモしないものもある。でもまぁこの作家なら再読というのも、悪くないかもしれない。
昨年10月の出版だから読んだのはあまり前ではないのに、あ~あ。
* * *
手抜きで「訳者あとがき」から。
前作「スリーピング・ドール」の事件から数週間。カリフォルニアの風光明媚で平和なモンテレー半島に、新たな恐怖が襲いかかる。
きっかけは、ある人気ブログに掲載された一本の記事だった。
二週間ほど前、ハイウェイのガードレールのない区間で自動車が道路を外れて斜面に転落し、乗っていた四人の高校生のうち二人が死亡するという痛ましい事故が起きた。しかしこれまでのところ運転手は逮捕されておらず、州運輸局の道路管理責任を追及する声も上がっていない。記事は”誰一人として事故の責任を取っていない”ことを疑問視していた。
ブログ主は、警察は運転手を逮捕すべきだと主張したわけではない。また、運転手が高校生であることから、氏名も伏せていた。それにもかかわらず、記事には運転手を知っているという地元の若者からのコメントがたちまち殺到した。オタク、キモい、ヘンタイ、ネトゲ中毒・・・若者たちは独特のネット用語を駆使して、学校でも浮きがちな存在だった少年を容赦なく中傷し始める。
その後も、やはり同じ記事にコメントを投稿した人々が命を狙われる事件が立て続けに発生、ついには死者も出た。事件とブログが密接に結びついていると断定はできなかったが、事故車を運転していた少年がふいに姿を消したことなどから、連続殺傷事件の犯人は運転手の少年である可能性が一気に高まった。
インターネットという仮想の世界で”いじめ”に遭った少年が”いじめっ子”たちに現実の世界で仕返しを始めたということなのか。仮想世界でのトラブルが、境界線を越えて現実世界にはみ出してきたのか。
捜査を任された”歩く嘘発見器”キャサリン・ダンスは、持ち前の尋問スキルを駆使して少年の周囲の人々から真実を引き出しながら、事件の意外な深層に迫っていく。
書いているうちにますますはっきり思い出した。
* * *
というのが大まかな始まりと、捜査官の紹介文で、そこには、ちらりちらりと挿入される伏線があり、キャサリンのお母さんに降りかかった災難あり、コンピュター専門の大学教授の助けがいつの間にか、気持ちの微妙なふれあいになるところもある。
いつも行動を共にする保安官事務所の刑事に対する心の揺れなどソフトなストーリーも添えてある。
そういえば面白かったとは思いながら、メモしておかなかったのは、わずかに簡潔にまとまってしまう、終盤の部分に納得できなかったからかもしれない。
こういうなかで、一応、どんでん返しが効果的に続いて、力量はさすがである、面白い、がそれにしても、終わり方はあまりに安直ではなかったろうか。
悪人は悪人として裁かれ、無実の人間はそれが自然に証明されるハッピーな結末はいい。解決への糸口がやはり、ほかからの連絡や告発などだというのはよくある話で、空を見てピンと来たり、夢を見てハッと真相に気づいたりする常套の探偵小説に似ている。
今でも人気のある、RPGなど、ゲームの中の仮想世界が出てくる。実写に近いほどよく出来た画像の中で、怪物や敵を倒しアイテムを集め、役割を決めてチームを作って助け合う、そこでは友達も出来る、家(部屋)を持ち傷を癒すb場所も作れる。こういうゲームを覗いていると、仮想世界にのめりこんでいく気持ちも分からないではない。だが作者の意図はやはり、現代のこの様な現実に対していささかの警告を含んでいるようだ。
ゲームやブログなど、コンピューター世界に入りこんでいく子どもたちの現実が、活写されて事件解決の手引きになっていく。
面白く、よく出来た話でも再読すると、作者の意図があからさまに分かって、また別な楽しみ方が出来た。
ジェフリー・ディーヴァーはまだ読んでない作品を探そうと思っている。
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