空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

「蟻の菜園 アントガーデン」 柚月裕子 宝島社

2015-01-30 | 読書
 
   


このミス大賞シリーズだが。私は特に選んで読むつもりはないけれど、手元に来てから知ることが多い。
これは残念ながら、テーマが現実の事件に似ていることもあってそんなに新鮮でもなかったし、話の流れも薄味だった。

山林の車の中で練炭で死んだ男が見つかった、自殺かと思われたが車のキーが消えていることから、殺人として捜査が行われることになった。
容疑者に浮かんだのは円藤冬香。しかし介護施設に勤める彼女には、同僚の証言で完璧なアリバイがあった。

だか婚活サイトに名があり複数の男と付き合っていた、男の口座から何回にも分けて冬香の口座に入金があった。



父親が二人の娘を心身ともに虐待する。学校にも生かせず戸籍のない二人は車を家にして、寒さに震えながら育った。ついに姉が父親をカッターで切りつけて逃げる。

寒い粉雪の舞う冬の東尋坊が始まり
冬香は断崖の上に片方の靴が残っていたところから、東尋坊で死んだと思われていたが、、お決まりの戸籍課、学校野同級生の線で生きていたことや身元がわかってくる。

あの日姉を待っていた妹も養護施設に入って育つ。

このあたりから事件の流れが大まかにの推測される。

 独身のフリーライタ-である由美の捜査が特に冴えているわけでもないが、仕事を持もちバツイチの彼女の暮らしや女性上司との絡みも、クセの或る新聞記者の男も最初登場したほどのインパクトがない、個性的ですべりだしたたものの、彼もさして印象に残らない。
まして情報を集めて、気安さで漏らしてくれる刑事も影が薄い。
おいしそうな材料をそろえたが生かしきれてないし、キャラター造形が余り印象的でない。

題名は面白いが、蟻の変わった習性になぞらえた作品ならもう少し面白くなっていたように思う。
表紙の色合いやデザインはとても綺麗で、誘われて読む気になっておかしくないが、作品はありきたり感が残念だ。


父親の虐待場面は醜悪さの描写も程よい感じで作者に好感が持てた。

まだこなれてないときの作品だとしたら、この後の作品も読んでみたら印象が換わるかもしれない。


待っている人が多い本だそうで図書館のお知らせが入っていた、これから返却する。


  

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