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あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

「背後の足音」 上下 ヘニング・マンケル 柳沢由美子訳 創元推理文庫

2012-03-30 | 読書



この本も、図書館の返却日が過ぎそうになった。
買ったり借りたりして何冊か読んだけれど、メモをしておかないともう忘れそうになっている。

スウェーデン、イースタ署のヴァランダー刑事シリーズ。
今回は、北の国の風土や、気質が参考になった。

プロローグは、8月の夏至前夜、若者たちが集まってパーティを開いている。それを木陰から窺い、パーティー用に扮装した三人を一瞬で射殺した男がいる。

だが彼らは、海外旅行にでたとして、親たちには旅行先から便りが届いている。
一人の親が子供の行方を不審に思い警察に捜索願いを出すが、旅先から葉書が届いているために、失踪として扱ってもらえないでいた。

ヴァランダーは体調が優れない。れっきとした糖尿病の症状で、のどが渇きトイレに通うのが忙しい。
しかし彼は、糖尿病が恥ずかしくて、診察も治療も受けずにいる。

同僚のスウェードベリが欠勤していた、几帳面な彼が無断欠勤する理由を知るために、訪ねて行って部屋に入ってみると、至近距離から頭を打たれて死んでいた。

彼の部屋から三人の若者と一人の女性の写真が見つかる。

スウェードベリは密かにこの事件を捜査していたらしい。

ヴァランダーの先を行ったようなスウェードベリの足跡を追ってるうちに、さまざまな背景があわられて来る。

写真の女は誰なのか。スウェードベリは向かいあうほどの距離から猟銃で撃たれている、犯人をなぜ部屋に入れたのか。

あの、相棒のスウェードベリはなぜ密かに犯人を追っていたのか。

ヴァランダーを迷わすさまざまな出会いや出来事は読者まで迷い道に踏み込んでしまう。

面白かった。

ヴァランダーは相変わらず捜査方針が正しいのかと、くよくよ迷い、イースタ署の刑事たちは検死官も含めて実に勤勉に働いている。

こういう読者にも親しい仲間が増えるところがシリーズのよさだ。

あれこれと迷いながら、最後になって偶然にも手ががけがみつかりパタパと解決するのはいつものこと(笑)

何日も徹夜で頑張るところが涙ぐましい。
今回は人間関係が少し複雑だが、最後まで飽きさせない、細かな会話や背景描写など長い話になるのはやむを得ない、最後まで飽きないでわくわくしながら読めるところがいい。

犯人の目から事件との関わりが明かされるのは、いつもの手法で、それもいいだろう。

★4.5



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