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「マンガ 日本の古典 1」 中公新書

2020-01-17 | 読書
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面白かった。新聞広告で東大生のクイズ王が推薦、それもそうだが、最近漫画で勉強というのを知って、受験生でなくてもいいかもいいかもと思っていた矢先、これは凄くいいかもとさっそく図書館に予約した。
すぐに読めて面白かった。長い長い神様たちの名前はカナ表示で、それでも長いが、漢字で読まないので簡単な逸話なども分かりやすい。

「古事記」は文字通り古いというので、習ったのもすっかり忘れて、日本書紀との区別もおぼろになっていた、大和朝廷の頃に書かれたことも意外に感じた。
天武天皇がみずから検討を加えて稗田阿礼に誦習させ、それをのちに太安萬侶が筆録した。和銅五(西暦712)年成立

まず世界の始まりは、混沌としていた。「混沌は世界だけでなくて人の世も同じでな」と稗田阿礼が話し始めるところから。

油のように柔らかい大地から“勢い”の神が生まれる。ギリシャ神話のカオスから様々な神々が誕生するのに似ている。古事記の始まりも「混沌」でまず天を支える神が生まれる。

神々誕生のあと国造りのイザナキ イザナミが水をかき混ぜ島を作り降り立ったところで人を生み出す。

神々の世も跡継ぎ争いから今に通じる様々な習慣や自然の摂理まで生み出された様子がユーモア交じりに書かれていて、昔々の物語ではない。神といえど生まれた時からすでに悩み苦しみを背負っていたのかと、なんだか可愛らしい。

乱暴者のスサノオが黄泉の国の母に会いたいと泣き叫び叱られること、八岐の大蛇退治とお姉さんの天照大神の岩戸隠れなどエピソードが面白い。大国主命と赤裸の因幡の兎の話もある。
ところどころでその後の物語の登場神物(人物でなくて^^)紹介が役に立つ。

オオクニヌシという神様は、大きな袋を提げて歩き兎を救うだけでなく、国づくりをした偉大な神で国の平和と統治について悩んでいたのか。
相棒は小さなスクナビコナの神だと助言するカカシ(クエビコの神)はまるで伊坂幸太郎の「オーデュポンの祈り」だ。

炎の中から生まれた海サチ山サチが道具を取り換える話もよく知られているしワタツミは海の神で「きけわだつみのこえ」で学徒兵の遺書を読んだことを思い出す。
連想が広がり読書の楽しみも広がる。

エピソードが多い「古事記」のマンガ化は難しい神々の相関関係もよくわかり、石ノ森さんが書かれたイメージ通りの姿が印象的だった。
明るいユーモアにあふれた古事記を楽しんだ。

このシリーズは有名な漫画家が参加した日本の古典32巻になり平成9年度文化庁メディア芸術祭でマンガ部門大賞を受賞している。

思い出したので追記
私は神前結婚で祝詞を聴きました(神社になったのは単に式場が空いていたからですが)
そこで高天原にかむづまります神漏岐(かむろぎ)神漏美(かむろみ)の命 うんぬんと榊をもって神主さんが祝詞を唱えてくれました。
というのがどうも神社のお経のようなもので七五三でも神社にお参りすると聞かされるのです。ところが高千穂方面に行ったときに所縁のある神社の立ち寄りました。
帰って「神漏岐(かむろぎ)神漏美(かむろみ)の命」について調べてみました。
この神様は火の玉になって天から降りてきた、人々の先祖の神様だということで、ずいぶん不思議な気がしていましたが、古事記以前の物語としてこんな神話も存在しているようです。
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