バルトーク:弦楽器とチェレスタのための音楽
ハンガリアン・スケッチ
指揮:フリッツ・ライナー
管弦楽:シカゴ交響楽団
発売:1975年
LP:RVC(RCA) RGC‐1022
このLPレコードの1曲目の「弦楽器とチェレスタのための音楽」は、バルトークの作品の中でも、極めて集中力の高い、熱気のこもった力作だ。第2次世界大戦を前にしたヨーロッパの不安定な空気を先取りするかのように、バルトークはあらゆる要素をこの曲に注ぎ込んだ。表面上は古典的音楽の様相を纏っているので、口当たりも悪くない。そして、聴き終わった後は、戦争や大地震など、現代の世界の人々が一様に感じている漠然とした不安感を見事言い当てている曲であることが感じとれる。バルトークがこの曲を書いた1936年は、日本とドイツが防共協定を結んだ年であり、戦争の脅威が全世界を覆い尽くそうとしていた。つまり、そのような危機感がこの曲の基盤として存在しているわけであり、このことが現代の我々にもひしひしと伝わってくるのだ。この曲は、2群からなる弦楽合奏と、一人の奏者による5種類の打楽器、半音階的な奏法が可能なペダル・ティンパニー、木琴、チェレスタ、ハープ、ピアノによって、演奏される。さらに、立体的な効果を意図して、バルトークは次のような楽器の配置を指示している。①中央奥に一連のコントラバス②左側には第1グループとして、手前から第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、第一ヴィオラ、第一チェロ③右側には第2グループとして、第1グループと同じ配置④中央にピアノとチェレスタ⑤それらを取り囲むように、左からティンパニー、大太鼓、スネア付き小太鼓とスネアのない小太鼓、それにシンバルとタムタム、木琴、ハープ。これらの楽器群が奏でるこの曲は、意外にもバロック音楽風な曲にも聴こえることがある。そして、4つの楽章が、楽章ごとに響きの効果が異なることが、この曲の特徴として挙げられる。そこには、コンチェルト・グロッソ風なところ、ハンガリー農民音楽風なところ、無調的な半音階風のところ、など様々な機能がこの曲には組み込まれているのだ。一方、次の曲であるの「ハンガリアン・スケッチ」は、以前にバルトークが書いたピアノ曲を管弦楽曲に編曲した作品である。全5曲は独立した作品で、それぞれ次のような表題が付けられている。①セレクレルスの夜②熊おどり③うた④ご機嫌なよっぱらい⑤豚つかいのおどり。以上2曲を、フリッツ・ライナー(1888年―1963年)指揮シカゴ交響楽団は、バルトークの世界を力強く、明快に、しかもリズム感満点に、完璧に演奏している。それらをLPレコード特有の深みのある音質によって、ライナーの名演を聴くことができるのである。(LPC)
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