リスト:交響詩「前奏曲」
ハンガリー狂詩曲第2番
交響詩「マゼッパ」
ハンガリー狂詩曲第4番
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1967年4月14~17日(交響詩「前奏曲」/ハンガリー狂詩曲第2番)/1960年12月12日~13日(交響詩「マゼッパ」/ハンガリー狂詩曲第4番)、ベルリン、イエス・キリスト教会
LP:ポリドーリ(ドイツ・グラモフォン MGX7047) 2535 110
このLPレコードを聴くとカラヤンの指揮する様が目の前に生き生きと蘇ってくるようであり、如何にもカラヤンらしい絢爛豪華な音の絵巻物が広がって行き、実に楽しい一時を過ごすことができる。カラヤンという指揮者は、これらの曲を指揮させれば当代随一の指揮者であったことを改めて認識することができる録音だ。カラヤン(1908年―1989年)は、ザルツブルグに生まれ、1938年からベルリンの国立歌劇場で活躍。第二次世界大戦後は、1955年から、ベルリン・フィルの芸術監督・終身指揮者に迎え入れられた。1956年から1964年までは、ウィーン国立歌劇場の総監督を兼ねるなど、当時“帝王”として世界のクラシック音楽界に君臨した。1954年に初来日を果たした後も何回か日本を訪れている。しかし、ベルリン・フィルと対立して1989年に辞任するなど、晩年は必ずしも平穏な指揮者生活ではなかったのも事実。この背景には、カラヤンの信奉者は多い反面、フルトヴェングラーなど深い精神性の演奏を重んじる聴衆からは、時代の最先端を走るカラヤンに対する批判が少なからずあったのも事実。ある意味では、この論争(フルトヴェングラー派対カラヤン派)は、未だに続いていると言ってもいいほどだ。クラシック音楽は、形而上学的で深淵に演奏するのが正統であって、カラヤンのように、万人に分かりやすい絢爛豪華な音の饗宴の演奏スタイルは亜流である、とする見方は現在でも存在する。この論争の結論は、多分永遠に出ないであろう。こんなことを考えながらこのLPレコードを聴いていると、カラヤンのクラシック音楽界に果たした足跡の偉大さを改めて認識せざるを得ない。このLPレコードは、カラヤンとベルリン・フィルの蜜月時代の録音だけに、双方の気分がぴたりと合い、オーケストラの醍醐味を存分に味わえる。つまらぬ論争などは何処かに飛んで行ってしまいそうな爽快な録音ではある。この録音は全てリストの作品。交響詩「前奏曲」は、その冒頭にフランスの詩人ラマルティーヌの「詩的瞑想録」による序文が書かれていることで有名。「ハンガリー狂詩曲」第2番は、前半がゆっくりとした悲劇的な”ラッサン”、後半が急速な情熱的で華麗な”フリスカ”の2部からなっている。交響詩「マゼッパ」は、フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの長大な同名の詩を表題としている。「ハンガリー狂詩曲」第4番は、ジプシー的な哀愁と情熱が全体にみなぎった作品。(LPC)
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