★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ウィーン・コンツェルトハウスのシューベルト:弦楽四重奏曲第13番「ロザムンデ」

2020-08-17 09:44:57 | 室内楽曲(弦楽四重奏曲)

シューベルト:弦楽四重奏曲第13番「ロザムンデ」

弦楽四重奏:ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団

          アントン・カンパー(第1ヴァイオリン)
          カール・マリア・ティッツェ(第2ヴァイオリン)
          エーリッヒ・ヴァイス(ヴィオラ)
          フランツ・クヴァルダ(チェロ)

発売:1976年5月

LP:日本コロムビア OW‐8016‐AW

 シューベルトは、生涯に弦楽四重奏曲を20曲以上作曲したようだが、その中には楽譜が消失してしまったものもあり、正確な数字は分からない。このLPレコードは、「ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団/シューベルト弦楽四重奏曲全集」の中の1枚で、ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社の全集版によって演奏されている。この全集版には、シューベルトの自筆楽譜をもとに考証された15曲が収められている。初期の頃のシューベルトの弦楽四重奏曲は、家庭で演奏されるような作品であり、特別に深い内容は持っているわけではない。しかし、中期、後期と進むに従い、内容の濃い作品も作曲され始める。それらの作品に共通する特徴は、歌曲のように流れるような美しいメロディーが、次ぎから次へと湧き上がってくることで、如何にもシューベルトらしい弦楽四重奏の世界を形成しているのが特徴。弦楽四重奏曲第13番「ロザムンデ」は、1824年2月から3月にかけて作曲され、初演時には第3楽章がアンコールで演奏されたほど好評だったという。第1楽章の第1主題は、初期の歌曲「糸を紡ぐグレートヒェン」に基づいたもので、また第2楽章は、変奏曲の主題が劇音楽「ロザムンデ」から取られている。このため、この曲全体が「ロザムンデ」と呼ばれるようになった。ただ、この曲の中で中心をなす楽章は、第3楽章メヌエット:アレグレットの楽章と言われている。いずれにせよ、この第13番の弦楽四重奏曲は、1824年の第14番「死と乙女」、1826年の第15番と並び、シューベルトの弦楽四重奏曲の後期の3大作品を形成する作品であり、内容の充実した作品に仕上がっている。これらの3つの作品は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲のような深い精神性を持ったものというより、ロマン派の作品のような抒情味溢れるところが特徴となっている。歌曲のような流れるメロディーが魅力を発散させ、今でも多くのファンから支持を受けている曲。演奏しているのは、ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団。同四重奏団は1934年に創立され、ウィーンのコンツェルトハウスを舞台に演奏活動を展開していた。このLPレコードでは、創立当時のメンバーが演奏している。その後、第1ヴァイオリンのアントン・カンパー以外のメンバーの交代があり、1967年を最後に解散した。活動中は、全員がウィーン・フィルのメンバーであったことから、ウィーン情緒を強く反映した演奏内容に特徴があった。このLPレコードの演奏でも、どのクァルテットと比べても、抒情性が色濃く、深いロマンの味わいが表現された充実した演奏を聴かせてくれている。(LPC)


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