★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ジョン・バルビローリのチャイコフスキー:弦楽セレナーデ/マルコム・サージェントのドヴォルザーク:弦楽セレナーデ

2023-06-19 11:22:03 | 管弦楽曲


チャイコフスキー:弦楽セレナーデ

  指揮:ジョン・バルビローリ

  管弦楽:ロンドン交響楽団

ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ

  指揮:マルコム・サージェント

  管弦楽:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

LP:東芝EMI(SERAPHIM) EAC‐30198

 この2つのセレナードは、よく1枚のLPレコードにカップリングされることが多い。ちょうど2曲ともLPレコードの片面にピタリと収まるし、互いの相性もいい。チャイコフスキー:弦楽セレナーデは、1880年(40歳)から翌年にかけて作曲された。チャイコフスキーの創作意欲が次第に燃え始めてきた第2期(1878年~85年)の作品だ。初演は成功だったようで、毒舌家で知られるニコライ・ルービンシュタインも、このセレナーデを高く評価したという。曲は、全部で4つの楽章からなっており、ロシア音楽独特の郷土色に溢れた演奏が行われることが少なくない。一方、ドヴォルザークは、生涯で2曲のセレナーデを作曲した。一つは、このLPレコードに収録されている弦楽合奏のためのセレナード(弦楽セレナード)作品22、もう一つは、木管楽器とチェロ、ダブルベースのためのセレナード(管楽セレナード)作品44である。ドヴォルザークの弦楽セレナーデもチャイコフスキーと同様民俗色を濃厚含んだ演奏、つまりボヘミアの郷土色いっぱいの演奏に接するケースが多い。このように、この2曲には常に民族色の衣がついて回る。ところが、このLPレコードでのジョン・バルビローリ指揮ロンドン交響楽団、マルコム・サージェント指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏ともに、都会的に洗練された演奏内容を披露している。ロンドン生まれのジョン・バルビローリ(1899年―1970年)は、チェリストとして音楽活動を開始。1936年ニューヨーク・フィルの首席指揮者に30歳の若さで抜擢され、以後ハレ管弦楽団、ヒューストン交響楽団の音楽監督を務めた。指揮内容は、如何にもイギリス出身の指揮者らしく温厚で堅実であり、都会的で洗練された持ち味で人気があった。一方、マルコム・サージェント(1895年―1967年)もイギリス出身の指揮者。オルガニストからスタートし、1928年からロイヤル・コーラル・ソサエティの合唱指揮者に就任し、死ぬまでその職にあった。リヴァプール・フィル(現ロイヤル・リヴァプール・フィル)やBBC交響楽団の常任指揮者としても活躍した。指揮ぶりもバルビローリと同様、温厚で堅実、都会的な洗練さが持ち味。このように、このLPレコードは民族色を強く求めるリスナーにとっては少々物足りない感じがしないでもないが、その分伸びやかで、しかも都会的に洗練された味が、他の録音にない魅力となっている。(LPC)


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