外山雄三:ラプソディー
小山清茂:管弦楽のための木挽歌
外山雄三:子守唄
尾高尚忠:フルート協奏曲
指揮:岩城宏之
管弦楽:NHK交響楽団
フルート:吉田雅夫
録音:昭和36年1月、文京公会堂(外山雄三、小山清茂)
昭和36年4月、文京公会堂(尾高尚忠)
発売:1980年
LP:キングレコード GT9322
このLPレコードは、日本人による作曲、演奏をを収録したシリーズの一枚である。収録曲は、いずれも当時よくラジオから流れていた曲であり、私などは、曲目や演奏家を目にしただけで、懐かしい思いが込み上げてくる。最初の外山雄三(1931年―2023年):ラプソディーは、手まり唄(あんたとこどこさ)に始まり、ソーラン節、炭坑節、串本節、さらには信濃追分と続く。当時の日本人なら誰もが知っていた民謡に基づいた旋律が奏でられ、ただそれだけで嬉しくなってしまう。そして2部では、八木節が軽快な打楽器によって奏でられるが、特にオーケストラとの調和が見事であり、日本人なら、聴いていて自然に踊り出したくなるほど。この曲はNHK交響楽団の海外公演などでも演奏され、日本情緒たっぷりな曲に、当時の海外の聴衆を魅了したという。小山清茂(1914年―2009年):管弦楽のための木挽歌は、九州民謡の木挽唄を主題にした、一種の変奏曲となっており、全体は4つの部分からなっている。第1部は、ヴァイオリンとヴィオラが鋸の音を模倣し、チェロが主題を奏でる。第2部は、太鼓を使った盆踊り。第3部は、早い5拍子の爽やかな印象の曲。第4部は、金管楽器や打楽器が活躍する軽快な曲。外山雄三:子守唄は、五木の子守唄をベースに、たっぷりと歌うように書かれた、古の情緒の雰囲気が堪らなくいい。尾高尚忠(1911年―1951年):フルート協奏曲は、急・緩・急の3楽章からなる実に爽やかな曲であり、戦後日本の貧しくあるとも、伸び伸びとした社会状況を反映したような雰囲気が何とも好ましい。このLPレコードで演奏している吉田雅夫(1915年―2003年)のフルートの音色がこれまた絶品であり、曲、演奏ともこの曲のベストと言えよう。このLPレコードには、作曲家、演奏家とも懐かしい名前が登場しているが、ライナーノートの筆者にも、戦後のクラシック音楽界を牽引した林 光(1931年―2012年)と柴田南雄(1916年―1996年)の名前を見つけることができる。指揮の岩城宏之(1932年―2006年)は、東京都出身。東京芸術大学音楽学部器楽科打楽器部で学ぶ。1960年NHK交響楽団世界一周演奏旅行では指揮者陣のひとりとして同行、ヨーロッパ・デビューを果たす。1969年NHK交響楽団正指揮者、1987年メルボルン交響楽団終身桂冠指揮者、1988年オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)音楽監督に就任。1990年フランス芸術文化勲章を受章。(LPC)
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