モーツァルト:ヴァイオリンソナタ第37番
ヴァイオリンソナタ第38番
ヴァイオリンソナタ第41番
ヴァイオリン:ローラ・ボベスコ
ピアノ:ジャック・ジャンティ
録音:1981年1月
LP:テイチク(LIBERO RECORD) KUX-3212-L
ローラ・ボベスコ(1921年―2003年)は、ルーマニア出身の女性の名ヴァイオリニスト。パリ音楽院で学び、15歳でベルギーの「イザイ・コンクール」(世界3大コンクールの一つ「エリザベート国際コンクール」の前身)で優勝した実力者であった。また、コンセール・イザイを主宰し、仏伊の古典音楽の権威者でもあった。ベルリン・フィルの女性ゲスト・ソリストとして最多の出演回数を誇るほどの当時人気のヴァイオリニストの一人として活躍した。演奏内容は、フランス風の上品な雰囲気が身上であり、女性ヴァイオリニスト特有の優雅な演奏は、多くのファンを魅了して止まなかった。その繊細で端正な演奏内容は、特に日本人好みでもあったようだ。しかし、一方では、その演奏内容には一本筋の通った力強さも秘められていた。そんな経緯で、当時の日本の一部の熱烈なファンが中心になり、来日公演を実現させたのだと聞く。このLPレコードは、そんなローラ・ボベスコがピアノのジャック・ジャンティ(1921年―2014年)と組んだ、モーツァルトのヴァイオリンソナタの録音のシリーズの第1集である。第37番と第38番のヴァイオリンソナタは、妻のコンスタンツェのピアノでモーツァルトが楽しんでヴァイオリンを弾くために作曲したとされる。第41番のソナタは、歌劇「フィガロの結婚」作曲中につくられた作品で、モーツァルトのヴァイオリンソナタ中の傑作の一つとされる曲。ボベスコのヴァイオリンは、あくまで優雅にしかも艶やかにモーツァルトらしい世界を披露しており、満足させられる。同時に毅然とした力強さを内に秘めた演奏内容が、一際リスナーの印象に残る。このLPレコードのライナーノートで中村稔氏はボベスコの演奏を「特級品のモーツァルト演奏」と紹介しているが、あたかも当時のボベスコブームの熱気がジャケットから伝わってくるようだ。ピアノ伴奏のジャック・ジャンティは、フランス・パリ出身。パリ音楽院で、ラザール・レヴィにピアノ、シャルル・ミュンシュに指揮法を学び、両方でプルミエ・プリを獲得。1948年にローラ・ボベスコと結婚してデュオ活動を行った。ボベスコとは10年ほどで離婚したが、離婚後もボベスコの伴奏を中心に音楽活動を行った。このLPレコードでもジャック・ジャンティは、モーツァルトのヴァイオリンソナタの優雅な世界を巧みにピアノ伴奏して、ローラ・ボベスコのヴァイオリン演奏の価値をより一層高めることにものの見事に成功させている。(LPC)
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