★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇オーマンディのレスピーギ:交響詩「ローマの噴水」「ローマの松」「ローマの祭り」

2021-10-25 09:44:04 | 管弦楽曲

 

レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」
         「ローマの松」
         「ローマの祭り」

指揮:ユージン・オーマンディ

管弦楽:フィラデルフィア管弦楽団

LP:CBS/SONY 13AC 126

発売:1976年

 このLPレコードは、ユージン・オーマンディ(1899年―1985年)の指揮とフィラデルフィア管弦楽団の名コンビで、レスピーギの“ローマ三部作”として親しまれている交響詩「ローマの噴水」「ローマの松」「ローマの祭り」を録音したもの。曲目と演奏者とが、他に比較するものがないと言っていいほど、その相性の良さは抜群だ。実際このLPレコードを聴いてみると、リスナーは、その絢爛豪華な音の饗宴に酔いしれる。あたかも、リスナーの目の前にローマの“噴水”“松”“祭”の映像が鮮やかに再現されるかのようだ。それはユージン・オーマンディとフィラデルフィア管弦楽団とが、互いに信頼し切って、その持てる能力をフルに発揮しているからである。このLPレコードは、ユージン・オーマンディとフィラデルフィア管弦楽団のコンビが、史上最高のコンビであったことを如実に示している。ユージン・オーマンディは、ハンガリー出身のアメリカ人指揮者。ブダペスト王立音楽院で学ぶ。同音楽院を卒業後、ヴァイオリニストとして本格的な演奏活動を開始。1921年にニューヨーク・キャピトル劇場オーケストラのヴァイオリン奏者となり、さらにコンサートマスターに就任。1924年、同オーケストラの指揮者としてデビュー。1931年ミネアポリス交響楽団(現・ミネソタ管弦楽団)の常任指揮者に就任。さらに1938年、ストコフスキーの後任としてフィラデルフィア管弦楽団音楽監督に就任し、以後、1980年に勇退するまで42年の長期にわたって音楽監督を務めた。ユージン・オーマンディは、オーケストラの統率力に優れ、巨匠風の演奏を行う。その表現は、知性的な一方で、色彩感に溢れたものになっている。音は、原色のような輝きを持っているが、それが独特なトーン・カラーで知られる“フィラデルフィア・サウンド”なのである。レスピーギの“ローマ三部作”は、ローマのサンタ・チェチーリア音楽院の作曲家教授となった1913年、34歳の時に、作曲された一連の交響詩だ。「ローマの噴水」は、ローマの心とまで言われて親しまれている噴水に託して表現しようとした作品で、第1部 夜明けのジュリアの谷の噴水、第2部 朝のトリトンの噴水、第3部 真昼のトレヴィの泉、第4部 黄昏のメディチ荘の噴水からなる。「ローマの松」は、「ローマの噴水」の成功の8年後に書かれた作品で、古代ローマへの郷愁と幻想が、古い教会旋法を用いて効果的に描き出されている。「ローマの祭り」は、三部作最後の作品で、古代ローマ、ロマネスク、ルネサンスそれに現代のローマの祭りを四部にまとめている。(LPC)

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