★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇コレギウム・アウレウム合奏団によるモーツァルト:喜遊曲第11番/第10番

2020-04-06 09:36:47 | 管弦楽曲

モーツァルト:喜遊曲第11番/第10番

室内合奏:コレギウム・アウレウム合奏団

録音:1963年、ドイツ、キルヒハイム・フッガー城、糸杉の間

LP:テイチク(ハルモニアムンディ) ULS‐3128‐H
 
 喜遊曲(ディベルティメント)は、社交会や宴会のときに、室内で独奏楽器群により演奏される音楽で、楽しい旋律に飾られ、内容も軽妙な作風の曲のことをいう。18世紀のドイツを中心に持て囃され、ハイドンやモーツァルトなどが盛んに書いた。通常4楽章以上の構成で、第1楽章はソナタ形式で書かれ、その他の楽章はメヌエットなどの舞曲が用いられる。楽器の編成は、弦楽器が中心で、それに管楽器が加わる。18世紀半ば以降は、弦楽四重奏曲や交響曲に関心が移り、喜遊曲は表舞台から徐々に姿を消すことになる。それでも後になりバルトークなどが作曲したこともあることにはあった。このLPレコードには、A面にモーツァルト:喜遊曲第11番が、B面に第10番が収録されている。モーツァルト:喜遊曲第11番は、敬愛する姉のナンネルの誕生祝いのために、1776年7月に作曲された。ナンネルは、かつて両親や弟とパリを訪れ、ヴェルサイユ宮殿で、ルイ15世の御前演奏を弟と一緒に行ったことがあり、フランスへの愛着を一際強く持っていた。このため、モーツァルトは、この喜遊曲第11番に、全体にフランス風の軽快なリズムを持たせ、同時に和やかで美しい曲調に仕上げている。全体は6つの楽章からなる。楽器編成は、弦楽4部に2本のホルン、1本のオーボエからなるところから「ナンネル7重奏曲」とも呼ばれることがある。一方、喜遊曲第10番は、モーツァルトがザルツブルで親しくしていたロードロン伯爵家の夫人、アントニアの誕生祝いのために、1776年6月に作曲された。2つのメヌエットを持った全部で6楽章からなり、楽器編成は弦楽4部に2本のホルンが加わる。当時モーツァルトは20歳で、ハイドンの弟のミヒャエル・ハイドンの影響を受けた曲とも言われる。これら2曲を演奏しているのがコレギウム・アウレウム合奏団。コレギウム・アウレウム合奏団は、1962年、ドイツのハルモニア・ムンディの録音のために組織された古楽演奏団体で、その名の意味は“黄金の楽団”。これは主な録音会場がドイツのシュヴァーベン地方にあるフッガー城の「糸杉の間」で、そのホールの構造が黄金分割になっているところから付けられたもの。メンバーはバッハ時代のガット弦の古楽器を用いており、古楽オーケストラの草分け的存在。このLPレコードでコレギウム・アウレウム合奏団員達の演奏は、古き良き時代の雰囲気を存分に醸し出している。リスナーは、あたかも18世紀にタイムスリップしたかのような雰囲気の中で、リラックスしながら2曲のモーツァルトの喜遊曲を楽しむことができる。(LPC)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする