★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇クレメンス・クラウスのモーツァルト:セレナード第7番「ハフナー」

2020-03-12 09:43:56 | 管弦楽曲

モーツァルト:セレナード第7番「ハフナー」 KV250(248b)
         
         1.アレグロ・マエストーソ~アレグロ・モルト
         2.アンダンテ
         3.メヌエット
         4.ロンド・アレグロ
         5.メヌエット・ガランテ
         6.アンダンテ
         7.メヌエット
         8.アダージョ~アレグロ・アッサイ

指揮:クレメンス・クラウス

管弦楽:ウィーン交響楽団

録音:1951年

LP:ワーナー・パイオニア H-5061V
 
 モーツァルトのセレナード第7番は、「ハフナー」という愛称で親しまれ、一般的に「ハフナー・セレナード」で通用している。初演は1776年で、ザルツブルクの富豪で、市長でもあったハフナー家の結婚披露宴のためにモーツアルトが作曲した作品。後年、モーツァルトはハフナー家のためのセレナードをもう1曲作曲しており、その曲は、交響曲第35番「ハフナー」に使われている。このLPレコード指揮をしているのは、ウィーン出身の名指揮者クレメンス・クラウス(1893年―1954年)である。クレメンス・クラウスは、ウィーン・フィルが毎年1月1日に楽友協会大ホールで行う、「ニューイヤーコンサート」を1939年に開始したことでも知られている。ニューイヤーコンサートのプログラムは、主にヨハン・シュトラウス一家のワルツやポルカで構成される。クレメンス・クラウスの死後は、、ウィーン・フィルのコンサートマスターであったウィリー・ボスコフスキー(1909年―1991年)に引き継がれ、現在では、世界の有力な指揮者たちによって持ち回りで行われている。クレメンス・クラウスの父は、オーストリア皇室と姻戚関係がある大貴族。母は、後にウィーン・フォルクスオーパーの舞台監督を務めた女優でソプラノ歌手であった。1929年にウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任。さらに翌年、フルトヴェングラーの後任としてウィーン・フィルの常任指揮者に就任。1935年にベルリン国立歌劇場の音楽監督、また1937年にはバイエルン国立歌劇場の音楽監督に就任することになる。第二次世界大戦後は、ナチスに協力した容疑で演奏活動の停止を命じられたりしたが、暫くしてウィーン・フィルに復帰、さらにバイロイト音楽祭などでも活躍した。しかし、戦前のように重要なポストに就くことはなかった。このことが、フルトヴェングラーや同世代の指揮者のカール・ベームなどに較べ、知名度が高くない原因なのかもしれない。そんな実力派のクレメンス・クラウスが残した数少ないモーツァルトの録音が、このモーツァルトの「ハフナー・セレナード」である。ここでのクレメンス・クラウスの指揮ぶりは、誠に明快そのものだ。リズミカルで明るく、颯爽とした曲づくりは、モーツァルトの「ハフナー・セレナード」の演奏には正に打って付け。ハフナー家の華やかな結婚披露宴が目の前に浮かび上がってくるようだ。フルトヴェングラーやベームの録音が大量にCD化されているのに比べ、この録音がCD化されることもなく、永久にお蔵入りとなるのは残念至極。(LPC)

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