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★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇カラヤン指揮ベルリン・フィル、ミレッラ・フレーニなどによるプッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」

2021-09-09 09:37:13 | オペラ


プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン

管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

配役:ミミ       ミレッラ・フレーニ(ソプラノ)
   ロドルフォ     ルチアーノ・パヴァロッティ(テノール)
   ムゼッタ     エリザベス・ハーウッド(ソプラノ)
   マルチェルロ   ローランド・パネライ(バリトン)
   コルリーネ     ニコライ・ギャウロフ(バス)
   ショナール     ジャンニ・マッフェオ(バス)
   ブノア      ミシェル・セネシャル(テノール)
   アルチンドロ   ミシェル・セネシャル(テノール)
   パルピニョール  ゲールノート・ピエシュ(テノール)
   税関の役人    ハンス・ディートリッヒ・ポール(バリトン)
   巡査部長      ハンス・ディーター・アッペルト(バス)

合唱指揮:ワルター・ハーゲン・グロル

合唱:ベルリン・ドイツ歌劇場合唱団
   シェーネベルク少年合唱団

LP:LONDON TLR-7010 SLC-7191~2

 プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」のボエームとは、ボヘミアン(ボヘミア人)を意味する言葉であり、ジプシー(ロマ)出身の芸術家たちがパリにやってきて、何ものにもとらわれない生活を送る情景を描いた、このオペラに登場する人達のこと。原作は、フランスの作家アンリー・ミュルジェの23章の短篇からなる小説「ボヘミアンたちの生活情景」で、1851年に出版された。これは、パリのラテン区に住む若人気質を興味深く綴ったもので、登場人物の四銃士と呼ばれた4人の男たちを含め実在の人物であったらしい。初演は、その時29歳のトスカニーニが指揮して、トリノのレッジョ劇場で行われ、結果は、まずまずの成功であった。その後、イギリスでの上演が好評で、ヨーロッパ各地で上演され、1900年にはメトロポリタン歌劇場で上演され賞賛された。第1幕は、クリスマス・イヴのパリのカルチエ・ラタンにあるボヘミアン仲間が暮らす屋根裏部屋。ボヘミアンの男たちの会話のやりとりや家主の追放、3人の仲間の退場から気分が一転し、ミミの登場で甘美な旋律によるロドルフォとの情緒豊かな愛の場面が展開する。第2幕は、クリスマスを祝う群集で賑わう通りで、物売りが口々に声を張り上げている。ダンフェール門の市外との関税所前。この幕は、スぺクタルトとアンサンブルの饗宴で、ムゼッタと演出家の見せ場となっている。第3幕は、翌年の2月、小雪模様のどんよりとした寒そうな朝。別れる気の二人がいたわりあって帰り、そんな気のない二人が喧嘩別れになる場面。ミミとロドルフォの甘美な重唱と、マルチェルロとムゼッタの罵り合う重唱、それが一つになる四重唱が有名。第4幕は、数ヶ月後、再び屋根裏部屋。ムゼッタは金持ちの所で世話になっていたミミが、死ぬ前に一目ロドルフォに会いたいというので連れて来たことを三人の仲間に語る。ショナールがふとミミを見ると彼女はすでに息絶えていた。そっと皆に知らせると、ロドルフォは周りのただならぬ様子に事態を察し、ミミの亡骸にすがりついて泣き臥す。このLPレコードで指揮をしているのがヘルベルト・フォン・カラヤン、管弦楽がベルリン・フィル。カラヤンの高い統率力とベルリン・フィルの完璧な演奏能力を存分が発揮され、数ある「ラ・ボエーム」の録音の中でも、今でも一際輝いている。歌手陣は、ミミ役のミレッラ・フレーニ(1935年―2020年)をはじめとして、いずれも情感を持って、それぞれの配役を見事に歌い上げている。録音状態も良好。(LPC)

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◇クラシック音楽LP◇マタチッチ指揮フィルハーモニア管弦楽団、シュワルツコップなどによるレハール:喜歌劇「メリー・ウィドウ」

2021-09-06 09:43:00 | オペラ


レハール:喜歌劇「メリー・ウィドウ」(全曲)

指揮:ロヴロ・フォン・マタチッチ

管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団

ツェータ男爵:ヨーゼフ・クナップ(バリトン)
ヴァランシエンヌ:ハンニー・シュテフェック(ソプラノ)
ダニロヴィッチ伯爵:エバーハルト・ヴェヒター(バリトン)
ハンナ・グラヴァリ:エリザベート・シュワルツコップ(ソプラノ)
カミーニュ・ロジョン:ニコライ・ゲッダ(テノール)
カスカーダ子爵:クルト・エキールス(テノール)
サン・ブリオシュ:ハンス・シュトローバウアー(テノール)
ニエグシュ:フランツ・ベーハイム(テノール)

<グリゼット(ホステス)達>

ロロ:レスリー・ウッド
ドド:エイリッド・マクナップ
ジュジュ:クリスティン・パーカー
フルフル:ノリーン・ウィレット
クロクロ:ドリーン・マーレイ
マルゴ:ローズマリー・フィリップス

合唱指揮:ライホルト・シュミット

合唱:フィルハーモニア合唱団

LP:東芝EMI EAC-47211~12

 レハール:喜歌劇「メリー・ウィドウ」の粗筋は次の通り。第1幕は、20世紀初頭、パリにあるポンテヴェドロ国(仮想の国)公使館の客間。公使のツェータ伯爵は、ポンテヴェドロ国の君主の誕生日を祝うためパーティーを開いた。この劇の主人公ハンナは、巨万の富を持つ老銀行家と結婚したが、結婚8日にして夫が亡くなり、彼女は、その遺産を受け継ぐことになった。そして、ハンナはパリの生活を楽しむために来ている。パーティーでは、ハンナは男たちの人気を一身に受けたのは、その美貌だけでないことは明らかだった。ツェータ公使は「ハンナは決してパリ男と結婚してはならないのだ。2000万フランが彼女と共にフランスのものになってしまってはならない。財産はポンテヴェドロ国のものとして残されねばならぬ」と考える。そして、公使館秘書のダニロ伯爵と結婚させることによって、これを実現させようと謀る。ところが、ダニロ当人は、キャバレー・マキシムでホステスに囲まれて酔いつぶれている始末。実は以前ダニロとハンナは、愛し合っていたが、身分の違いで結婚できなかったのだ。パーティー会場に現れたダニロに向かってツェータ公使は、ハンナとの結婚話を切り出すが、ダニロは「断然断ります」と激昂する。その後、ハンナがダニロを踊りの相手に選ぶ。ダニロは、その権利を1万フランで売ろうと男たちに声をかけるが、返事はない。第2幕は、ハンナの別宅。ハンナが昨日のお礼にと招待したのであった。ここでハンナは、ダニロが自分を避けているとなじる。ハンナはロジョンと婚約したと話した途端、ショックを受けたダニロは、例え話に託したワルツを歌う。これを聴いてハンナは、ダニロの怒りの中に彼の愛を認める。第3幕は、ハンナの私邸。キャバレー・マキシムを模倣してパーティー会場をつくり、楽団やグリゼット(ホステス)達を呼んできた。この時、ダニロは、ロジョンとの結婚を止めろと告げる。そして二人は、踊りながら、遂に愛を告白する。このLPレコードの演奏は、ロヴロ・フォン・マタチッチ(1899年―1985年)指揮フィルハーモニア管弦楽団、ソプラノ:エリザベート・シュワルツコップ(1915年―2006年)、バリトン:エバーハルト・ヴェヒター(1929年―1992年)、テノール:ニコライ・ゲッダ(1925年―2017年)などによるもので、典雅なワルツにのって流れるメロディーは、ウィーンの良き時代を彷彿させ、現在に至るまで、これ以上の名演は望めそうにもない名盤に仕上がっている。それに加えて、録音の質も最良の状態であるのが嬉しい限り。(LPC)
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