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年の瀬に思うⅣ- 浅き夢見し。政治の行方
08年もほぼ終わり、浅き夢見し、政治はどう移ろうのか。
政治の世界では、いよいよ自民党政治がゆきづまったという実感と切り離せない。それはたとえば、自公政権の窮状、この間の政策的混迷に端的に表われている。それを軌道修正することは、とくに自民党内での政権の交代をもってしても能わず、麻生政権が誕生したものの、すでに先がみえている、こう誰もが思っている。昨日エントリーでふれた祝儀相場も期待できないとはこのことである。他方で、昨年の参院選では、その時点での、もう自民党はダメだという有権者の判断が働き、結果的に民主党が大勝した。
この流れに立つならば、民主党への支持が加速度的に高まってよさそうなのに、それから1年以上経過したのだが、少なくともそうはなっていない。自民党の次期選挙での敗北の予想は大方のものだが、この1年は、いったい何だったのだろう。
だから、参院選以来の有権者の、政治の現状にたいする不満と不安は、では今後、誰が引き受けるのか、引き受けられるのか。この問いが政治につきつけられている課題ではないか。しかし、この設問にたいする明確な回答を出すことは、必ずしも容易ではない。
私の考えでは、以下にのべるような理由から、民主党にはそれができない。ならば、共産党や社民党がそれに変わりうるか、これも有権者の意識を現状から一変させることに等しいから、選挙制度の問題も手伝って、これもむずかしい。
結局、次期総選挙では、参院選以来の政治のありようをいかに有権者が認識し、各政党のいってきたこと、なしえたことを、つぶさにみて、判断しうるかどうかにかかっている。
小泉構造改革にたいする有権者の関心と期待が一時的に高まって、圧倒的な支持を奪っていったのだが、構造改革が日本社会につくった亀裂が明らかになるにつれて、自民党政治への反発はさらに深まったといえる。
参院選も実はよく似た構図だったと私は思う。結局、小沢代表が、先の小泉と同じ役回りで、左寄りの政策を選挙戦ではかかげ、それが反自民の票を集めるというものだった。小泉は、その主張の本質でもあるだろう、我が亡き後に洪水よ来たれとばかり、構造改革で日本社会に与えたダメージにほおかむりをした。選挙を終え、一方の小沢氏は、自らの政策的方向と参院選戦術の矛盾を解消しようとして、福田首相との密室協議で、大連立を展望したのだった。つまり、民主党は今、政権についておらず、であればこそ、政権に近づくにつれて、自民党とそれほど違わないことを明らかにせざるをえなくなる。なぜなら、彼ら民主党のよってたつところがどこかにそれはよる。少なくとも、民主党が自民党のよってたつところと180度、異なるとは思えないからだ。
つまり、民主党は、政治路線上も、大企業優遇、米国追随をその基本におかざるをえないからだ。
ということで、最近の政局がからんでくる。
政党再編の動き、自民・民主を横断した現政権を批判する勢力の顕在化の問題だ。有権者の自民支持の低下は明らかなのだから、表向き、彼らの主張はより強く自民党の政治を批判する形をとる。加藤、山崎、菅直人、亀井静香であろうと、そして中川秀直であっても、渡辺喜美であろうと同じだ。
そして、民主党からの自民党議員への脱党の勧めもまた、同じ。
一度、彼らの主張を真剣に検討されたらよいが、そこに具体的な政策的主張は何も存在しない。
実は、この点で、小泉も、小沢も、そして今日の彼ら政党再編志向派、現政権批判派は寸分もちがわない。たとえば、政権交代したらすべては片づく、後退したらすべて明らかになる、といわんばかりだ。
つまり、これら現政権批判の可視化は、すなわち本質の不可視化に等しいのだ。
この年末の動きは来年に持ち越し、来年早々に新しい展開もでてこないとはかぎらない。
本質の不可視化とは、別の言葉でいえば、いまの自民党のもつ大企業優遇、米国追随という路線が今後も引き継がれることを徹底して隠しとおすことである。そのための渡辺喜美の、過剰すぎるパフォーマンスであって、中川秀直の懲りない現政権批判であって、場違いに受け取る向きもあったであろう菅の登場なのである。
日本政治の可能性は、基本的に先に示した3つの方向だろうと今でも私は考える(参照)。いよいよその可能性もしぼられてきつつあるという感じなのだが。
その選択可能性を実現可能性に転化しなければならないが、それは、先にのべたように、政治のありようをいかに有権者が認識し、各政党のいってきたこと、なしえたことを、つぶさにみて、判断しうるかどうかにかかっている。
その局面はまさに年末の、雇用問題を軸にしたたたかいに照らし出されている。そして、おそらく年明け早々からつづくであろう雇用問題、国民の生活問題のよりいっそうの深刻化とそれに対抗するたたかいの顕在化にかかっている。
というのも、まさにいまの雇用問題の噴出にこそ、大企業優遇、米国追随か否かが問われているからである。
この年末年始は、何もできなかった政党はどこか、実効ある措置をかちとったのはどの政党か、それを我われの前に明らかにするだろう。冒頭でのべた、表面だけを追っていればなかなか分かりづらかったこの1年間の正体が暴かれるにちがいない。
私は、だからこそ、雇用問題に関心をよせ、政治がどう動くのか、注目したい。
(「世相を拾う」08273)
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