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規制への反転- 志位グッJobから解雇予測の修正まで
自民、民主の対決構図がいかに語られようと、実際の国会審議の内容といえば、それにふさわしいものでは少しもない。この二大政党の国会論戦なんて、まったく迫力がない。
こんな状況が、昨年の大連立密室協議以来つづいている。
一方で、国会審議におけるこの2つの政党の動向とは、実際にはちがったところで政治が動いている。
今年2月、志位共産党委員長が予算委員会で、労働者派遣法をあらため労働者保護法をと迫った。そのなかでキヤノンの雇用実態も暴かれたのだった。
この質問が反響をよび、ネット上では志位グッジョブの文字が躍った。ニコニコ動画のアクセスも急増したという。
その後、キヤノンは、子会社を含めて製造現場で一万二千人におよぶ労働者派遣契約を年内に解消し、六千人を期間工として直接雇用するとともに、残りを業務請負に置き換える方針を明らかにした。同じように、いすゞ自動車も、コマツも、派遣社員も直接雇用に切り替えていく方針を打ち出したり、期間社員にする方針を表明した。
今年は、だから派遣法を取り巻く環境が大きくかわったといえる。規制緩和から規制へ。2009年問題が控えていることも背景にあるだろう。こうした共産党のこの問題での積極的な対応は、労働組合との懇談などを経ての、積み上げられたものだ。
労働者保護、とくに派遣問題をめぐる以上の変化は、昨年の参院選をへていちだんと顕著になった、国民諸階層のこれまでの運動の蓄積が実際に政治を動かしてきた事実と連続している。今、ここで事実と私がよぶのは、たとえば薬害肝炎訴訟や後期高齢者医療制度、医師不足問題などを指している。
これらは、山口美智子ら薬害肝炎患者の長年の運動がかちとったものであり、年齢によるあからさまな差別を持ち込もうとした制度への当の高齢者たちの全国各地での地道な活動であり、本田宏氏はじめ現場の勤務医たちの決起であった。
その労働者の雇用環境は一方で、いよいよ深刻化している。自動車関連産業をはじめ、金融危機と世界不況を理由に解雇・雇い止めが横行する事態にいたっている。当初いわれていた3万人の非正規雇い止めの見通しは、最近8万5千人に修正された。年度末が近づくにつれ、再び修正されることも想定しなければならない。
今朝のテレビでは、派遣労働者をインタビューし、彼らをとりまく雇用環境の実態を映し出していた。財布に残ったのはわずかに26円。こうなると、公的支援か、もしくは家つきの働き口を探すしかない。映像で自らの生活ぶりを語る労働者の一人は31歳だが、ハローワークを訪ねても、就職したいのは、もちろん相対的に安定的な職種、彼の場合は警備員だったが、身元保証人のなり手がない彼は、その点だけで採用からははずされるのだ。
もう一人の労働者は、かつての派遣の生活を述懐していた。少し前のエントリーでとりあげた河添誠氏が語ってくれたことが、この労働者の口から、まるで録音でもしたかのように、まさに再生されて出てくるのだ。派遣会社とそこで働く労働者の非対称的な関係を前提にした貧困ビジネスのしくみが、雇用関係に介在する。転職できても、その機会ごとに貧困に向かう蟻地獄。貧困をつくりだす社会的システムが作動している。昔のタコ部屋にも近い小さな部屋に住まわせ、毎日、部屋代1300円、食事代(3食)1500円を請求する。当然、働かなかった2週間程度の期間に、持参していたわずかなお金はなくなってしまっている。もう、こうなると、働かせる側は生殺与奪の力を得たことになるのだ。湯浅誠氏も登場させ、このしくみこそ貧困ビジネスだと番組は指摘していた。
派遣労働者はこうして、現状から一歩一歩、貧困の過程をたどっていくのだ。湯浅氏はこうした社会を総称して「すべり台社会」とよんだのだった(たとえば『反貧困』)。
この労働者を貧困へ貧困へと誘い込むしくみの前に、派遣労働者はどうしてあがなうことができようか。はいあがる展望をおそらくは持つことが不可能にみえ、そうすると、労働者のとる選択肢の一つに自殺というものがありうる。雇い止めは8万5千をさらに上回るだろうから、そうした状況は、いっそう自殺志向を高める要因になると考えられる。
ここ10年ばかり、すでに日本では自殺者が年間3万人を下回ることはない。西欧諸国とくらべて、はるかに多い自殺者の数。その背景には、もちろん日本の貧弱なセーフティネットがあるだろう。そして、それをおそらく後押しするのが、社会的に貧困に追い込むしくみができあがっていることによっているように私には思える。
1989年以来の、労働者派遣法の改悪がつづき、規制緩和がその流れだった。その結果が、つまるところ今日の事態をもたらしている。そこに多くの人が気づき、世論の高まりによって反転の兆しが明確になっている。その反転をしっかりしたものにしていくためにも、この年末から年明けに大企業への規制強化を求め、社会的な責任というものをとらせることが必要ではないか。
(「世相を拾う」08275)
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