森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
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年の瀬に思うⅢ- 祝儀相場もありえない政治の現状
この年の出来事の一つに、金融危機を欠かすことはできない。
事の発端からすでに1年はとっくに過ぎたわけだけれど、いまだに危機から脱出したとは誰もいえない。よくいわれる100年に一度という言葉が、いまの資本主義がこの危機をいかに大きなものとして受け止めているか、それを端的に表現している。資本主義の限界を説く論調もかなり出てきた。資本主義の危機・・・。
なかなかピンとこないのは、世界一を宣言したトヨタ、日本の企業をリードしたきたトヨタが、一転して赤字に転落するしくみと我われの生活の範囲がほとんど無縁でダブらないためでもあるのだろう。米国ビッグ3もいまや破綻に紛うことなく直面している。
事の発端に少し言及すると、こんなことだ。起点はサブプライムローン市場の広がりだった。日本では比喩的にいえば貧困層はネットカフェ化する。ところが、米国では、ブローカーが登場し、住宅ローンで家を買うことを甘言交え、誘う。周知のように、米国は隣国等からもふくめて海外からの移住者、国籍取得前の貧民は多い。これら貧民がターゲットだったといわれる。彼らが家を買い始めると、住宅価格はどんどん上がる。住宅を取得して転売すれば、差益が生まれる。こんな筋書きが住宅投機を呼んだ。米国の場合、ローン契約を住宅ローン会社、銀行に売りつける。つまり、住宅ローン会社が貧困層にローンを組んでやるのだ。だから、こうして契約は成立する。こんどは、住宅ローン会社が、住宅ローンの債券を、金融機関、証券業に売りに出る。金融機関は、住宅ローンの債券を集めて、利息分を上乗せした新しい紙切れ(証券)をつくる。これを持てば、住宅ローンの債券の利息が手に入るというしかけだ。これを大量につくるのだが、そのなかに延滞や焦げ付きなどの危険のあるものをふくめて、組み替え、きめ細かい証券をつくるわけである。これを大量に売りまくったのだ。農林中金などは膨大な証券を現に抱え込んでいる。
以上で明らかなとおり、住宅ローンの利息込みの証券という紙切れに、結局、全世界の過剰資金、投資家が動員されたといえる。
そもそも貧困層という未払いを前提にした商品でもあるのだから、値崩れした場合の保障を、保険会社が元本を補償するという仕掛けもつくられている。保険をかけるのだ。保険会社に保険料を支払わねばならない。これを、1枚の紙切れに乗せ証券として売る。この証券だけで昨年末、世界で6000兆円だといわれた。
この証券は、1つの保険料が未払いとか元本保証できない自体になると連鎖的に証券が意味を失う。この保険会社の最大のものがAIGだった。周知のとおり、経営危機に瀕したが米国政府によって救済された。
6000兆円という規模は日本のGDPが500兆円だから12年分に相当する。この規模からその衝撃は理解できるかもしれない。100年に一度というのは、その危機の衝撃の大きさを象徴するだろう。
だから、このような取引の全体像を誰も正確に把握することはできない。つぎつぎに連鎖的に表にでてはくるのだが、危機がどの深さまで進んでいるのか、だれも分からない。どの証券会社がどれほどのリスクある証券、債券を抱えているのか、分からない不気味な状態に今、ある。
貧困者を対象にした商品が起点となった今回の金融危機。壮大な貧困ビジネスとその結末ともえいる。
麻生首相は、10月30日に政局ではなく政策だといって、この金融危機への対応を強調してみせた。まさに米国発の天災が日本を襲っているかのように。この発言は、考えてみると、日本の自民党政治の責任というものがすっぽり欠落している。
日本の新自由主義的な構造改革は、今回の住宅ローン問題にみられるカジノ資本主義とともに歩んだわけで、加害者だともいえる。麻生発言はこれを隠蔽する意味でもあった。
米国のバブルに乗じて売り上げを伸ばしてきた、たとえばトヨタが困難に直面している。
私たちは、しかし、こうした一連の経緯のなかで、トヨタが膨大な資本蓄積を図ってきたことにあらためて注目すべきではないか。膨大な利益は、何に転移されたのか。労働者の賃金にか。ではない。社会的にいったい、いかほど還元されてきたのか。つまるところ、内部留保という形でため込まれてきたわけだから。
事の発端からすでに1年はとっくに過ぎたわけだけれど、いまだに危機から脱出したとは誰もいえない。よくいわれる100年に一度という言葉が、いまの資本主義がこの危機をいかに大きなものとして受け止めているか、それを端的に表現している。資本主義の限界を説く論調もかなり出てきた。資本主義の危機・・・。
なかなかピンとこないのは、世界一を宣言したトヨタ、日本の企業をリードしたきたトヨタが、一転して赤字に転落するしくみと我われの生活の範囲がほとんど無縁でダブらないためでもあるのだろう。米国ビッグ3もいまや破綻に紛うことなく直面している。
事の発端に少し言及すると、こんなことだ。起点はサブプライムローン市場の広がりだった。日本では比喩的にいえば貧困層はネットカフェ化する。ところが、米国では、ブローカーが登場し、住宅ローンで家を買うことを甘言交え、誘う。周知のように、米国は隣国等からもふくめて海外からの移住者、国籍取得前の貧民は多い。これら貧民がターゲットだったといわれる。彼らが家を買い始めると、住宅価格はどんどん上がる。住宅を取得して転売すれば、差益が生まれる。こんな筋書きが住宅投機を呼んだ。米国の場合、ローン契約を住宅ローン会社、銀行に売りつける。つまり、住宅ローン会社が貧困層にローンを組んでやるのだ。だから、こうして契約は成立する。こんどは、住宅ローン会社が、住宅ローンの債券を、金融機関、証券業に売りに出る。金融機関は、住宅ローンの債券を集めて、利息分を上乗せした新しい紙切れ(証券)をつくる。これを持てば、住宅ローンの債券の利息が手に入るというしかけだ。これを大量につくるのだが、そのなかに延滞や焦げ付きなどの危険のあるものをふくめて、組み替え、きめ細かい証券をつくるわけである。これを大量に売りまくったのだ。農林中金などは膨大な証券を現に抱え込んでいる。
以上で明らかなとおり、住宅ローンの利息込みの証券という紙切れに、結局、全世界の過剰資金、投資家が動員されたといえる。
そもそも貧困層という未払いを前提にした商品でもあるのだから、値崩れした場合の保障を、保険会社が元本を補償するという仕掛けもつくられている。保険をかけるのだ。保険会社に保険料を支払わねばならない。これを、1枚の紙切れに乗せ証券として売る。この証券だけで昨年末、世界で6000兆円だといわれた。
この証券は、1つの保険料が未払いとか元本保証できない自体になると連鎖的に証券が意味を失う。この保険会社の最大のものがAIGだった。周知のとおり、経営危機に瀕したが米国政府によって救済された。
6000兆円という規模は日本のGDPが500兆円だから12年分に相当する。この規模からその衝撃は理解できるかもしれない。100年に一度というのは、その危機の衝撃の大きさを象徴するだろう。
だから、このような取引の全体像を誰も正確に把握することはできない。つぎつぎに連鎖的に表にでてはくるのだが、危機がどの深さまで進んでいるのか、だれも分からない。どの証券会社がどれほどのリスクある証券、債券を抱えているのか、分からない不気味な状態に今、ある。
貧困者を対象にした商品が起点となった今回の金融危機。壮大な貧困ビジネスとその結末ともえいる。
麻生首相は、10月30日に政局ではなく政策だといって、この金融危機への対応を強調してみせた。まさに米国発の天災が日本を襲っているかのように。この発言は、考えてみると、日本の自民党政治の責任というものがすっぽり欠落している。
日本の新自由主義的な構造改革は、今回の住宅ローン問題にみられるカジノ資本主義とともに歩んだわけで、加害者だともいえる。麻生発言はこれを隠蔽する意味でもあった。
米国のバブルに乗じて売り上げを伸ばしてきた、たとえばトヨタが困難に直面している。
私たちは、しかし、こうした一連の経緯のなかで、トヨタが膨大な資本蓄積を図ってきたことにあらためて注目すべきではないか。膨大な利益は、何に転移されたのか。労働者の賃金にか。ではない。社会的にいったい、いかほど還元されてきたのか。つまるところ、内部留保という形でため込まれてきたわけだから。
日本は、祝儀相場も期待できないほどに、自民党の政治、構造改革路線の破綻がきわまっている。安倍、福田の連続する短命と、そして麻生の急落する支持率に象徴的なように。
いまはこの政治的破綻に加え、麻生首相にあてこすれば未曾有の不況のただなかに日本があるということだ。
現局面で、その犠牲を一手に引き受けざるをえない、非正規雇用労働者、期間工・派遣切りに対抗する一つひとつの決起と運動に大いに期待したい。
(「世相を拾う」08272)
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