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政党再編の可能性- 展望は見いだせるのか。。
昨日の朝のテレビ番組では、麻生内閣への圧力を強めている渡辺喜美が登場し田原総一朗とおしゃべりを繰り返していたが、焦点は、解散を迫ると同時に政党再編への意欲を渡辺が語るというところにあった。中身に新味があったわけではない。しかし、こうした番組編成は、もちろん内閣の急速な支持率低下を前提としているだろうし、メディア全体として内閣の急激な求心力低下を問題にしながら、ポスト麻生に焦点をあてはじめたことを意味している。新内閣発足による効果に期待し支持回帰を図ろうとしてきた自民党の思惑は、これでほぼ費えたといえる。
一方の雇用情勢。今後、予想される3万人の非正規切りはもちろん重大だが、自動車関連産業をはじめ製造業ですでにはじまった期間工・派遣切りをやめさせ、雇用をどう守らせるのか、政治に課せられた当面の緊急課題だ。自民党の右往左往、国会運営の迷走があろうとなかろうと、横に置いておけるものではない。実効ある対応を強力な政府の介入でかちとる必要がある。時は待ってくれない。今日から路頭に迷う者がいる。明日には寮を追い出される者がいる。
彼らにとっては、今回の事態は、まさに政治災害にほかならない。もともと派遣への置き換えは、規制緩和のもと大企業が要求してきたものだったのだから。
先の報道にみられる調査結果によって、一般的にいえば、「大連合」をも選択肢の一つにした政党再編を加速させると推測される。すでに、中川秀直は、フジテレビで露骨にそのことにふれた発言をし、再編のあり方でイニシャティブをとろうとしている(参照)。つまり、中川の発言のねらいは、再編によって、あたかもこれまでの自民党政治のあり方が一変できるかのような世論の形成だ。先の渡辺も同じで、いまの時期に自民、民主を横断した再編をうちあげている者に共通するのは、いまの麻生政権の姿に投影される自民党政治の「否定」である。再編は、自民党政治の枠組みを抜け出たものだという一点を強調することにある。そこを欠いては、国民の支持を期待できないからだ。
こうみてくると、この構図そのものが数年前の繰り返しであることに気づく。そう、あの小泉純一郎の政治手法だ。小泉もまた、自民党をぶっ壊すと声高に叫び、支持をさらっていったのだった。
けれど、残ったものは何であったのか。自民党を小泉は壊せなかった。自民党を壊そうともしなかった。
そのかわりに彼が残したものの象徴が、たとえば今日の非正規労働者への非情な仕打ちにほかならない。規制緩和によるリストラ、非正規雇用の拡大にほかならない。社会保障切り捨てに端的なように弱者のいっそうの差別化にほかならない。
米国発の金融危機が世界を覆っている。いまや世界各国の実体経済を揺るがしている。今日の期間工・派遣切りは、景気後退局面でも利益を追求しようとする大企業・財界の姿を照らし出しているし、そのための乗り切り策にちがいないことを示している。が、上にみたように非正規雇用の拡大が本来、大企業の思惑によって推進されてきたこと、その結果、あえていえば大企業だけがひとり膨大な資本蓄積を図ってきたことを考えると、いよいよこの時期に、大企業にため込んだ内部留保の一部をはき出させることによって、何人もの非正規雇用(の生活)を守ることが可能だということに着目しないわけにはいかない。
この点での国民的合意がどうしても必要だと考える。
ところが、これには当然、障壁が存在する。
自民党や民主党がはたして大企業に毅然としてこれを要求できるかという「難問」が目の前にたちふさがっている。
麻生内閣の支持率の急落とともに、先にみたように再編の動きは急だが、それではこの再編に我われ国民・有権者は期待できるのだろうか。残念ながら、ノンと私は答えざるをえない。
中川も、そして渡辺も、あるいは小沢も、法的措置をとれと叫ぶことはできても、それでは御手洗に、毅然たる態度で非正規雇用切りは違法だと迫り、撤回させられるかといえば、おそらくそれはできない。
つまり、政界再編という名で語られる彼らの展望というものは、自民党政治からの脱出をめざしたものでは一切ないということだ。
当面の、喫緊の課題である首切りを宣告された労働者たちを救えるのは、財界・大企業との文字どおり追及するという意味での対峙以外の何ものでもない。
それは、渡辺喜美にも、小沢一郎にも、中川秀直にも不可能だ。
政党再編の名ですすめられる合流が仮にあったとしても、それでもたらされる政治とは、これまでの自民党政治のやき直しであって、構造改革路線のせいぜい一部修正が期待できるか否かの水準にとどまるだろうと私は確信している。この意味で政党再編に展望があるなど、けっして読者の皆さんに約束することはできない。
しかし、有権者が何かをしなければ事態は動かない。いすゞ労働者の決起にこたえ、今日の政治災害から労働者を救えという問いを発信することを避けてはならない。発しつづけることだ。渡辺喜美にも、小沢一郎にも、中川秀直にもこれを迫り、態度決定させることだ。他人事から脱せよ。
それがほんとうにできれば、そこから政治は動くのではないか。
(「世相を拾う」08256)
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