「植草一秀の『知られざる真実』」
2019/03/20
2019政治決戦スローガンは「最低でも5%」だ
第2286号
ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019032023255553072
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今年の通常国会は6月26日が会期末。
参議院議員通常選挙は7月4日公示、7月21日投票になる可能性が高い。
参院選の投票日まで4ヵ月しかない。
通常国会が閉幕すると直ちに参院選に突入する。
この間隙を縫うように6月28-29日に大阪でG20首脳会議が開催され、
日本が初めて議長国になる。
安倍首相は選挙で大敗しないために、こうした日程を最大限に活用する。
通常国会閉幕後の記者会見で消費税増税の再々延期を表明する可能性もある。
しかし、野党が消費税減税を強く主張しないなら、消費税増税実施+ポイント
還元で突き進む可能性もある。
このポイント還元制度を軸とする政策パッケージは「愚策博覧会」の様相を示
す。
クレジットカード等を利用する「キャッシュレス決済」による消費だけがポイ
ント還元の対象になる。
より重大な問題は、ポイント還元を受けられる条件が
「マイナンバーカードの利用」
になる可能性が高いことだ。
「マイナンバーカード」と「個人消費」が直結される。
個人のプライバシーを国家が全面掌握する事態に至る。
信用できない国家権力がすべての個人情報を握る。
財務省は「ポイント還元が欲しければマイナンバーカードを使え」と脅しをか
ける。
あまりにも下品なやり口だ。
キャッシュレス決済での消費でなければポイント還元をしない。
クレジットカード会社は財務省、金融庁の天下り機関だ。
とても民主主義国家のやり口ではない。
零細事業者は客離れを避けるためには、クレジットカード利用に対応しなけれ
ばならない。
ポイント還元対象でない店舗からは消費者が離れる。
財務省は零細事業者には消えてもらいたいと考えているのだろう。
複数税率は事業者の事務負担を激増させる。
仕入れの仕分け自体も複雑極まることになる。
安倍首相が消費税増税に突き進まねばならない最大の理由は、森友事案で財務
省に巨大な借りがあるからだ。
財務省が事実をありのままに明らかにすれば、安倍首相の退陣は避けられな
い。
このことから、ポイント還元で消費税増税強行の路線が浮上している。
ただし、逃げ道として、日本経済が不況に突入した可能性を確保している。
状況を見て、消費税増税再々延期にカジを切れる条件を整えているのだ。
ポイント還元でのマイナンバーカード利用強制を野党は糾弾するべきだ。
国家による情報収集は国家による人民管理そのものだ。
ジョージ・オーウェルの1984の世界だ。
消費税・キャッシュレス決済・マイナンバーカードの暗黒の連鎖を容認するわ
けにはいかない。
野党は「最低でも5%」を掲げるべきだ。
法人税と所得税の負担を一部適正化するだけで、消費税を5%にできる。
法人税と所得税を適正化すれば、いつでも消費税を廃止できる。
1989年度以降の税収実績がこのことを明白に物語っている。
消費税増税を決めた中心は、かつての野田民主党だ。
旧民主党の悪徳10人衆が政権交代の偉業を完全破壊した。
その罪は万死に値する。
この過ちが現在まで尾を引いている。
しかし、「過ちて改むるに憚ることなかれ」である。
野党は2019政治決戦に向けて、
「最低でも5%」
を共通公約に掲げるべきだ。
これがなければ野党勢力は敗北するだろう。
ポイント還元・マイナンバーカード利用強制=「暗黒の連鎖」を粉砕し、消費
税率をまずは5%にまで引き下げることを2019政治決戦のテーマに掲げる
べきだ。
野党陣営の対応が遅いから、主権者が主導するしかない。
「消費税廃止へ」
そして
「最低賃金全国一律1500円」
の二つを実現するだけで日本は一変する。
この方向にカジを切るべきだ。
政党に対する過大な期待はできない。
「隠れ自公勢力」を支援することもできない。
政策を基軸に
支援候補を選別する。
私たちが求める政策公約を明示する候補に支援を集中させる。
政策基軸
超党派
主権者主導
で進むしかない。
その政策のなかで、2019政治決戦の核心になるのは
消費税問題
だ。
安倍首相は消費税増税再々延期か、5%のポイント還元のいずれかを打ち出し
てくるだろう。
しかし、これではだめだ。
増税延期ではこれまでの政策と変わらない。
ポイント還元にはもれなくマイナンバーカード使用強制という「毒矢」がつい
てくる。
これではだめなのだ。
「消費税廃止へ」の方向を明確に打ち出し、
まずは、消費税率を5%に引き下げることから始めることが重要だ。
5%のポイント還元は、2019年10月からの9ヵ月に限定する施策であ
る。
消費税増税は10年、20年、100年と続く施策だ。
9ヵ月ポイント還元したところで、焼け石に水にもならない。
しかも、マイナンバーカードによる個人情報の国家への提供という「毒矢」が
もれなくついてくる。
消費税増税政策の「非」を分かりやすく訴えることが必要だ。
社会保障が充実した国の消費税であるなら論議の余地はある。
しかし、社会保障制度がこれだけ貧困な日本で、消費税増税の選択はあり得な
い。
「消費税増税で社会保障充実」をいう国家の嘘を正確に見抜いておかねばなら
ない。
『国家はいつも嘘をつく--日本国民を欺く9のペテン』
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に国家の9つの嘘を列挙した。
1「アベノミクス」の嘘
2「民営化」の嘘
3「働き方改革」の嘘
4「2020東京五輪」の嘘
5「日航ジャンボ機123便」の嘘
6「平和安全法制」の嘘
7「刑事司法」の嘘
8「TPPプラス」の嘘
9「消費税で社会保障」の嘘
私たちは国家の嘘を冷静に認識する必要がある。
国家に騙されないためには、その騙しの手口を知ることが必要なのだ。
「消費税で社会保障」の嘘に騙されてはならない。
消費税を廃止し、利権財政を社会保障財政に転換して初めて、すべての市民が
豊かさを実感できる社会が創設される。
消費税増税を推進する勢力、候補者を絶対に支援しない。
これを2019政治決戦に際して明確にしておく必要がある。
消費税増税推進勢力は完全に財務省に取り込まれた勢力なのだ。
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