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「食べてはいけない」トップ5はこれだ

2019年10月29日 09時15分40秒 | 政治

                                

                                 

                      「植草一秀の『知られざる真実』」
                                   2019/10/28
           「食べてはいけない」トップ5はこれだ
             第2467号
   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019102819000059785 ──────────────────────────────────── 11月3日(日)午後2時から4時、東京飯田橋、水道橋、九段下から7~8 分の場所にある「東京しごとセンター」地下講堂で、
安田節子氏による新著
『食べものが劣化する日本』 (食べもの通信社、本体1400円) https://amzn.to/2m28w6b
の出版記念講演会が開催される。
参加費は1000円(資料代)
https://www.tabemonotuushin.co.jp/
私たちの命と健康の源である食べものについて極めて有益なご高話を聴くこと ができるだろう。
新著については、すでに本ブログ、メルマガで紹介させていただいたが、食の 安全、安心に関する主要な重要事項が網羅されている。
私たちの食べものを取り巻く環境は日増しに悪化している。
食べものは私たちの命と健康の源泉であるが、同時に、落命と病気の源泉でも ある。
『食べものが劣化する日本』というタイトルが示すように、日本における食べ もの事情は、落命と病気の方向にまっしぐらに突き進んでいる。
この現実をすべての市民が知っておかねばならない。
本来は、政府が主権者の命と健康を守る役割を果たすべきだが、現実には政府 が主権者の側に立っていない。
ここに重大な問題がある。

日本の穀物自給率は世界125位である。
食料自給率は1960年に80%だったのが2018年には37%にまで低下 している。
これこそ究極の安全保障の危機である。
CIA報告書は「食料は戦略兵器」であると明記している。
国民の命と健康を守るには、安全な食料を確保することが必要不可欠だ。
だから、どの国も農林水産業を守り、国民の生存の源泉を手厚く保護してい る。
農林水産業の保護をせずに食料自給率の低下を放置する日本の政府は、国民の 敵としか言いようがない。
この危うい日本の食料安全保障の現状にあって、唯一高い自給率を維持してき たのがコメである。
しかし、安倍内閣はコメの自給を支えてきたコメの種子の公的管理を破壊して しまった。
種子法廃止は種子ビジネスを独占的に支配するハゲタカ資本の要求に沿うもの である。
日本の主権者の利益ではなく、ハゲタカ資本の利益を優先する。
これが安倍内閣の基本スタンスなのだ。

韓国は米国によってFTAを締結させられた。
そのFTAにISD条項が盛り込まれた。
ISD条項は、ある国に投資した投資家が、投資先国政府の制度によって損害 を蒙ったと判断する場合に、投資先国政府に損害賠償を請求する訴訟制度であ る。
その審理は世界銀行傘下の仲裁廷が行う。
仲裁廷は大資本の意向に左右されやすい特性を有する。
韓国では、学校給食に地元の農産物を優先して使う地産地消条例が制定されて いた。
しかし、2012年3月に発行した韓米FTAにISD条項が盛り込まれ、地 産地消条例が米国農産物を不当に排除するとの理由で韓国政府が提訴される危 険が浮上した。
この危機に対応して、韓国政府は自治体に対して地産地消条例をやめるよう指 示した。
この局面で見事な対応を示したのが韓国自治体だった。
9割の自治体が、地産地消条例を有機農産物条例に改変したのである。
有機農産物を学校給食に用いるとの条例は米国農産物を差別するものでない。
しかし、有機農産物条例を守るには、化学肥料使用、農薬使用、遺伝子組み換 え作物では対応できない。
こうして、韓国は米韓FTAがもたらす危機を見事に跳ね返した。
このことも著書のなかで触れられている。
いまこそ、日本の有機農業大国を目指すべきである。
有益な講演会にぜひお運び賜りたい。

日本の農耕地における単位面積当たりの農薬使用量はOECD34ヵ国のなか で第2位の地位を示す。
まったく自慢にならない。
かつての日本は食料の安全性基準で厳格な国だった。
ところが、過去30年間にその伝統が完全に崩壊してしまったのだ。
理由は単純だ。
日本政府が日本の主権者の利益ではなく、ハゲタカ資本の利益を優先し続けて きたからだ。
日本の農業では、大量の化学肥料、大量の農薬が用いられ、食料自給率が大幅 に低下して、遺伝子組み換え食品の比率が急上昇している。
これが私たちの命と健康を確実に蝕んでいる。
この流れに立ち向かうのが「有機農業大国」の提案だ。
有機農産物の定義は
「化学肥料および農薬を使用しない。
遺伝子組み換え技術を使用しない。」
である。

この有機農産物がいま、世界中で脚光を浴びている。
安田氏の著書では、各国の全農地に占める有機農業面積比率が示されている。
イタリア14.5%、ドイツ7.5%、フランス5.5%に対し、
韓国1.2%、日本0.4%である。
残念ながら、日本は有機農業超小国なのだ。
韓国の有機農業面積比率も高くはないが、1997年に環境農業育成法を成立 させて有機農業面積比率を上昇させている。
ところが、日本では有機農業ではなく、特別栽培農産物が奨励されていると安 田氏は指摘する。
特別栽培農産物は、栽培期間中、農薬や化学肥料を地域の慣行的使用回数の5 割以下に減らすもので、農薬・化学肥料の大量使用農業に比べればましではあ るが、基本は農薬・化学肥料依存農業である。
農薬がもたらす弊害は深刻度を増している。
日本ではホームセンターで販売が野放しにされているグリホサート農薬=ラウ ンドアップが、世界的には使用禁止の方向にある。
ネオニコチノイド系農薬の影響で北半球のミツバチが4分の1に減少してし まったとされる。
ネオニコチノイド系農薬は神経毒性を特徴とする極めて危険性の高い農薬だ。

遺伝子組み換え食品の有害性が懸念されていることも周知の事実だ。
遺伝子組み換え食品を推進する巨大資本は、「科学的に立証されない限りは危 険とは言えない」の主張を繰り返す。
これが「科学主義」と呼ばれるものだが、その意味は、「毒だと判明するまで は食べ続けろ」というものだ。
逆に毒性が懸念されるものについては、「安全性が立証されるまでは禁止して おく」というのが「予防原則」に基づく対応だ。
米国が「科学主義」を主張し、欧州は「予防原則」を基礎に置く。
どちらの姿勢が食の安全を確保するものであるかは自明である。
ところが、日本政府はハゲタカ資本の言いなりになって、米国流の「科学主 義」を基本に据えて、使用規制を強化ではなく大幅緩和している。

2018年8月、米国カリフォルニア州地裁はグリホサートの発がん性を認定 し、グリホサート使用によって悪性リンパ腫を発症した校庭管理人ドウェイン ・ジョンソン氏に対する320億円の損害賠償を命じる判決を示した。
グリホサートの開発メーカーである米モンサント社を買収したドイツのバイエ ル社は同様の訴訟案件を数千も抱えることになり、株価急落に直面している。
世界各国がグリホサート使用規制を強化しているなかで、日本政府は驚くべき ことに2017年、グリホサート残留基準を大幅に緩和した。
小麦は6倍、ソバとライ麦は150倍の濃度を容認した。
日本政府は濃度規制を大幅緩和しただけでなく、使用を認可するグリホサート 製剤の新種も拡大させている。
食の安全を確保するために各国が規制を強化するなかで、日本だけがひたすら 規制緩和の動きを強めている。
政府を刷新することが求められるが、現政権が存続する間も私たちは対応を休 むわけにはいかない。
最大の対抗手段は、私たちが危険性のある食べものを拒絶することだ。
消費者が拒絶すれば、生産者はこれに対応せざるを得なくなる。
これが消費者主権の考え方だ。
『食べものが劣化する日本』の現状を知り、私たちにできる行動を実践してゆ かねばならない。

 



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