曲学阿世:真実を追求し、虚実の世間に迎合するようなことはしたくない。

真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

アベノミクスの欺瞞その2-背徳の消費税大増税

2018年04月09日 10時00分08秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                                                        

                                                 「植草一秀「の知られざる真実」

                    2018年4月9日

                             アベノミクスの欺瞞その2-背徳の消費税大増税

                                  第2012号

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4月19日にオールジャパン学習会の第2弾を開催する。

市民が変える日本の政治
オールジャパン学習会

「さようならアベノミクス」

日時 2018年4月19日(木)
   午後5時30分~午後7時30分

場所 衆議院第二議員会館多目的会議室

講演 植草一秀(オールジャパン平和と共生運営委員)

参加費 無料

国民にとってもっとも切実な経済問題を取り上げる。

安倍内閣は今国会に「働き方改革法案」を提出予定だが、こうした言葉のマ
ジックに騙されてはならない。

「働き方改革法案」ではなく「働かせ方改悪法案」と呼ぶのが正しい。

これも「アベノミクス」の一環である。

アベノミクスは私たちに何をもたらしたのか。

そもそもアベノミクスは正しい政策であるのか。

私たちは、正しい評価をして、正しい選択を示してゆかねばならない。

ものごとには必ず表と裏がある。陽の側面があれば、その裏側に必ず陰の側面
がある。

表と裏、陰と陽を正しく把握して、初めて真実を掴むことができる。



アベノミクスは大資本の利益を極大化させるための方策である。

したがって、大資本から見ればアベノミクスは理想に近い政策であるが、これ
を裏から見ると、アベノミクスは労働者である一般市民にとっては、悪魔の政
策体系と言っても過言でない、百害あって一利のない政策体系なのである。

インフレ誘導は、企業の実質賃金コストを低減させる効果を持つ。

同時に、企業の実質債務残高を減少させる効果を持つ。

したがって、資本の側に利益を供与する政策なのである。

しかし、これは裏を返せば、労働者の実質賃金を減少させ、庶民の貯蓄の実質
残高を減少させる政策であるから、庶民にとっては悪魔の現象でしかない。

したがって、一般国民がインフレ誘導政策に賛成することは愚の骨頂なのであ
る。

安倍内閣は当初、財政政策の活用をアベノミクスのひとつの柱として掲げた。

2013年はその効果で経済の改善が観測された。

しかし、2014年には消費税の大増税を実施して日本経済を撃墜してしまっ
た。

鉱工業生産指数の推移を見ると、日本経済が2014年1月から2016年5
月までの約2年半の間、景気調整局面を経過したことが分かる。

安倍政権は2012年11月以来、日本経済の回復が持続しているとして、回
復期間が「いざなぎ景気」の57ヵ月を超えて、戦後2番目の長さを記録して
いるとするが、これは事実でない。

日本経済は2014年1月から2016年5月に景気調整局面を迎えており、
今回の景気回復は21カ月しか持続していないのだ。



そして、いまなお安倍政権は消費税率をさらに10%に引き上げる方針を変え
ていない。

現状では、2019年10月に消費税率が10%に引き上げられることとされ
ており、このまま消費税再増税が実施されるなら、日本経済は完全に崩壊する
ことになるだろう。

私たちは消費税増税の正体を正確に見抜かなければならない。

消費税増税は、財政再建のため、社会保障費の財源確保のために実行されてき
たのではない。

日本経済を支配する1%勢力の負担を減らし、これを一般庶民に押し付けるた
めだけに実行されてきた。

私たちは、この税制政策が正しいのかどうかを判断しなければならないのであ
る。

そして、アベノミクスの核心部分にあたるのが「成長戦略」である。

「成長戦略」と表現すると聞こえは良いのだが、誰の成長なのか、何の成長な
のかを正確に見極めることが大事だ。

アベノミクスの成長戦略は、「大資本利益の成長」を目指すものであって、
「一般庶民の所得の成長」や「一般庶民の幸福の成長」を目指すものではな
い。

この事実を正しく認識することが何よりも重要だ。

「成長戦略」の中身は、1.農業の改変、2.医療の改変、3.労働規制の改
変、4.法人税減税、5.特区の創設であるが、これらのすべてが、一般国民
の利益の成長ではなく、大資本の利益の成長を目指すものになっている。

アベノミクスは「国民の生活が第一」の考えに基づいて策定されたものではな
く、「国民の生活が台無し」の帰結をもたらすものなのである。



消費税増税について、国民は間違った判断を持たされてきた。

日本財政が破綻の危機に直面しており、消費税増税を実施しなければ、日本財
政が破綻してしまう。

財政危機を回避するためには、国民が「広く薄く負担する」ことが必要だ。

日本社会の高齢化のスピードは他国に類例を見ず、膨張する社会保障費の財源
を確保するには消費税増税を避けることができない。

所得税制度には、所得の捕捉が難しいなどの問題が多くあり、この問題を解消
する意味においても、消費税による徴税は優れている。

こうした「風説」が政府=財務省によって流布され、国民が洗脳された状態に
陥っている。

しかし、上記の主張は「風説」であって、真実ではないのである。

まず、よく言われる日本政府の借金が1000兆円を超えていて、日本政府は
破綻の危機に直面しているという「風説」を検証する。

2015年末の日本政府の負債残高は1262兆円でたしかに1000兆円を
超えている。

日本の2015年の名目GDPは536兆円で政府債務のGDP日比は235
%に達している。

この水準は、財政危機に直面したギリシャの政府債務GDP比180%をはる
かに超える高水準である。



しかし、改ざんや隠ぺいを得意とする日本の財務省は、日本政府の財務状況を
判断するうえで絶対的に重要な、もう一つの数値には絶対に触れない。

それは政府の資産残高である。

日本政府は2015年末時点で1325兆円の資産を保有している。

資産と負債を併せて考えると、日本政府は2015年末時点で63兆円の資産
超過の状況にある。

政府は徴税によって資金を調達する極めて強い力、権限を有する。

この政府が63兆円の資産超過状態にあるわけで、政府が財政危機に陥るリス
クは皆無である。

この指摘を受けて、財務省は資産の一部である金融資産についてのみ数値をア
ピールし始めた。

2015年末の金融資産残高は634兆円で、負債から金融資産634兆円を
差し引いても、差額が691兆円あるとして財政危機だと主張するが、まった
く説得力がない。

非金融資産は流動性が低いが、財務状況を判定する際に、実物資産をカウント
するのは財務判断のいろはのいである。

つまり、財務省は日本国民に対して、日本財政が危機に直面しているという
「虚偽情報」を流布して、消費税増税を推進しているのである。



次に、財政再建や社会保障財源の確保のための消費税増税という説明が、やは
りペテンである事実を示す。

消費税が導入された1989年度の国税収入規模は54.9兆円であった。

それから27年が経過した2016年度の国税収入規模は55.5兆円であ
る。

税収規模はほぼ同一である。

この27年間に生じた変化とは何か。

それは、消費税収の規模が14兆円も増えたことである。

14兆円というのは、年額での変化である。

1年あたりの税収規模が3兆円から17兆円に激増したのである。

これに対して所得税、法人税はどのような変化を示したのか。

所得税は21.4兆円から17.6兆円へと約4兆円減少した。

法人税は19.0兆円から10.3兆円へと約9兆円減少した。

この数値を見ると、何が生じたのかが一目瞭然である。



つまり、消費税増税は財政再建のために実施されたわけでも、社会保障費の財
源を確保するために実施されたわけでもないのだ。

消費税大増税は所得税減税と法人税減税を実現するために実施されてきたので
ある。

2007年の政府税制調査会報告書は、日本の法人税負担についての見解を示
している。

日本の法人の税及び社会保険料負担の国際比較を行ったうえで、

「日本の法人負担が諸外国に比べて高いとは言えない」

との結論を示した。つまり、日本の法人税減税の必要はないとの見解を示した
のである。

ところが、2012年度以降、日本の法人税率の引き下げが激しい勢いで推進
されてきた。

それは、消費税増税の推進者として日本の大企業が選択されたためである。

大企業に減税というエサを与えて、大企業に消費税増税の推進役を依頼したの
である。

大企業はスポンサーとして日本の主要メディアを支配する支配権を有する。

この力を消費税大増税に活用してきたのである。



もう一つ、法人税減税の重要な背景があった。

それは、日本の大企業の支配権をハゲタカ資本が獲得し始めたことだ。

日本の上場企業株式の3割から4割を外国資本=ハゲタカが握っている。

ハゲタカは日本企業の支配権を確保するとともに、日本政府に対して税負担の
軽減を強く求めた。

日本にはハゲタカに雇われた日本人の顔をしたエージェント=ハゲタカの手先
が多数存在する。

ハゲタカは政府の重要会議に、こうしたエージェントを送り込み、税制改変論
議において法人税減税を前面に打ち立てさせたのである。

ハゲタカの税負担を減らすためには受け皿が必要である。

ハゲタカは自分たちの税負担を減らすために、その負担を日本の一般庶民に押
し付けてきたのである。

その法人税減税を押し通すための屁理屈が「日本企業の国際競争力を失わせな
いこと」というものだったが、その内実は、単に「ハゲタカが自分の負担を減
らすこと」だったのである。



所得税減税で見落とせないことは超富裕層の税負担が著しく低いことだ。

超富裕層の所得減は財産所得である。

金融資産が生み出す利子・配当所得に20%という定率の税率が設定されてい
る。

金融資産所得の分離課税が認められていることによって、超富裕層が圧倒的な
優遇を受けている。

アベノミクスが推進してきた消費税大増税が、いかに日本の一般国民の利益に
適っていないか、日本の一般国民にとって害悪の大きいものであるのかがよく
分かる。

 
 
 
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