「植草一秀の『知られざる真実』」
2018/05/22
安倍首相が加計学園獣医学部新設を主導か
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安倍首相の虚偽答弁が明白になりつつある。
愛媛県が5月21日、加計学園の獣医学部開設に関する新たな文書を参院予算
委員会に提出した。
このなかで、2015年3月に行われた加計学園と愛媛県の打ち合わせ内容が
明らかになった。
愛媛県が提出した打ち合わせの内容を記録した文書によると、この打ち合わせ
で加計学園は、2015年2月25日に加計学園理事長の加計孝太郎氏と安倍
首相が15分程度面会したとのことである。
加計氏は愛媛県今治市に設置予定の獣医学部で国際水準の獣医学教育を目指す
ことなどを説明した。
これに対して、安倍首相は、「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と述
べていたとされている。
安倍首相は2017年の国会答弁で、加計学園の今治市での獣医学部新設の意
向を早い段階から知っていたことを明らかにしていた。
5月9日答弁では、「特区に申請した段階で、当局から説明を受けるわけで、
当然、総理大臣として知りえた」
6月5日答弁では、「申請を今治市とともに出された段階で承知した」
と述べている。
今治市が国家戦略特区を申請したのは2015年6月であることから、少なく
とも2015年6月の段階で加計学園の意向を知っていたとの疑いが強く持た
れている。
ところが、2017年7月24日の衆院予算委で突然、加計学園の意向を知っ
たのは、同学園が事業者に認定された今年1月20日だと答弁を修正した。
安倍首相は野党の追及に立ち往生して答弁を何度も中断したうえで、結局、
「知りうる立場にあったが、実際には認識しなかった」、
「申請を決定する段階(2017年1月20日)で承知をした」
と、従来の答弁を修正した。
安倍首相は加計学園の今治市での獣医学部新設の意向を早い段階から知ってい
たと答弁していたが、これを突然、昨年の7月24日に、2017年1月に初
めて知ったと修正したのである。
ところが、実際には、安倍首相が、やはり早い段階から加計学園の意向を知っ
ていたことを裏付けるさまざまな「証拠」が明らかになっている。
新たに公表された愛媛県の資料は決定的証拠であると言える。
柳瀬唯夫首相秘書官(当時)は2015年3月から6月にかけて3回も首相官
邸で加計学園の職員と面会している。
この面会を受けるかたちで2015年6月に今治市が国家戦略特区に獣医学部
新設を申請した。
その直前の2月25日に、安倍首相が加計学園の加計孝太郎理事長と面会して
いたことを愛媛県文書は明らかにしたのである。
公表されている首相動静には安倍首相と加計孝太郎氏との面会が記載されてお
らず、安倍首相サイドと加計孝太郎サイドは面会の事実を否定しているが、こ
の説明を鵜呑みにはできない。
首相動静には実際には面会をしているが掲載されないものが無数に存在する。
このことは安倍首相自身が国会答弁で明言している。
2015年2月25日に安倍首相が加計孝太郎氏と15分の面会をした。
愛媛県が公表した記録には、加計学園職員が打ち合わせでこの事実を明らかに
したと記録されている。
安倍首相の側は面会の事実を否定しているが、面会がなかったことの証明には
ならない。
面会があったことを認めれば、安倍首相の国会答弁はすべて崩壊する。
当然のことながら、安倍内閣は総辞職に追い込まれることになるだろう。
安倍首相は、この事実を否定しないわけにはいかないのである。
しかし、2015年2月に安倍首相と加計孝太郎氏が面会をしていた事実は、
すでに多くの者が知るところになっていたと思われる。
その認識の下で、安倍首相に対して、繰り返し2015年4月の直前に加計孝
太郎氏と面会した事実の有無を確認していたのだ。
今後、この事実の真偽を明らかにすることが最重要の焦点になる。
面会の事実が明らかになれば、安倍内閣は総辞職を回避することは極めて困難
であるだろう。
面会の事実が明らかになれば、加計学園の獣医学部新設のプロジェクトは文字
通り安倍首相自身が指揮した「首相案件」であったことが裏付けられる。
重大な政治腐敗問題が明らかになるのである。
表面で確認できる事実だけでも、安倍氏は加計孝太郎氏から飲食やゴルフなど
の接待供応を受けていることが明らかになっている。
職務権限のある者が事業の認可を受ける事業者から利益供与を受けていれば刑
事事件に発展する可能性も浮上する。
加計疑惑は極めて重大な局面を迎えている。
昨年の2月以来、国会の中心テーマはもりかけ山口疑惑、セクハラ疑惑であり
続けている。
主権者のなかに、国権の最高機関でこの問題ばかりに時間をかけているのはい
かがなものか、との感想を漏らす人がいる。
もっともな感想である。
こんな問題で国会審議が占有され続けていることは異常である。
国会はこの種の問題を早期に解決して、本来の国政の重要課題についての審議
を中心に据えるべきである。
当然のことだ。
しかし、このことは、森友疑惑や加計疑惑を曖昧なまま幕引きを図ることを正
当化する理由にはならない。
森友疑惑、加計疑惑はもっとも根源的な政治腐敗事案である。
しかも、この二つの問題は安倍首相自身が疑惑の中核に位置する問題なのであ
る。
表面的に巨額の資金が動いているのかどうかが重要なのではない。
透明、公正、公平であるべき行政が、政治権力の私的な意向で歪められたとい
う重大事案なのである。
したがって、重要なことは、早期に全容を解明し、責任問題を適正に処理する
ことなのだ。
森友疑惑の中心人物の安倍昭恵氏は、いまだにただの一度も公の場で説明をし
ていない。
安倍首相は安倍昭恵氏が問題の中核に位置している事実を踏まえて、安倍昭恵
氏による説明の場を設けるべきである。
それが責任ある行動である。
籠池泰典氏に対しては安倍首相が指揮して、いきなり証人喚問を実施した。
証人喚問をむやみに実施するべきではないとの主張があるが、その証人喚問を
むやみに実施することを指揮したのが安倍首相自身である。
その一方で、安倍昭恵氏に対する参考人招致、証人喚問から安倍首相は逃げ続
けている。
主権者に対して「丁寧に真摯に説明する」と言いながら、この言葉をまったく
実行していないのである。
「不幸の原因は矛盾にある」という。
「丁寧に真摯に説明する」と言いながら、まったくその行動を示していない。
この矛盾が安倍政権を追い詰めている主因なのである。
加計疑惑では、加計孝太郎氏に説明責任を果たさせるべきである。
また、愛媛県の中村時広知事が新しい重要事実を示しており、この内容は安倍
首相や柳瀬唯夫氏の国会での発言と完全に対立している。
柳瀬氏の国会での説明が虚偽である疑いが濃厚になっている。
安倍政権がこうした真相解明のための行動を適正に取っていないことが、この
問題に決着がつかず、国会の審議を占有し続けている主因なのである。
国会での議論が最終的に多数決で決着されることは是認されるが、議会政治を
有用なものにするには、真摯な議論が必要である。
多数勢力であっても、少数意見に必ず耳を傾ける。
多数勢力が不祥事を追及されたなら、真摯にその問題に向き合う。
取るべき責任あれば潔く責任を取る。
これが議会政治を有効に機能させる道である。
しかし、安倍政権にはこの姿勢がない。
「数の力」だけに依存して、説明責任を果たさない、取るべき責任を取らな
い。
これでは議会政治は機能を発揮しない。
議会政治の死をもたらしているのは、安倍政治の政治私物化行動なのである。
この国会ではTPP11、同関連法案、IR法案、働かせ方改悪法案などの重
要問題が審議されている。
国民生活の未来を左右する重大問題である。
これらの重大問題が審議もされずに、「数の力」だけに依存して強行採決で決
定される。
このような横暴な国会運営に対して、主権者はどう行動するべきか。
それぞれの問題に積極的に対応することはもちろん重要であるが、より重要な
ことは、次の国政選挙での投票に、政治の現状に対する評価、判断を的確に示
すことである。
横暴な国会運営を展開する政権に対して、主権者は選挙の機会に、はっきりと
NOの意思を示す必要がある。
そのための反安倍勢力の結集が強く求められている。
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