セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「超高速!参勤交代」

2014-07-21 00:16:07 | 映画感想
 わざわざ映画館まで行って観るほどではない気もするけど、肩の凝らない
ライト時代劇で、それなりに面白いと思います。

 「超高速!参勤交代」(2014年・日本)
   監督 本木克英
   原作・脚本 土橋章宏
   撮影 江原祥二 
   出演 佐々木蔵之介
       西村雅彦
       深田恭子
       伊原剛志

 隠し金山の嫌疑をネタに藩取り潰しを狙う悪老中が、
 国元へ帰り着いたばかりの東北の小藩・湯長谷藩(福島県磐城市)藩主へ
再度の参勤を命ずる。
 しかも、刻限は通常の半分で5日(実質4日)、飢饉の名残りと帰郷費用で
藩の蔵は空っぽ。
 意地と無い知恵絞って「いざ、江戸へ!」

 アリテイに言えばTV時代劇に毛が生えたくらいの作品。
 それを何とか映画として観るに耐える作品にしたのは、人の良い殿様を硬
軟織り交ぜて演じた佐々木蔵之介と頼りない知恵者の家老を演じた西村雅
彦の二人の演技に負う所が大きかったと思います。
 特に佐々木蔵之介の殺陣は中々見事でサマになってました。
 (居合いだから一発の殺陣は良いけど続くと少し粗が出るかな)
 時代劇は、やはり殺陣が決まらないといけません・・・、家臣の殺陣には悲
惨なのもあったけど。(笑)
 意外と掘り出しモノだったのが深田恭子。
 時代劇に馴れてないのか、所作、台詞回しにぎこちなさは有るけど、結構
サマになってました。
 (和服の似合う人ですね~痩せて見える)
 但し、初登場シーンの台詞と女郎同士の荒事シーンは学生の演劇部レベ
ル。
 寺脇康文は上手いけど、相変わらずで可も無く不可も無くと言ったところ。

 僕の持論だけど、コメディに下手な役者は要らない、入れちゃダメなんです
よ。
 どんな役でも、しっかり上手に役者が演じないと一気にレベルが下がるん
です。
 この作品で、大きく足を引っ張ってたのが敵方の忍者連中。
 そこそこ重要な役なのに、揃いも揃って演技が出来てない、JACの新人を
引っ張ってきたのかと思うくらい。
 特に女忍びを演じた人、はっきり言って学芸会レベル、酷なようだけど夢と
現実の差を認識した方が本人の為だと思います。
 (7.22追記 「大鹿村騒動記」の雷音クンだったのか。あの時は悪くなかっ
 たけど、今回は酷いとしか言いようがない)
 陣内孝則と伊原剛志は悪目立ちしすぎ。
 陣内さん。多分、監督の指示だとは思うけど、何だかなァ。
 「「水戸黄門」に出てくるような悪代官をステロタイプのまま派手に、且つ
陣内さんの色を付けて」
 監督の狙いはそんな所なんだろうけど、ちょっと楽しみすぎ。
 勧善懲悪モノは「悪」が巨大で手ごわい程、面白くなるのがセオリー。
 あれでは、只の選民主義のアホ。
 この作品にカタルシスが少ないのは敵方の親分が、役職が高いだけのア
ホだから。そこが薄っぺらく感じてしまう最大の原因。
 アイデアは悪くないんだから勿体ないですよ。

 2時間近く飽きさせず面白くも感じられるけど、点数を付けるとギリギリ「可」
の60点くらいになってしまうのは、上手いのと下手なのの差が有りすぎなの
と、いまいちカタルシスに欠けるから。
 制作委員会にテレビ東京が入ってたから、来年の正月特番でオンエアする
んじゃないかな。
 お炬燵に煎餅、お茶、蜜柑が似合う映画です。

※大名行列は一種のショーだけど、大名駕籠が通る時は庶民は土下座。
 時代劇にシキタリ(と身分差)が無ければ時代劇とは言えません。
※江戸屋敷で出迎えたのが殿の妹御、という事は御正室様はお亡くなりにな
 ったようで。
 (7.22追記 お取り潰しは必定と見て、離縁状置いて実家へさっさと帰った
 らしい)


ーー(ネタバレ注意ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※最近のTV時代劇の悪い所、「善人は死なない」
 劇なんだから、死ぬ奴はちゃんと死んで下さい。
 (多分、そんな所だろと思ってたけどシラける)
 

 

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