セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「砂の器」(2) やっと気付いたこと

2014-07-18 23:24:19 | 映画感想
 (ネタばらしの類ですので未見の方はご注意願います~この作品、犯人は誰?
という映画ではないのですが~ウダウダ個人的妄想語りですからご興味のない
人はスルーで、結論だけ知りたければスクロールして最後の方だけ読んで下さい)

 昨日の記事で「推理モノのスタイルを使った世話物」(推理モノ風味の世話物)
と書きました。
 今日の記事は、それを立証するのが目的ではないのですが、その証左の一つ
になってしまうと思います。
 但し(笑)、全くの個人的妄想ですので、そのお積りで。
 (多分、多くの人が気付いてる事なんだろうけど、僕は鈍いので今回漸く気付き
ました~原作未読なので小説でどのような記述になってるか知りません)

 今西警部補「不思議なのは、(三木謙一が)旅館の近くにある「ひかり座」に二日
も続けて出掛けている事であります」

 何故、三木謙一が二日続けて映画館「ひかり座」に出掛けたのか?
 何故、写真の和賀英良が本浦秀夫であると見抜いたのか?
 和賀の顔に秀夫の面影がある事を気付き、二日目はその念押しだった、僕は40
年間、そう思い込んでいました。
 僕以外にも、そう思ってる人は多いんじゃないかな。(汗)

 その本当の答えは、捜査会議で和賀の写真がアップになった次のカットに出てい
ます。
 和賀が本番前の控室で鏡を見てるカット。
 有っても無くても全然困らないように見えるこのカットがヒントなのですが、初見の
人には絶対解らない。
 何故なら、答え(三木が気付く)が一番最初で、次がヒント、更に20分位後に原因
が出てくるのですから解りようがない、推理モノなら材料は答えの前に出しておくの
が必然なのに、この作品では完全に逆。
 これでは推理モノには成り得ないでしょう。

 三木謙一は秀夫を探しに旅に出た訳じゃないんですよね、頭の片隅に秀夫の手掛
かりが掴めるかもと云う漠然とした願望は有ったかもしれませんが、目的は、あくまで
も「のんびりお伊勢参り」で気持ちの殆どは、そこに有ったと思われます。
 何も用意のない、然も、20年近く前ほんの半月位共に生活しただけの少年、その間
には米軍による焦土作戦もあった、半分は死んでると思ってたんじゃないでしょうか。
 それが、ふと目に留めた写真に秀夫の面影を直感的に感じた。
 恐らく、何度も何度も和賀の顔に少年秀夫の顔を重ねたのでしょう。
 でも準備してた訳じゃないので、かなり慌てて動転していたのではないでしょうか。
 そして宿へ帰る、部屋へ入ってからも繰り返し反芻し、かなりの確信を持ったと思い
ます。
 でも、それだけでは、どうにもならないじゃないですか。
 「あんた、和賀ナントカと言うてるけど、本当は本浦秀夫じゃろ」と問い詰めたところで、
 「残念ながら人違いです」で終わり。
 そこは元警察官、少し冷静になって言い逃れできない確証、身体的特徴を必死に思
い出そうとして、あの頃の記憶を一つ一つ点検していく。
 そして漸く一つ思い出した・・・。
 二日目は、それを確認しに行ったんじゃないでしょうか。
 (面影なんて曖昧な事で解ったのなら、開館と同時に写真を見て急ぎ名古屋へ出て
急行「東海」に乗れば16時頃には東京へ着けます)
 夜行「伊勢」の発車時刻まで伊勢に留まったのは、否定するかもしれない和賀の逃
げ道を、どうやって塞ぐか作戦を練ってたんじゃないでしょうか。
 (早朝の電話、戸籍という証拠を持ってる和賀が、何故、のこのこ出掛けるハメに)
 僕は、そう推測しました。(汗)

 その答えは、額の傷。
 親子遍路の道中、巡査(浜村純)に村を追い出された際、突き飛ばされて転落した
時に負った額の傷。
 但し、「ひかり座」に掲げてある写真では殆ど解らないです、ボケてるし。(笑~今、
DVDを借りてきて観てるんだけど)
 その次のカットが鏡を見てる和賀なんですが、「このナルシストめ!」なんて思いな
がら和賀の視点が微妙にズレてるのに漸く気付いて「あ!」、40年掛ったけど、やは
り映画館だと集中力が違うのかな、なんて。(笑)

 以上、ちょっとした妄想でした。(汗)

 「野良犬」で木村功のズボンに「それじゃお客さんに解らないよ」と通常の何倍も泥を
ぶっ掛けた黒澤監督ってサービス心溢れてたんだなァ、と再確認。
 野村さんの場合、DVDで一時停止して観ても殆ど解らないもん。(笑)

※この傷跡、重要な証拠なのに、かなりイイカゲン。(笑)
 捜査会議で配られた写真では殆ど解らないけど、今西が千代吉老人に見せる写真
 ではクッキリ。(究極の後出しジャンケン)
 傷跡の位置も、何か適当。(爆)
 「神は細部に宿る」と言いますから、この辺はきっちり描いて欲しかった。
 
 

 

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