「テルアビブ・オン・ファイア」(「Tel Aviv on Fire」、2018年、ルクセンブルク・仏・イスラエル・ベルギー)
監督 サメフ・ゾアビ
脚本 ダン・クレイマン サメフ・ゾアビ
撮影 ロラン・ブリュネ
音楽 アンドレ・ジェジュワ
出演 カイス・ナシェフ
ヤニブ・ビトン
ルブナ・アザバル
マイサ・アブドゥ・エルハディ
第三次中東戦争直前を舞台にしたパレスチナの人気TVドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」に雑用係兼ヘブライ語監修として縁故採用されたサラーム、しかし、イスラエル/パレスチナの国境検問所でドラマの脚本関係者と言った事から脚本家と誤解され、更に、検問所のボスが本人より才能があって脚本に介入してくる、右往左往してるうちサラームの眠っていた才能も磨かれていって・・・。
予告篇 https://www.youtube.com/watch?v=t_M9VHKAl8Y
製作国を見れば判りますが、日本に当て嵌めれば日本資本で作られた李香蘭主演で中国を舞台にした満洲映画社作品、それを当時の中国人がどう思って観ていたのか、それと同じで、この作品をパレスチナ国民が観てどう思うのか僕には解らない。
でも、映画好きには堪らない面白さがある、作品制作の裏側を物語にした「映画に愛をこめて アメリカの夜」、「蒲田行進曲」、「カメラを止めるな!」と同じ系譜なれどパレスチナとイスラエルという不倶戴天の敵同士、かなりな深刻すぎる問題を抱えているだけに直接的当事者でない日本人には面白がっていいのか躊躇いはある、しかし作品は誰が何と言おうと面白い、僕はそこを大事にしてる人間です。
また、「バジュランギおじさんと、小さな迷子」がインド人によってインド人、パキスタン人が演じ分けられてるのと似て(主演も助演もムスリムだけど)、多分、かなりのイスラエル人がパレスチナ人を演じてるのでしょう、でも、それが2020年の現実なのだからしょうがないとしか言いようがないのです。
全体的にコメディなので軽いタッチで描かれていますが、かなりの皮肉も含まれています、イスラエル人の検問所のボスがアラブの郷土料理フムス大好きで、パレスチナ人であるサラームはパレスチナの武装蜂起時の食糧難で毎日缶詰のフムスばかり食べさせられてトラウマになってる、又、ドラマは好評でもう一人の脚本家が言う「アメリカのTVドラマのようにシーズン2、3、4・・・ずっと続けられたら」と、ラストシーンのシナリオの副題キャッチフレーズを合わせれば、これはイスラエルとパレスチナの終わらない紛争の現実をウンザリ気味に皮肉ってるのでしょう。
作中の台詞で否定はされてるけど、ある意味、パレスチナの女スパイとイスラエルの軍司令官の恋物語(TVの連ドラ)だから現代の「ロミオとジュリエット」、それを上手にフィクションとして処理した面白い作品、これが僕の感想です。
※ダブルヒロインだけどマリアム役のマイサ・アブドゥ・エルハディが若い頃のビビアン・スー(台湾)に見えてしょうがない。(笑)
※中東戦争は第4次まであるのですが武田・上杉の川中島と同じく「第3次」がイスラエルとアラブ連合の事実上の決戦でした、「第4次」に関しては、これは低俗な陰謀論の類なんだけど、ある意味勝ち過ぎたイスラエルの負担(占領したシナイ半島全体の広大な防御線はレバノン、シリア、ヨルダンとの国境を抱えるイスラエルの人口ではキツい〜摂津一国の兵力で巨大な大阪城を防衛するようなもの)、エジプトにとってもシナイ半島失権の汚名はアラブの盟主として、また政権の維持に関わる緊喫の問題だった、だから「第4次」はシナイ半島をエジプトに返す為のイスラエルとエジプトの出来レース(短期間だったし)という見方もあります。
第三次中東戦争 強力なアメリカ合衆国の支援があるとは言え遠方であり、陸続きのレバノン、シリア、ヨルダン、エジプト、そしてサウジアラビア等のアラブ連合が「アラブの大義」の元、イスラエルを圧迫、三方を話し合い不可の敵に囲まれ残りの一方が海、文字通り「背水の陣」の中、ダヤン将軍の先制攻撃とその後の各個撃破によって勝利を収めるも国家総力戦の為、国力の疲弊も大きかった。
「アラブの大義」(アラブの地はアラブのもの) 簡単に言えばラグビーの「One for all、all for one」の国家版、即ち、アラブのどの国か一国でも攻撃されたらアラブ国家全部で反撃するというもの。
R2.10.25
DVD
監督 サメフ・ゾアビ
脚本 ダン・クレイマン サメフ・ゾアビ
撮影 ロラン・ブリュネ
音楽 アンドレ・ジェジュワ
出演 カイス・ナシェフ
ヤニブ・ビトン
ルブナ・アザバル
マイサ・アブドゥ・エルハディ
第三次中東戦争直前を舞台にしたパレスチナの人気TVドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」に雑用係兼ヘブライ語監修として縁故採用されたサラーム、しかし、イスラエル/パレスチナの国境検問所でドラマの脚本関係者と言った事から脚本家と誤解され、更に、検問所のボスが本人より才能があって脚本に介入してくる、右往左往してるうちサラームの眠っていた才能も磨かれていって・・・。
予告篇 https://www.youtube.com/watch?v=t_M9VHKAl8Y
製作国を見れば判りますが、日本に当て嵌めれば日本資本で作られた李香蘭主演で中国を舞台にした満洲映画社作品、それを当時の中国人がどう思って観ていたのか、それと同じで、この作品をパレスチナ国民が観てどう思うのか僕には解らない。
でも、映画好きには堪らない面白さがある、作品制作の裏側を物語にした「映画に愛をこめて アメリカの夜」、「蒲田行進曲」、「カメラを止めるな!」と同じ系譜なれどパレスチナとイスラエルという不倶戴天の敵同士、かなりな深刻すぎる問題を抱えているだけに直接的当事者でない日本人には面白がっていいのか躊躇いはある、しかし作品は誰が何と言おうと面白い、僕はそこを大事にしてる人間です。
また、「バジュランギおじさんと、小さな迷子」がインド人によってインド人、パキスタン人が演じ分けられてるのと似て(主演も助演もムスリムだけど)、多分、かなりのイスラエル人がパレスチナ人を演じてるのでしょう、でも、それが2020年の現実なのだからしょうがないとしか言いようがないのです。
全体的にコメディなので軽いタッチで描かれていますが、かなりの皮肉も含まれています、イスラエル人の検問所のボスがアラブの郷土料理フムス大好きで、パレスチナ人であるサラームはパレスチナの武装蜂起時の食糧難で毎日缶詰のフムスばかり食べさせられてトラウマになってる、又、ドラマは好評でもう一人の脚本家が言う「アメリカのTVドラマのようにシーズン2、3、4・・・ずっと続けられたら」と、ラストシーンのシナリオの副題キャッチフレーズを合わせれば、これはイスラエルとパレスチナの終わらない紛争の現実をウンザリ気味に皮肉ってるのでしょう。
作中の台詞で否定はされてるけど、ある意味、パレスチナの女スパイとイスラエルの軍司令官の恋物語(TVの連ドラ)だから現代の「ロミオとジュリエット」、それを上手にフィクションとして処理した面白い作品、これが僕の感想です。
※ダブルヒロインだけどマリアム役のマイサ・アブドゥ・エルハディが若い頃のビビアン・スー(台湾)に見えてしょうがない。(笑)
※中東戦争は第4次まであるのですが武田・上杉の川中島と同じく「第3次」がイスラエルとアラブ連合の事実上の決戦でした、「第4次」に関しては、これは低俗な陰謀論の類なんだけど、ある意味勝ち過ぎたイスラエルの負担(占領したシナイ半島全体の広大な防御線はレバノン、シリア、ヨルダンとの国境を抱えるイスラエルの人口ではキツい〜摂津一国の兵力で巨大な大阪城を防衛するようなもの)、エジプトにとってもシナイ半島失権の汚名はアラブの盟主として、また政権の維持に関わる緊喫の問題だった、だから「第4次」はシナイ半島をエジプトに返す為のイスラエルとエジプトの出来レース(短期間だったし)という見方もあります。
第三次中東戦争 強力なアメリカ合衆国の支援があるとは言え遠方であり、陸続きのレバノン、シリア、ヨルダン、エジプト、そしてサウジアラビア等のアラブ連合が「アラブの大義」の元、イスラエルを圧迫、三方を話し合い不可の敵に囲まれ残りの一方が海、文字通り「背水の陣」の中、ダヤン将軍の先制攻撃とその後の各個撃破によって勝利を収めるも国家総力戦の為、国力の疲弊も大きかった。
「アラブの大義」(アラブの地はアラブのもの) 簡単に言えばラグビーの「One for all、all for one」の国家版、即ち、アラブのどの国か一国でも攻撃されたらアラブ国家全部で反撃するというもの。
R2.10.25
DVD
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