伊藤正孝 『南ア共和国の内幕』

2020-06-09 16:53:41 | 民族学

アフリカというとどうしても黒人というイメージが強いですね。

しかし、実際にそこに赴いてその人たちと一緒に生活した人がどれだけいるかわかりません。

そして想像しやすいのがやはり、黒人に対する差別の歴史でしょう。

こういった事が日本人は、今国内でないために、その惨状がどのようなものか、これまでに聞いてきたこと、写真などでみたことを更に想像していくことしかないですね。

そういったことを理解していく努力はやはりすべきだと思います。

その惨状は、この本でも知ることができます。

この本が書かれた当時の71年においては、1300万人の黒人が、360万人の白人の下に、無権利状態に置かれていたということです。

白人の乗せた車と黒人の乗せた車が衝突し、すぐさま白人たちは救急車で運ばれ命を取り留めたが、黒人たちはそのまま据え置かれて死んでしまったというエピソードが最初に出ています。

その他これだけの少数派にもかかわらず、白人アフリカ87%の土地を収用していたということです。

ケープ州には、オランダ系の白人の移民が多くいましたが、当然、地元の黒人との間に恋愛感情になることもあり、結婚に至るケースも少なからずあったようです。

しかし、混血の場合、その生れた子が黒人になる場合もあればない場合もあることを知って私は驚きました。

その後、子孫が繁栄していくと何代か後に、白人同志が結婚しても、何代かまえに黒人の血が入っていると黒人の子が生まれることもあるそうです。 その恐れを抱く夫婦もいるそうです。

そして、その系譜で黒人が生まれると修道院へ送られるようです。

更に驚いたことに、教会ではアフリカ黒人白人の下僕にみたてて、白人を主人と説く教義まで存在するということです。

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これは白人のプロパガンダなのかどうかわかりませんが、これによって白人との主従関係が固定されてしまうのに貢献しているのは明らかです。

黒人を略奪、弾圧するのに最高の役を果たしたのは、イギリスでしょう。

これが決定的になったのは、19世紀後半に起きたボーア戦争でしょう。

ダイアモンドイギリスが略奪し、英国の資本独占が決定的になったのです。

世界の金の7割を南アフリカが算出していたのですから、それは凄い額だったのでしょう。

英国人は働かずして、現地のアフリカ人を働かせて、収入の差を15:1という比率にまで上げたようです。

それのみか、法律は黒人差別を旨として、職業確保という名で、黒人にお金の良い職業につけさせないようにしていたようです。

差別は人工的に創出されているとこの著者は表現しています。 このような差別はどうして起こるか? やはり生理的に受けつけないというような人も当然いるでしょう。

それゆえに優越感に浸りたいがために、差別をするというような人も少なからずいるでしょう。

この南アフリカには日本人も住んでいるらしく、その登場してくる日本人も白人たちと同様に差別していたようです。

その慣行が、それをみていた子供たちが見習い、それを同じようにして、それが連鎖反応的に拡大していってしまうというような悪弊ですね。

 

これは文化的な伝播の恐ろしいところで、それを断ち切らない限り、それが文化として定着してなかなか改まらないのですね。

その文化的な伝播の恐ろしいところは、かつて中国密航斡旋業者とそれにかかわる中国人の人治社会を描いた『蛇頭』や、その他中国社会の恐ろしさを書いた本をよんでつくづく思い知らされました。

しかし、差別は、その下に見たいという卑しい心の持ち主たちだけが原因でないことがわかりました。

それは他の本も参照しながら読むとわかるのですが、資産家たちが黒人を使役して働かせて、巨万の富を得たいがために、差別的なプロパガンダを繰り返すという手段を採るということがわかりました。

それは『人種差別と偏見』という本を以前に紹介したことがあります。

それを併せて読むと、更に理解がふかまるでしょう。

※参考ページ

  ↓

『人種差別と偏見』について紹介したページ

https://blog.goo.ne.jp/ladyevil/e/66cf57c894fb837dee3d9f03450ee1ec

 

しかし、そのように身体的にも経済的にも虐げられてきた黒人は、やはり黙ってはいず行動的にでるのが当然でしょう。

ソエトという町において、売春と飲酒のはびこる街で、密造酒を作るだの、殺人を犯すといった犯罪行為に出る黒人が多いようです。

その密造酒には、薬品が入っていてそれを飲むと、高い率で盲目になる人や死ぬ人が出てしまうようです。

ここでは殺人が、人口で割りだした割合でいうところの東京の83倍もあるようです。

アフリカでは、週給制のために、金曜日にそれが行われるので、金曜は強盗団が出没するようです。

その他、どれくらいの差別がここ南アフリカでおこなわれていて、どのような惨状を引き起こしているかはこの本を読んでいただくのがいいでしょう。

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アフリカ政府は、地下資源(鉄鉱石、石炭)を日本が毎年大量に買ってくれるという理由で、国民には白人の一種としてみるように呼び掛けているようですが、実際の国民は有色人種としてしか見ていなかったようです。

先にも書いたように、差別的な言動をとる日本人が現地におおくいたからですね。

これを覆していく努力を、これからの日本人の課題でしょうが、かといって誰でも黒人を寛容にしていくというようなことは慎まないといけません。

これは差別的な偏見で言うのではなく、古今東西サイコパスという心理で生きている人はいるからです。

罪を犯しても何ら心が咎めない人ですね。 暴力をしても、窃盗をしても、殺人をしても何ら心咎めない人はいるのです。

そういう人は、人から優しくしてもらっても嬉しくないし、人から嫌われようがお構いなしなのです。

そういう人は、たとえ南アフリカにおいてもいますから注意が必要です。 甘い顔して、中身は極悪人というような人は、貧しい国でも当然いるのです。

それは教育によって解決するんじゃ、というような意見が聴こえてきそうですが、そんなことはないのです。

刑務所で教育を徹底的に叩き込まれても、そこから出所した人の再犯率は4割以上なのです。

しかも、たとえ再犯を犯してなくても社会的な適応能力はほとんどないのが現状なのです。

それを確認したかったら「サイコパス」関連の本を熟読する必要があるでしょう。

黒人たちと交流を結ぶ、それは結構なことですが、やたら無防備にいてはいけないというのは真実と思います。

これはなにも黒人だけでなく白人でも誰でも一緒なのです。

その交流の努力は、その歴史をくまなく知ることでしょう。

そして実際に行動に移すことですね。 商品を買うという簡単な行為でさえもが、何度も広告を見ることによって可能になるのですから、そういった事ができるためには更なる努力が必要になりますね(笑)。

そのために一番いいのが、こういった類の本を何度も読むことです。

精読していくことです。

参考になればと思います。

●この本は以下よりどうぞ!

  ↓

南ア共和国の内幕―アパルトヘイトの終焉まで (中公新書)

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