この人の著作は、99年発表の『アジア市場幻想論』を読んですっかりファンになってしまったのです。
その筆致のわかりやすさ、盛り込む情報の中身が、読み手に好奇心を起こさせるに充分で、ついつい読み進めてしまったのです。
この本では、日本の外食企業が海外に進出していった最初の経緯から知ることができるのですが、やはり当時(1800年代)の外食の経営者は、職人気質の人が多かったということですね。
それは非常にいいことではありますが、それが海外に進出する場合は良い点も悪い点もあるということですね。
その内容については、この本を読んでいただくほかないです。
日本の企業が、海外に進出するに際して、どのような文化の障壁を乗り越えて、またどのように自社製品を売っていくかについて、当地の文化や慣習や法律とすり合わせていくかが大事になっていくのは言うまでもないことです。
そういった企業努力の内容を知るということだけでも非常に好奇心をそそられるものですし、これから海外に行く人、あるいは行く途上の飛行機内で読むことで、脳内が非常に展望の開けた状態になることは必至でしょう。
それは私が保証します。
そういった企業に勤めない人でも、海外に行く、あるいは日本国内で海外の人と一緒に国内で触れる機会があるわけですから、こういった事を学んでいくことは大事でしょう。
あまたある著作家の中で、何百冊も読んできた私としては、評価や好みがある程度固まってしまっていますから、毎回この人の本が出たら買う、と決めている著作家は限られています。
やはりそういう人は10指に満たないのが誰しも共通のことではないでしょうか?
この川端基夫さんは間違いなく、その10指に入っています。
先に書いたように、この人の著書の魅力は読んでいて、思いもよらぬ事実の発見もさることながら、新しい視点やヒントを得れることにあるのです。
この方のみならず、本を読んでいてそういうものがなければ読む気概にならないのです。
私が高校時代にも、いろんなアジアの海外に行くと、そこには日本の企業があるということを聞いて驚いたものですが、それは日本が経済的に豊かであった、あるいはそのノウハウが日本の企業に蓄積していたが、海外の国ではそういうものがまだ蓄積されていなかった、ということなどが理由として挙げれたでしょう。
それゆえに、他のアジアの国々を置いて、日本が先端を行くことができたわけですが、今はもうそんな悠長なことは言ってられない時代になったのが、今更ながらわかりました。
韓国、台湾、香港、シンガポール、フィリピンといった国々の外食企業が海外に進出しているということがわかりました。
これには驚きました。
特に、韓国はサウジアラビア、トルコ、イラン、エジプト、ウルグアイ、パキスタンといった国々へも進出を視野に入れているということを知って驚きました。
そういった国が、日本に倣うというよりも、日本の企業が学ばなくてはならないほどの先端的なノウハウを持っているがゆえに、海外でも大きく進出できたということがわかって驚きました。
日本が80年代に大幅な貿易黒字をあげたことは、やはり消費者の立場に立って製品を作り出してきた、ということはわかりましたし、その先人たちの偉業については非常に誇りに思っていますが、それに甘んじているだけではいけない、ということがわかりました。
やはりこういったアジアの外食産業に真摯に学ぶという姿勢が大事なのは、あまりに並みな議論でもうし分けないですが(笑)、そういうことを自分のモラルとして心に留めおくことで、これからの経済運営や経営運営の道が決定するわけですから、こういった本を読むメリットは大いにあるのです。
こういった巨大になったアジアの外食産業の企業と、日本はどのように経営を営んでいるかが気になるところですが、意外なことに協調という形式を採っているを知り、非常に朗らかな気分になりました。
自分の属するお店ではない店が出来たら、そことどうするかを考えるに際して、相手を倒すなどという考えが浮かぶ場合もありますが、私は聖人君子を気取るわけではないですが(笑)、そういう考えには全然与すことができないでいるのでした。
やはり、他の店とも共栄していくことが大事なのではないか、そんな気がしていたのですね。
それこそが真善美ということでしょう。
共栄して相手も自分も金銭的にも精神的にも豊かな生活を送るというような。
何も考えずに、ただ自社の売り上げだけを上げる事だけに専心するというのは好きになれない考えですね私は。
それが、最善の理念ではないのか、そんな思いでいたのですが、やはりそうではないかという気がしていたのですが、昨今の日本企業の採択した道は「協調」であるということを知り、ほんわかとした気分になりました。
香港生まれの中華系ファーストフードのチェーン店である「大家楽集団(カフェドコラル)」は香港に330店舗を持ち、大陸には120点を展開しているのだそうです。
日本の「グルメ杵屋」の傘下である、サンマルクも鎌倉パスタを大家楽集団と提携し、香港、マカオ、大陸に事業展開しているのだといいます。
また香港最大の外食産業である「美心集団(マキシム)」とは、自社とスタバで共同で展開し、2005年には元気すしが提携した模様です。
また台湾の企業である「85度C」はケーキとコーヒーの店から出発したようですが、パン生地を工場で一括清算し、冷凍し、各店舗に配送するシステムを作り上げたようです。
店頭でのノウハウ依存度を如何に小さくして店舗ごとのばらつきを小さくし、商品やサービスの標準化を図るかを考えた結果なのですね。
価格がリーズナブル、品質の安定性、品揃えの充実、この3点が大事なのですね。
これはよくわかります。
昨今のいろんな日本国内のベーカリーのチェーン店をみると、非常に目を見張るものがあります。
ものすごく美味しくて、しかもリーズナブルな値段で、しかも店ごとに味のばらつきがないのですから。
そういったチェーン店のノウハウとこういったアジアの国のノウハウには共通するものがありますね。
以前でしたら、チェーン店のベーカリーは旨くないという相場だったのですが(私の認識では)、今は非常においしく、しかもリーズナブルゆえに何回もリピートしてしまうのが非常に多いですから。
昨今は、やたらとタピオカミルクティが流行っていますが、それがなぜ流行っているかを、この本が垣間見せてくれているのです。
その発祥はやはり韓国などのアジアからの会社のようですね。
チャタイム、シンアティ、カムパイ、COCO都可、ゴンチャといった会社のようですね。
これらの企業戦略をみると、タピオカミルクティにミルクを入れるか入れないかをお客さんが決めれる、ゆえにベジタリアンの人でもオーダーするということですね。
砂糖を入れるか入れないかも決めれるので、お客さんのオーダーで決めれるので、お客さんの色を出すことができるということですね。
しかも機械が、すべてやってくれるので、狭いスペースでもでき、またバイトでも出きるということですね。
日本のように就職を終身雇用で生きるという観念が強いところでは、なかなか理解できないことですが、海外はアジアであろうと西欧であろうと、そういう考えは浸透していないということですね。
その是非はここで論じているいとまはないですが(笑)、店長をはじめとした上役の育成には日本の企業が困難を極めているのは、こういう事情による所が大きいのですね。
しかし、今は1つの企業で永遠に働き続けるという時代でもないですし、ましてや海外ではまさにそうなのですから、そこはフレックスに考えるべきでしょう。
その是非は今は問いませんし、その考えが誤りかどうかは、幾重にも重ねた議論をした末に結論付けたいと思います。
私が、そのアジア発のタピオカミルクティのチェーン店の詳細をみたときに、妥当と思われたのは、狭いスペースでもできるということですね。
いや狭いスペースだからこそ、廉価で質の高いモノを提供できるということですね。 日本の「丼丸」をみてみましょう。
これは日本にある海鮮丼のテイクアウトのお店ですが、非常に安く、しかも本格的な質の高い海鮮丼を食べれるお店として注目していました。
一番オーソドックスな盛りの丼が540円でテイクアウトで食べれるのですから参りました。
しかも丼のバリエーションが多く、30種類以上あるのです。
しかも本格的な寿司屋さんで食べれるような高級な丼を出すのですから更に参りました。
私の住む東京のいろんな繁華街で、カウンター式の海鮮丼の店で食べたことがありますが、どれも並の味でそんなにおいしいと思いませんでした。
ゆえに、リピートもしようとは思わなかったです。
しかし事、丼丸さんに至っては、非常に質の高い海鮮丼を500円代で食べれるゆえに、何度もリピートしてきています。
そう思う人は私だけでなく、私が買いに行くと必ず先客がいたり、もしくは後客が来たりしているのが通常です。
お客が私だけ、ということは1度もなかったです。
この店は全国にチェーン展開していますが、やはり味と値段が無数の人に受け入れられているからでしょう。
この「丼丸」がこういったアジアのチェーン店を模倣して、あるいはヒントを得てこういう業態にしたのかどうかはわかりません。
しかしいずれにしろ、その業態は非常に参考になることは間違いないですね。
狭いスペースでできる。 質の高いものを提供できる。
こういうところは目を見張るものがありますね。
個人でもしようとすればできるのです。
しかしやみくもに事業展開しているだけで経営を勉強しなければダメなのは言うまでもないですが(笑)。
特に味に関しては、確固たる修行や研修やオペレーションがなくてはいけないのは言うまでもないです。
この本を読んで、韓国の企業である「デリマンジョー」は、1口大のたい焼きを出すことで有名ですが、その大きさゆえに、日本のたい焼きのように大きくないがゆえに多くの人が試そうという気になる、また日本のたい焼きよりも安く買える、ということで日本のたい焼きの売り上げを大きく引き伸ばしたということのようです。
これはネパールで生まれた仏教が日本に渡り、そして創価学会という変形したかたちで、ネパールにその支部ができたというような例と共通するようで、おかしくなってしましました(笑)。
日本のお菓子であるたい焼きが、海外の変遷した方の方が受けてしまったということですね。
やはりこういった先進企業に学ぶところは率先して学んでいかないといけない、ということですね。
こういった海外における日本企業の展開をみていくと、非常に海外企業に学ぶ点が多いのです。
その内容について更に詳しく、しかも実感して読みたい人にこの本をお勧めします。
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