佐伯啓思 『従属国家論』

2015-07-05 15:42:31 | 国際関係

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私が尊敬する著述家である佐伯啓思氏の本の紹介になります。

 この本の冒頭には、必ず佐伯氏がどの本でも紹介するニーチェの言から始まります。

 現代は、「人間が命を懸けても惜しくないと思えるような価値の崩壊の時代」であるということです。

 最高の諸価値=絶対的なものなのです。

 人間が、生きることの意味もなかなか確認できない時代であるということです。

 しかし、古代の西欧においては、とりあえずは「神」であったのです。

 また古代のギリシャにおいては、「イデア」であったのです。

 しかし、ニーチェという人物の登場によって、神もイデアもすべてインチキであることが暴露されたのです。

 そうなると、快楽や欲望を「自然の権利」として無条件に肯定されるようになったといいます。

 このように、世の中がなってしまっては、「自分の命を懸けてもいい」という高い価値は生まれないのです。

 しかし、このように周りの人間がなっているかと言えば、そこまではいってないでしょう。

 確かに、そういう価値観で生きている人はいるにはいますが、全部がそうとはいえないのが現状でしょう(笑)。

 否定的なことを書いた本を多く読み続けると、そういう世界観になってしまうことがあるから警戒が必要です。

 現代人を批判的に分析した本を読むことは大事ですが,読みすぎるとそうなってしまう弊がありますから気をつけましょう。

 古代や中世、近代においての日本でも、多くの人の心を捉えたのが、「神」言い換えれば宗教であったのならば、今一度宗教について書かれたものを読むことをしてみたらどうかと言いたいです。

 それだけ人の心を捉える力が宗教にはあるのですから。

 ニーチェが否定したからとて、事実とは限りません。

 神や仏は存在すると私は思いますが、特定の宗教には入らないだけのことです。

 いろんな本を読むことによっていろんな大事なことが学べると思いますので、何も特定の宗教に入る必要はないと思いますし、そう思う人が多くいるからこそ、昔のように宗教が流行らないということも大きな原因もあるでしょう。

 また、宗教に拘らずとも、自分が読んでこの人の考えが自分の価値観とぴったり合って、その書いてある内容について日々実行していこう!という思いに駆られるという経験が出来たらその人は幸せであると思います。

 そういうカリスマ的な人の書いた本が、すなわちあなたの宗教になるのだと思います。

 また、これをやっていると時間のたつのも忘れて没頭してしまう、というものもあったらその人は幸せであると思います。

 このようにカリスマ的な人の書いた本や、とことんまで打ち込める仕事や趣味…こういったものがあれば、その人の人生はかなり実りあるものになることは間違いないでしょう。

 しかし一国の行方を占う上で、大事なのはやはり絶対的な価値であることに間違いはありません。

 日本がこれまでに、その依拠としたものは何だったか?

 日本では、絶対的な価値を生み出したのは「状況」であったと佐伯啓思氏はいいます。

 

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佐伯啓思

それに順応することが絶対的な価値であった、というのです。

 民主主義国=国民が主権者です。

 すると、市民が自ら武装し、市民が自らの力で国を防衛するというのは西洋では当然の発想なのです。

 民主主義の手本とされているジャンジャックルソーは、 「統治者が国のために死ねと言えば、すすんで死ななければならない」と言っています。

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しかし、日本ではこういう発想はありませんね。

 自分は平和に暮らし、防衛は他人に任せる…そんな発想であるといえましょう。

 ジャンジャックルソーの思想は規範にするも、その内奥全部は受け入れない。

 これは一種宗教に似ていますね。

 教祖の言うことの基本は守るけれども、その教祖の書いた教義の全部までもは受け入れない。

 自分の都合のいいところだけを抜き出して、脚色を施してしまう…これはなにも宗教のみならずあらゆる団体に当てはまりますね。

 ですから、そのことについては批判はしません。

 しかし、そのジャンジャックルソーのいった内容については心に明記しておく必要はあるでしょう。

 日本の「構造改革」1993年頃から始まりました。

 構造改革とは、要するに日本の経済構造は極めて閉鎖的で前近代的だ、この特殊で後進的なシステムによって日本企業は保護されており、自由競争をしていない。

 だから、自由で公正な市場競争をするような経済構造に変えなければならない、ということでした。

 これは明らかに、アメリカの押しつけであったことは明らかです。

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日本はアメリカの属国である、というジャーナリストは日本はもちろん海外でも多くいます。

 その属国よろしくアメリカの批判をすることなく、日本のマスメディアやジャーナリズムもこれに一斉に唱和しました。

 確かに規制撤廃や規制緩和によって、安価な海外製品も輸入され、日本の物価は下がりました。

 そのために、日本の企業は激しいコスト競争にさらされました。

 コスト競争の結果、賃金が下がり、派遣やアウトソーシングのような不安定な雇用形態にかわり、日本型経営や日本型雇用は崩れていったのです。 その結果が、20年以上にわたる日本のデフレだったのです。

 日本の経済学者は基本的にアメリカに留学し、アメリカ型の教育を受けてきます。

 80年代アメリカの経済学は市場競争論一色になりますから彼らの経済についての見方は基本的に市場競争を良しとするものです。 それで日本の経済を分析する、すると日本の経済は公正な競争をしていない、と判断するのです。

 事は経済学者だけではなく、官庁エコノミストも同様です。

 いかにも主体的に物事を決定した、と思いこんでいる。

 「アメリカへの自発的従属」に陥っている、ということです。

 アメリカの歴史観は、自由や民主主義やヒューマニズム、人権観念や個人の幸福追求の権利、こういう価値を人類の普遍的な権利だとみなしている。

 北朝鮮、イラク、アフガニスタン…こういった国を敵対国に想定し、そのためには強力な軍事力をもたねばならないなどと吹聴する、

しかしこれはアメリカの国益追求以外の何物でもない、ということは明らかです。

 またグローバリゼーションを進めるのも同様です。

 それをすることによって、アメリカの国益につながるからです。

 あまり日本国内では言われることは少ないですが、アメリカは世界一の借金国家なのです。

 それを埋め合わせるために、どんな国にも貨幣経済を導入させて、その国に金を無理やり貸し付けて益を出そうとする…暴論以外の何物でもありません。

 日本や欧米のように貨幣経済がうまく機能するためには、気候、風土、教育、こういった様々なものが重なり合って初めて上手くいくのです。

 それらがない国に無理やり貨幣経済を導入して経済発展をすすめさせようとすれば、たちまち崩壊してしまいます。

 これは文化人類学の研究を借りなければわかりません。

 是非とも、こういった学問を学んでいきましょう。

 そうすることによって、これからの人類の行くべき方向が分かってくると思うのです。

 今の日本が、「アメリカへの自発的従属」であるということは明白です。

 そのことをいつも心に留めておいて、これからの日本を含めた人類の行くべき道を模索していこう…そんなことをこの本を読みながら考えてしまいました。

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従属国家論 (PHP新書)

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 従属国家論 (PHP新書)

 

 (その他、佐伯啓思氏の本の紹介欄)

『科学技術と知の精神文化(5)』

 http://hair-up3times.seesaa.net/article/418149998.html?1436076502

 ・『西田幾多郎』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/409858456.html?1436076640

 ・『正義の偽装』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/396634159.html?1436076713

 ・『貨幣と欲望』

 http://hair-up3times.seesaa.net/article/375345171.html?1436076777

 



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