今はなき社会主義ですが、かといって完全になくてもいいか、学ぶところはないかといわれればそんなことはないわけでして、やはり人間たるもの誰でも保守的であって、その内容を探っていくと、その良さを自分の内に取り入れたくなってしまう性質を持っているものです。
日本は完全なる資本主義国ですが、その内容を探っていくとやはり社会主義的な要素をふんだんに持ち合わせていることがわかるものです。
その内容は…これから先を読んでいただきましょう(笑) 社会主義はマルクスの唱えた理論を、実際の社会に適応させて地上に天国を作ろうという壮大な試みでしたが、やはりそのようにはいかなかったのです。
K.マルクス
生産手段をすべて国で賄って、それに国民が従事すれば、だれもが何不自由なく生活できると考えたのです。
しかし、そのような杜撰な考えではうまくいかなかったようですね。
そのほころびが60年代から出始めて、その理論に対する批判の論文や本はよく出るようになりました。
まず、そのマルクスの歴史観から実際は違っていたようです。
マルクスの規定したプロレタリア革命は、生産力の発達した資本主義国から社会主義に移行する、としていたものが、実際に社会主義を採択したのは、中国、ロシア、東欧など農業国や半農業国から出ました。
それに社会主義を採択した国の経済は、ただモノを作りさえすればいいということですから、最初モノが足りない国であれば、最初はうまくいったでしょう。
しかし、1たびモノが行き渡れば、更に購買意欲を国民から出るために更により良いものを作り、更に安くする、という工夫がなくてはいけないのは言うまでもないです。
技術革新ですね。
しかしそれが行われないならば物は売れずに滞貨が進むだけでした。
こういった市場原理を無視し、貨幣や商品関係を否定したところにマルクスのいった事には無理があったのです。
それに、社会主義経済では、政策決定の民主的手段がはっきりしておらず、目上の人間のいった事は吟味されることなく間違っていても実行されていたのです。
それがうまくいかなくても、罪を問われることはないのです。
これぞ個人崇拝、官僚主義ですね。
それに、親戚同郷同士が利益配分を就職のあっせんや商売上の利便を図るということも横行していたのです。
上下の平等を目指すはずの社会主義が、まったく自己矛盾に陥っていたのですね。
社会主義経済の目指していたものが、社会保障であり、最低生活水準の確保であり、教育の無償化、住宅や公共料金の低さであったはずです。
このようなことは社会主義国では実現できていなかったのです。
しかし、こういった事は資本主義国でこそ実現できていることがわかるはずです。
この本は91年に書かれたものですが、それまで自民党が長期政権を維持できましたが、その中で様々な社会主義的な政策を取り続けたことがわかります。
それによって日本が繁栄できたことがあからさまにわかるはずです。
まず日本は計画経済を採択しているのです。
この単語はまさしく社会主義国の単語のような感じですが、日本は採択したのです。
経済企画庁でそれはおこなわれているのですが、日本のほかにフランスやオランダに経済企画庁はあるのですが、それは資本主義国では珍しいでしょう。
それは、昭和5年の臨時産業合理局や、重要産業統制法などもそれに順応していたのです。
こういった計画経済は、生産性が上がっている国でこそ可能であるということがこの本でわかりました。
やはり日本人が勤勉で働くことに生きがいを持てる国民であるからこそ可能だったということですね。
しかし、中国のように生産性の上がらない国では計画経済は可能ではなかったということですね。
「柔軟さと幅広さをもって、むしろ野党の主張の中の良い部分を先取りするぐらい弾力性をもっていたため日本は発展することができた」 というのは総理大臣になったことのある中曽根康弘氏の言葉ですね。
中曽根康弘
また日本は、企業別組合が主流である、ということも経済発展にとってプラスであったということですね。
労組が企業ごとに組織されていたから会社側との話し合いに応じることができたのですね。
そういうシステムがなく、ストライキが長期化、泥沼化してしまうと賃金アップが生産性を追い越してしまうようです。
政府の民間への影響が大きいこともまた生産性を維持し、トラブルが起きたら速攻で転換できるということですね。
石油ショックや円高などの時にすぐに転換できたのは、日本ならでは現象でしょうね。
このように社会主義を事細かなに見ていくと、また他の資本主義国と比較していくと非常に日本は恵まれた国であるということがわかるはずです。
やはりどんな国にいても、難事は襲い掛かってくるわけで、その際に近視眼的になってそこを嘆いてないで、まずは自分の国の素晴らしい点も同時に認識していかないといけないなと思いました。
その他、日本の経済の素晴らしさについて、この著者は簡潔でわかりやすい文体で書かれています。
難解で読みづらい文章を書いている教授や評論家は、この人を見習うべきだと即刻思いました。
こういった論文は、だれもが読むことで、自分や周りの社会がよくなることを目指すものですから、難解で読みづらい文章を書いてそれを読んだ人が科学から忌避してしまうようなことがあってはならないのです。
この本は、社会主義の崩壊の決定打になったソ連のクーデターの起きた91年に書かれたものですが、その直後に簡潔に毅然と持論をまとめていたことについては感服するあまりです。
その他、日本の経済の素晴らしさについて認識することができる良書ですから、興味のある人は是非とも読んでもらいたいですね。
●この本は以下よりどうぞ!
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資本主義と社会主義―崩壊した「社会主義経済」は、この先どこへ行くのか
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