この本では、文明化した人間の罪ということですが、その内容は精神性についての批判ですね。
まず、この本の著者であるローレンツ氏は、文明化した人間に隣人愛がないことへ批判をしているのです。
今の社会において、技術、化学、医学への進歩がすべての人間の不幸を減らすという思いや理念で追求し発展してきたわけですが、それがもたらされた結果、その通りだろうか?ということですね。
非常に慧眼な視点だと思いました。
動物に限らず人間も小さなところですし詰めにされると、他のものたちにたいして攻撃的になるのはこれまでの研究結果から明らかです。
狭い敷地内にアパートなりマンションなりを作って、そこに借り手を募集するとたちまちにしていっぱいになってしまう。
そして、垣根越しに付き合うこともなくなり、付きあおうともしない。
そういう人情のなさを嘆いているのですね著者は。
そのような嘆きを書くところをみると、この著者は、心温かい人なんだなあということがわかります。
そのような同じ嘆きを、ユルゲン.ハーバマス の『公共性の構造転換』でも読みましたし、『サードプレイス』という本でも読んだことがあります。
都会に住み慣れて、ひとたび田舎に行ってそこの人たちと暮らしてみると非常に人情の通った人たちと出会うことができます。 それが普通の精神生活なのでしょう。
しかし、今のできあがった社会をすべて田舎のような社会に完全に戻すことは不可能でしょう。
私たちにできることは、都会と田舎、これらの両方を観察し、両方のいいところを抽出して、自分の今の生活において実践していくことが大事でしょう。
都会の人情の希薄な社会に幼児期から暮らして、それが当たり前という認識になったら、それが固定化された「文化」になってしまうのです。
そうなってしまわないように、その文化を見直し、それを良き方向に向かわせるための行動をしていくのが大事なのですね。
その固定化された文化の恐ろしさは、中国の裏社会を幾多の本によって知ることができました。 それが文化にならないようにするためには一人一人の行動にあるのです。
今はYouTubeが盛んで、誰も住まなくなった限界集落の模様が動画でアップされていますが、それはそれは寂しいことこの上ないものでした。
かつてはそれなりの人たちが住んでいたのでしょうが、人が東京を中心とした関東に移住してしまい、そのせいでバスも電車も少なくなり、また店舗も少なくなったがゆえに、あまりに不便になってしまい、その集落から出ていってしまったがゆえに、そのようなことになってしまったのでしょう。
それをどうするか、またどのように思うかは人それぞれの自由ですが、私はあまりにもったいないし、寂しいと思いました。
戦争時の一極集中の残滓がまだ解決に向かっていない、いなそれどころかますます悪くなっているのです。
これまで勉強した内容で鮮明に覚えているのは、人間には2つのタイプがあって、1つは友人がいないと不安になってしまう人。
もう1つは、友人がいなくてもいいというモラルの人。 この2つがあるということですね。
私ははっきり前者のタイプですから、人間は誰もこのように考えているのだと思ってましたが、ある本を読んでこの事実を知り、はっきり認識することができました。
そうですよね、後者のタイプがあるから、その人たちは人をぞんざいに扱い、友人がいなくても平然とした態度でいるのですね。
私は、この著書で書かれている批判の内容を改善に向けていくには、前者の人に期待をしているのです。
だが私を含め、前者のタイプだからといって、それだけでいいということではなく、さらなる前進を常にしていかないと駄目であるということですね。
また、文明下においてはあまりにマスコミや教育において、負けることや貧困化や競争に対する不安を掻き立てていることも批判しているのですね。
その下においては、神経的で精神的な衝動に絶えず駆られているのです。 消費においてもですね。
また文明化した人間の批判として、快を求め不快を避けることばかしているという非難ですね。
それゆえにまた、人間としての温かみを得ることはできないでしょう。
こういうことが悪いということを観念的に知るだけでは、本当の温かみを知ることはできないということですね。
自分が実際に痛みを体感することで、具体的な優しさを得ることができるのは言うまでもないです。
この宗教に入っていれば実感できるなどというのも信用できません(笑)
そして、直ちに衝動で自分の心を満足させようとする性急な要求や個人のあらゆる責任の欠如、他人への感情に対するあらゆる配慮のなさが文明下の人間には多くみられるということですね。
これは幼児期の精神性ですね。
それがいつまでも続くということですね。
この本は1973年に出されたものですが、今も共通する点がいっぱいあると思います。
言葉には明確に表せなかった漠然としたものが、このように明瞭に書きあらわされると非常に納得できてしまうのですね。
この本のみならず、幾多の本でそれは経験してきました。
やはり誰しも疑問に思うことはあるものです。
それが文明化した人間の精神的な内容についても同様でしょう。
それを認識し、それを良き方向へ向かわせる人、それが市民というものでしょう。
そんな市民が多く出てくれることを、こういった学術的な本は希望しているのです。
確かに、この本に書かれていることだけではありません、問題点は。
それを見つけることが出来たら即座に、よき方向に変えるための行動をするようにしましょう。
そんなことを私も期待しているのです。
それに賛同してくれる人ならば、この本は大いに役立つでしょう。
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