がちょうのうたがきこえてくるよ

最初に言っておく。私は、今、仮面ライダー沼にハマっている!!

チョイノリと私

2012-04-09 | Wheels & Engines
かれこれ、4年になろうかというつきあいである。
目の覚めるような水色のちっちゃなバイク...バイクというには、あまりにもつつましい、原動機付自転車というにふさわしいそれは、通勤用として私のところへやってきた。
日々、片道7kmの道のり、雨の日も雪の日も風の日も、私はそれに乗って職場に通った。

チョイノリという名前の、この乗り物は、おそらく、非力さではワールドクラスの乗り物である。国産バイクとしては、もちろん、最低スペックだ。50ccの4ストOHV単気筒エンジンの最大出力は2馬力。サスペンションはフロントのみ。タンクには3Lのガソリンしか入らない。
「必要な人に必要なものを必要なだけ載っけていくバイク」というコンセプトのもと、2003年から2007年にかけて製造され、10万台以上が世に出ていった。
その突出したミニマルと外観のマヌケな可愛さ。個性的な、あまりに個性的なチョイノリは、密やかに人気を爆発させ、一部に熱烈なファンを獲得した。
ちなみに、製造元はスズキである。

元々、私は2CVというシトロエンの車が大好きで、このチョイノリのコンセプトが、そのまま同じであったことから、発売当初から気にはなっていたのだ。2003年チョイノリの旅という、東京から九州までを走破する挑戦にも感動し、それがスズキを好きになるきっかけのひとつになったのも事実だ。
だから、いざ自分がチョイノリを所有する、ということになった時、初恋の相手に会うような、初々しい気持ちになったのを覚えてる。
2度の大きな故障で、エンジンを丸々移植したりもしているが、なんとか8000kmを超える走行をこなし、はたして、初恋の相手はよき友達となった。

屈辱的な退職勧告を受けた、あの日、けなげに走る水色のチョイノリに乗って、ぼんやりと思っていたのは、この小さきものとともに、大きな大きな太平洋を見に行こうということだった。
それは、ずいぶん昔から見ていた夢であり、誰に話しても、「やめておけ。」と、言われることだった。
しかし、時間がある今、それはどうしてもやってみたいことになっていた。
春の嵐が吹き荒れたあと、日曜日から天気がいいことを確認し、私は九十九里の白子温泉に宿を取った。

いざ取ったはいいものの、やはり不安だらけ。ルートをどうするか。どれくらいの時間がかかるのか。連続走行距離はどれくらいか。短い時間の中で、ネット検索をし、ツーリングマップルを片手に、私は不安を解消すべく、準備を進めた。そしていつしか、その時間がたまらなく楽しくなっていった。
積載重量の負担をさけるため、荷物は最低限。ルートは最短の成田・八街経由。連続走行距離は20kmで約1時間。休憩は最低30分。所々に観光を兼ねた休憩ポイントを、設けた。
いよいよ出発の朝。
今までのツーリングとは、まったく違った緊張感を覚えた。自分が頑張るのではなく、頑張るのが乗り物の方だったからだ。私は、この非力な小さきものを守りながら乗らなければならないのだ。こんな保護者のような気持ちで乗る乗り物が、ほかにあろうか?成田山に着いただけで、抱きしめたい気持ちになった。駿河屋のうな重を一緒に食べたかったくらいだった。
だから、一宮海岸で太平洋を一緒に見た時は、本当に泣いてしまったのだ。
遠藤賢司さんの曲に「寝図美よこれが太平洋だ」というのがあって、まぁ、なんというか、そんなBGMで。
普通に帰ってくればいいのに、次の日、林道みたいなとこに迷い込んでみたり、成田空港そばの、スピードがバンバン出る道を走ってみたり、チョイノリに無体なことをしたのは反省。
でも、しっかりと217kmを走破したチョイノリ。
いつもの1ヶ月分くらいを2日で走ったチョイノリ。
不機嫌になることなく、ずっと調子良く走った。
やはり、バイクとして生まれたからには、いろんなとこを走ってみたかったのかもしれない。ツーリング中、妙にチョイノリがいきいきしていたように思えた。(あんまり、ものを擬人化したりはしたくないけど、バイクは時に人格をもってるようにみえる。みえるんだから仕方ない。)
とはいえ、チョイノリにとって、ツーリングは負担以外の何ものでもないのも確かだろう。まず、帰宅するまで不安は消えることがなかったのだ。いつ止まるか?そのことが常に頭にあった。また同じような旅を企画するとしても、やはりずっと不安だろう。チョイノリは、あくまでもチョイノリなのだ。ツーリングをする乗り物ではないのだ。

あとどれくらい走れるかは分からない。
もしかしたら、ツーリング用に、ほかのバイクを買ってしまうかもしれない。
それでも、私は、この小さなバイクを生涯愛し続けるだろう。走れなくなっても、部屋に飾る準備はできている。

(詳しい旅程はツイッターで逐一報告しているので、ここであえて記述はしません。写真もずいぶんアップしたので、興味のある方は、のぞいてやってください。休憩を取りまくってるせいで、色々寄ってます。)



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5 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (koro)
2013-06-24 08:34:26
こんにちわ、イイ歳こいて最近チョイノリストになった者です。
ネットで『チョイノリ』の検索ワードでウロウロしていたらココにたどり着き、ちょっと、かなり、感動してしまいついコメントさせてもらいました。
うん、感動しました。共感しまくりました。
購入時にお世話になった方の勧めでチョイノリなブログを開設しまして、何かの折にそこでこの記事を紹介したいなと思っておりますが、、よろしいですか?
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Unknown (シロトリ)
2013-06-24 20:15:47
来訪+コメント、ありがとうございます!!
ブログ見させてもらいました。
面白そうなので、さっそくお気に入りに入れました。時々、覗きにいきますね。
私は、ぎりぎり新車のいい状態で購入したのと、純正部品好きなので、10,000km超えてなお、どノーマルです。色々部品は交換してるんですけどね。
チョイノリ、可愛いですよね...。どうぞ、末永く可愛がってやってください。
記事は、どのように使ってくださっても結構です。
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初めまして (k-suke)
2014-06-18 17:19:28
5月から乗り始めて チョイノリスト歴1ヶ月半の者です。
たった1ヶ月半の間に 不調での調整、修理する為に
(チョイノリ ブログ)で修理・調整方法を調べる日々。。。
でも「出来の悪い子ほど可愛い」 まさにそんな愛車です。

このブログに辿り着いたのも そんな経由です

さて、読ませて頂いたこの日記。
一言、 「とてもステキなチョイノリスト」ですね

記帳から2年ちょい、 現在でも元気に走ってますか?
    乱文、失礼しました。
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Unknown (シロトリ)
2014-06-19 20:34:15
まだ走ってますよ♪

私は整備や修理、改造にはあまり興味がなくて、ぜんぶ近所のバイク屋で基本的なメンテをやってもらってます。
基本、300km~400km走行でオイル交換してれば、わりと元気に走ってくれる気がします。
ちなみにチョイノリは個体差が激しくて、いいものにあたれば、ほとんど修理はしなくて大丈夫みたいです。

ウチのは、もう12000km弱走っているので、色々限界ですが、いまだに可愛くて仕方ありません。
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まだ元気で良かったです^^ (k-suke)
2014-06-19 21:41:32
他人事なのに、なんかホッとしました。
自分のは8900kmの中古車を買い
整備しながら現在9500前後です
オイル交換は、もう2回目です
ほんと 当たりorハズレのある車種ですよね

うちのアヒル号  近所の園児が触りに来ます。。。


余談です。
「頑張るのは自分じゃなくて乗り物のほう」ってのが
すごく共感しました。
そして バイクとしてダメになっても部屋に飾る!って言葉に  「素敵な飼い主にめぐり逢えた強運なチョイノリだな」と思いました
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