国立大学職員日記
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国立大学職員日記:記事一覧




■はじめに
 今年も夏のボーナス、期末手当・勤勉手当の季節がやってまいりました。
 今回の支給は平成24年2月29日に「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」、いわゆる国家公務員給与削減法(概要はこちら、法律全文はこちら)が成立してから初めてのものであり、この法律が実際に期末手当と勤勉手当の支給額を引き下げる第1回目のケースとなります(現時点では2年の時限立法なので、合計で4回実施される予定)。
 本エントリーでは今回の国家公務員給与削減法の影響を加味した、平成24年6月の期末手当と勤勉手当の情報をまとめて見ました。

■期末手当と勤勉手当は国家公務員給与削減法でどのくらい減るのか?
 これについて、法律の条文では次のとおりに定められています(必要部分のみを抜粋しています)。





 詳しい説明が何も無く、単純に「受けるべき期末(勤勉)手当の額に、百分の九・七七を乗じて得た額」を「減ずる」とあるので、恐らく全ての計算をし終わった金額から最後に9.77%を減額する(減額係数として「0.9023」を掛ける)、という解釈で良いと思います。実際、今回のエントリーはこの解釈に基づいて行っていますので、もし間違っている場合はご指摘いただくか、あるいは詳細が書かれている資料をいただければ幸いです。

■データについて
 本エントリーの内容は正確には「国家公務員」の「再任用職員以外」の「一般の職員」の期末・勤勉手当の情報です。そのため再任用職員、特定管理職員、指定職俸給表適用職員はここで書かれている通りとはなりませんし、地方公務員や法人職員も必ずしも内容が合致するとは限りません。また国立大学においても今回の給与引下げを実施していないところがほとんど(6月3日報道時点で86%の国立大学が給与引下げを実施していないみたいですね)のようなので、国家公務員給与削減法部分を加味するかしないかは各国立大学の実施状況に応じてください。
 なお役職段階別加算や管理職加算の内容も、本ブログが国立大学に関することを中心に調べている関係上、国立大学において通常の事務職員と教員の給与表に相当する国家公務員の一般行政職(一)と教育職(一)の情報だけを掲載しています。この点もご容赦ください。


■支給月数について




 期末手当と勤勉手当が、それを受ける者の給与月額の何月分に相当するかについて、「平成24年6月」時点における月数は平成23年度と同じです。これは前回の人事院勧告において、大震災の影響で東北地方の民間給与状況を正確に調べられなかったことから、期末手後と勤勉手当の支給月数の改定を見送ったことに由来しています。
 ただ「平成24年度」の支給月数は8月頃に出される人事院勧告によって改定される可能性がありますので、年度合計の支給月数を調整すべく、12月の期末・勤勉手当で6月分に多く支払ってしまった分の調整がされ得る点には注意が必要です。


■時系列の整理







 期末手当と勤勉手当については上述したとおり前回の改定は見送られいますので、今回の加筆点は国家公務員給与削減法の成立のみとなります。またこの法律は「給与月数」ではなく「支給額」に直接影響を与えている点が、通常の人事院勧告に基づく措置とは違う点です。

■計算方法









 算定方法については前回に作成した情報の最後に「減額係数」を掛けただけで、特に他に変更点はありません。
 ただし期末手当においては「平成23年度の月例給与で本来減らされるべきだった金額」が引かれることになりますので注意が必要です。これ自体は期末手当支給にかかる変更では無く、国家公務員給与削減法全体にかかる給与調整方法の一環として取られた措置で、国家公務員給与削減法の附則第6条「平成二十四年六月に支給する期末手当に関する特例措置」に定められています。
 またこの措置は当然「平成23年度の月例給与額に変更が無かった教職員」には影響はありません。「平成23年度の月例給与額に変更が無かった教職員」とは要するに「平成23年度の人事院勧告によってなされた俸給表の改定の際に自分の級号俸については改定がなされなかった教職員」のことです。これを図にしたのが上の図の「俸給表中の減額対象部分」のところで、ピンク色の級号俸をもらっている教職員は期末手当からの引下げ措置がなされますが、それ以外の教職員に影響はありません。
 なおこれ自体は「平成24年6月の期末手当」に特有な措置ですので、これ一回限りで終了です(仮にまた行われたとしても、それは今回の件とは関係ない別個の案件になります)。

■おわりに
 という訳で平成24年6月の期末手当と勤勉手当の情報でした。
 ちなみに自分は今回の支給を当て込んで中古のバイクを5月のうちに買ってしまったので、期末手当と勤勉手当が支給されても1円も使えない状況にあります。でも新しいバイクでのツーリングがとても楽しいのであまり後悔はしてません。ボーナスを貯金するのもいいですが、こうやって何かに使い込んでその分楽しみを得ることができるというのも、なかなか悪いもんではないなと感じました。


<旅先での一枚>


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■はじめに
 この前国立大学法人等職員採用試験の第一次試験(筆記)の監督員をやりました。うちの大学では大体総務・庶務系の係長・主任クラスが監督員を勤めることが多いんですが、自分はセンター試験等も含めてこういう監督員業務が好きなので毎回やらせてもらってます(監督員業務はやりたがる人があまりいないので立候補すれば大体やらせてもらえます)。しかも今回はさらに無理を言って試験方法の説明や試験開始の号令をやる役もやらせてもらいました。別にここまででしゃばる必要も無かったんですが、7年前に試験を受けた際に「もし採用されたら自分もいつか「試験始め!」とか言うような役をやらせてもらえるのかな」とか考えていたので、この疑問への回答を与える意味においても、今回の監督員業務はなかなか有意義だった気がします。

 さてそんな国立大学法人等職員採用試験ですが、試験案内の勤務条件の項目には大体「初任給17万円から20万円くらい」という表記がなされます。人によってはもっと具体的に、さらに採用数年後の給与についても知りたがる人が多いかと思います。しかし、上記のような書き方は試験実施側としても決して意地悪で曖昧に書いているのではなく、給与というのが受け取る人の経歴や勤務状況によって千差万別に変わるため、どうしても曖昧にならざるを得ないという事情があるのです。
 とは言えやはり、受験者にとってこれから就こうとする職業の給与というのは非常に関心があるところだと思います。そこで当ブログでは自分が受け取った給与を全て公開し、これから国立大学事務職員になろうとする方への情報提供を行っています。あくまで「もらい得る給与の可能性の一つ」なので、仮に本エントリーの閲覧者が国立大学事務職員になったとしてもこれと全く同じになる保証はありません。しかし、国立大学は国家公務員の給与体系を引継ぎ、どの国立大学でも似たような給与体系を持っているため、抽象的な給与体系というものから生み出された具体的な結果の一つとして、本エントリーの情報は何らかの役に立つのではないかなと思っています。
 また国立大学は法人化しているので国家公務員と全く同じ給与体系になる保証はありませんが、現時点では両者の給与体系は(特に基本給の部分で)「ほぼ同じ」と言いえます。国家公務員試験は今年度より「国家二種」等の区分が変更になったのでこことの兼ね合いがやや不透明ではありますが、自分の給与は昔で言う「国家公務員二種」で採用された場合の給与の参考にもなるはずですので、この点参考までに申し添えておきます。

■給与情報について
 具体的な内容は見れば分かると思いますが、少し注釈をつけておきます。
 給与の詳細は毎月受け取る「基本給・手当」と、6月と12月に受け取る「期末手当・勤勉手当(いわゆるボーナス)」に分けてまとめています。またそれらをあわせた「年収」も作成しています。
 毎月の給与において、「手当」は「時間外手当(残業代)」以外は今回から全て「その他手当」で統一しました。基本給や期末・勤勉手当は昇給や成績率によって変動するため、それら変動要因が分かる情報も併せて表記しています。
 「控除」とは所得税や共済年金など、いわゆる「法定控除」されるものの総称です。ここには損害・入院保険や積み立て貯金など、任意で引き落とされるものは含んでいません。














 数字のデータは「正確」ではありますが、「視認性」には欠けると思うので、今回は「手取額」を各月ごとにまとめてみました。パッと見ると横這いの印象も受けますが、「最低もらえる額」は緩やかに右肩上がりになっている気がします。










■おわりに
 一般運営費交付金は年々約1%削減されています。このことについて自分は特に反対していません。合理化してから予算を減らすよりは予算を減らしながら合理化を図る方が効率的ですし、そうでもしないと既存の体制は中々変えられないと思っています。国家公務員給与法案削減についても、それが国会で承認され、司法としてもこれを取り消す程の違法性を認めないのであれば、行政機関はこれを実施し、また各国立大学法人も各々の判断で給与引下げを行うかそれ以外の財源を削減してこれに対処すれば良いと思います。一時期非常勤職員の雇い止めが問題となりました。有期雇用の存在是非はともかく、既存の法律・裁判判例を遵守しルールに沿って厳格に運用しようとすることそれ自体は評価していいと思います。運営費交付金削減とも絡み、各国立大学は外部資金の獲得努力を以前にも増して行おうとしています。科学研究費補助金や公的資金による研究費に限らず、産学官連携や海外との共同・受託研究を行えるような体制、また学内においても選考するプロジェクトをより競争的にし、個々の質を高める努力が進んでいる気がします。
 これらの推進や問題解決のために、国立大学事務職員に求められるものはこれまで以上に大きく、また今後もさらに大きくなると思います。自分はその期待に応えたいと思い、そして応えるために必要なことはどんな障壁にぶつかったとしても実行していきたいと思っています。しかし抽象的な目的は例えそれを実現したとしても何も応えてくれません。ただ「沈黙」を守るだけの存在に向かう時、その道のりがあまりに孤立無援でたまに心が折れそうになる時があります。
 そういう時に、つくづく給与がきちんと支払われることはありがたいものだと感じることがあります。「労働にはそれに見合った報酬を与えなければならない」というのは法律上では遵守して当たり前なのかも知れません。しかし、それを当たり前に実行するためにも払われている犠牲があることを思えば、給与というものはただ漫然と受け取って良いものではないということを改めて認識させられます。

 このエントリーはこれから国立大学事務職員や国家公務員を目指す方々もご覧になるかも知れません。別に全員が全員、自分みたくくだらないことにダラダラ悩めとは言いませんが、ただ単に受け取れる額を知りたがるだけではなく、「給料を受け取る」ということが働く上でどういう意味を持つのかも、併せて考えてみることをお勧めいたします。

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