国立大学職員日記
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国立大学職員日記:記事一覧




 アクセス解析の検索ワードを見ると、筆記試験関係でこのサイトを訪れる方も少なくないようですね。
 面接試験に関しては以前のエントリで書きましたが、筆記試験に関しては特に何も書いてないので、記憶が風化しない内に書いておこうと思います。まずはデータ関係を。文章にするとダラダラと長くなるので箇条書きで書いておきます。


■大学の他に受験した公務員試験とその結果
・地方上級:筆記試験合格・面接試験不合格
・地方中級:筆記試験合格・面接試験不合格
・国家Ⅱ種:筆記試験合格・面接試験合格
・防衛庁:体調がすぐれなかったため申し込んだけど受験せず
(参考)国家公務員Ⅱ種の取得得点(平成17年度)
  ・教養35点 ・専門27点

■勉強した出題範囲(勉強した→○ 勉強せず→×)
  社会科学:○ 政治・経済・社会
  社会科学:× なし
  人文科学:○ 日本史・世界史・文学芸術・思想
  人文科学:× 地理
  自然科学:○ 化学・生物・地学
  自然科学:× 数学・物理
  一般知能:○ 判断推理・数的推理・資料解釈・空間把握
  一般知能:× なし
  文章理解:○ 現代文・英文
  文章理解:× 古文・漢文
  時事問題:せず

■勉強に使用した問題集
・ウォーク問過去問題集(LEC)シリーズ
・スーパー過去問ゼミ(実務教育出版)シリーズ
・GUTS(Wセミナー)シリーズ

■その他いろいろ
・勉強開始時期
 →試験2年前(大学2年生の夏休みから)
・勉強時間
 →教養に限定すれば、1日2~3時間くらいをコンスタントに2年間続けた。
・模試の受験回数
 →2回


 ~データはこんなところにして、以下感想を。~


■勉強した出題範囲について
 「勉強した出題範囲」とは要するに、「どれを捨て科目にしたか」ということです。が、ここでいう「勉強せず」はどちらかというと「あまり気合を入れて勉強しなかった」くらいにとらえてください。純粋な捨て科目は高校の時一切履修しなかった「物理」と「地理」のみです。この2つ以外に関しては、少なくとも上に上げた問題集3シリーズを全て解き、またその解答を一通り暗記するくらいはしました。あと数学に関してはセンター試験の時からの「超」得意分野なので、初めて解く問題集でも一通り正解できたため、「特に『勉強』はしなかった」ため、「勉強せず」に入れてます。
 時事問題に関しても補足を。時事問題に関しては問題集を使った勉強はしませんでしたが、大学3年くらいの時分には毎日新聞に目を通していたのと、「速攻の時事」に簡単に目を通すぐらいのことはしました。まぁ試験結果から言うと時事はほとんど解けてませんでしたが…。


■問題集と勉強法について
 問題集に関して、上記3シリーズは全科目(上で書いた純粋な捨て科目除く)で使用しました。例えば人文科学なら、最初にウォーク問をやり、次にスーパー過去問ゼミをやり、最後にGUTSをやったという風に。
 あと受験勉強に関して、よく問題集を「回す」という表現が使われますが、自分が回した回数は各「問題集」につき3回、各「問題」につき最低6回です。よく分からない表現なので説明します。

①1日目。あらゆる問題集に共通する勉強方法なのですが、自分は問題集を前にして、とにかくまず一度解いてみます。当然8割がた分かりませんのでその日は解答文をしっかりと読みます。例え正解していても、出題された5択の各問題のどこがどう誤っている(あるいは正しい)のかが分からなければ解答文をしっかり読みます。
②2日目。1日目にやった問題をまた解きます。当然昨日やった問題なので、あらかた分かるわけです。正解できた場合、問題のページの片隅に「○」を書き込み、正解できなかった場合は付箋紙を貼ってチェックを一つつけておきます。
③3日目。2日目に正解できなかった、付箋紙が貼られた問題を解きます。正解できれば付箋紙をはずして「◎」を書き込み、また間違った問題には付箋紙に2つ目のチェックを入れておきます。以後、この要領でその問題が解けるまで繰り返しますが、99.9%の問題は3回目くらいで解けます。希に4回やっても5回やっても解けない(というか解答を暗記できていない)問題にぶつかりますが、そういう場合、意固地になって解こうとせず、「これは自分にはできない問題なんだ」と思って解答できないことをメモして先に進むようにします。
 上記①から③が「1回目」の「回し」です。また、ちょっとややっこしくなりますが、上記①から③は「スライド方式」でやっていました。図式にすると次のような感じです。

n日目に解く問題=その日初めて解く問題+n日目前日に解けなかった問題+n日目前々日に解けなかった問題…

 分かりやすく図式にしたつもりが逆に図式にすると分かりにくいです(笑)。要するに勉強しようと思ったらまず前々日・前日に解けなかった問題の復習をして、そしてそれが終わればどんどん新しい問題を解いていったということです。


 さて2回目の「回し」ですが、これは「週末にその週に解いた問題をもう一度解く」ことをします。「間違ったら付箋紙」のルールはそのまま続行です。正解した際の「○」は1回目の「回し」の○の横に書き入れます(以後の「回し」でも同様)。こうすることで、その問題を何回回したのかが分かる仕組みです。
 3回目の「回し」は「章」単位で行います。問題集のある「章」が終わったらその「章」をもう一度解く作業をします。
 4回目の「回し」は問題集単位です。全ての章が解き終わったら問題集を最初から一通り解きなおします。
 5回目の「回し」は次の問題集が終わってからやります。具体的に言うと、ウォーク問が解き終わったら、その前にやってたスーパー過去問ゼミを解く、という風にやります。
 6回目の「回し」は最後の確認。試験1ヶ月前くらいに早足でこれまでやった問題を確認していきました。

 一番最初の「回し」では解答文をしっかり読むため、1日3~5問進むのがやっとですが、2回目くらいになれば解いた日がごく最近であるため、一通りの解答を覚えており、その週に解いた20問前後の問題は30分もあれば簡単に解けるようになります。3回目以降も同様です。問題集をもう一度、一通り解くと聞くと膨大な時間がかかるように思いますが、既に何回も解いた問題であれば1週間もたたずに一冊全ての問題に目を通すことが可能です。

 なお、これらの勉強法は大学受験の時に使っていた和田秀樹さん提案の勉強方法に基づいています。この他にも「その日最初に勉強する科目は理数系の科目」とか挙げたらきりがないし、忘れてしまったのも多々あります。興味がある方は和田さんの著作物を参照して見てください。大学受験用に書かれたものが多いかもしれませんが、公務員試験にも十分通じるものがあるかと思います。


■模試の受験回数について
 2回は少なかったと反省しています。公務員試験に関して予備校や通信教育は利用しなかった自分ですが、模試だけに関してはどんどん活用していくのが良いかと思います。10回くらい行ってもいいんじゃないかと思います。本番に弱いという方は特にです。


■最後に一言。
 自分は公務員試験対策を大学2年生の夏から始めました。なるべく早めに始めた方が良いだろうと思っての行動でしたが、勉強時間が2年に及ぶと勉強途中で若干間延びした感じがしたため、振り返って見ると「もう半年遅く始めた方がむしろ密度の濃い勉強ができたかも」と思うことがあります。
 あと教養問題の勉強をするにあたっては問題集のみを購入し、参考書の類は時事問題以外購入しませんでしたが、勉強中になによりもほしいと思ったのは高校時代に取った授業のノートでした。この辺のことに関して、大学受験の勉強の影響が国立大学事務職員への道、あるいは公務員試験の筆記試験(の教養試験)に必ずしも無関係ではないのではないか、ひいては結局偏差値の高い大学に入れた者ほど筆記試験で、少なくとも勉強時間の「短縮」ができるのではないか、うんぬんと、思うところもいろいろあるのですが、そこらへんはまぁ置いといて。とにかく一つのアドバイスとして、高校時代の授業ノートは手元に置いておいて損はないと思います。自分のように愚かにも捨ててしまったならともかく、まだ手元に残っているという方、あるいは実家においてあるという方は取り寄せて見るのも一つの手段かと思います。


 長くなりましたが以上筆記試験についてでした。何か他に聞きたい点がある方はコメント欄にでも書き込んでください。答えられる範囲でお答えします。

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 この前のエントリで少し触れた「昇給抑制期間」について、個人的に来年度以降の昇給が気になるので、法的根拠となる条文を中心に、ちょっと調べてみました。

※文中の「一般職員」とは新昇給制度の下で昇給区分がCの職員(つまり、全体の8割が該当する、勤務成績が「良好」の職員)を指します。また文中の「一般職員」は正確には国家公務員を指していますが、国立大学事務職員の場合も事情はほぼ同じなので、「一般職員=国立大学事務職員」と考えて読んでください。「号俸」も「号級」と読み替え可能です(公務員が使うのが「号俸」、国立大学では「号級」を使います)。


■まず「抑制」に先立ち、「昇給」に関する条文を示します。

 一般職員の昇給、特にその昇給する号俸の数については「一般職の職員の給与に関する法律」(以後、「給与法」)という名前の法律の第8条が定めています。

・「給与法」第8条6項からの抜粋
 「…職員を昇給させるか否か及び昇給させる場合の昇給の号俸数は、…規定する期間の全部を良好な成績で勤務した職員の昇給の号俸数を4号俸…とすることを標準として人事院規則で定める基準に従い決定するものとする。

 このように、一般職員の昇給に関しては昇給する号俸の具体的的な数字が法律によって規定されています(「通常の職員」以外の職員の昇給に関しては文言にある通り「人事院規則」で定められています。「人事院規則9-8」がそれです)。そのためこの法律により、一般職員の大部分は、年に1回、1月1日に4号俸昇給することになっています。
 これが昇給に関する「原則」であり、つまるところ「昇給抑制期間が終わったら、普通の職員は4号俸(級)昇給することになるよ」ということです。

■では次に「抑制」の部分に入っていきましょう。

 前述したとおり、一般職員は年に1回、4号俸の昇給が「給与法」という法律によって約束されています。この規定を変える、つまり規定にある昇給する号俸数を「抑制」するためにはこの法律より優先される法律、ちょっと難しく言うと、「一般職の職員の給与に関する法律」という「一般法」より優先される「特別法」が必要となってきます。
 その特別法が、「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律」(以後、「給与法等一部改正法」)という名の法律です。

 条文を見ていきましょう。「給与法等一部改正法」第13条には次のようにあります。

・「給与法等一部改正法」第13条からの抜粋
 「平成22年3月31日までにおける次の表の上欄に掲げる給与法の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。」(管理人注:興味とお時間のある方は実際に上の文章を書き替えてみてください)
 上欄:第8条第6項
 中欄:4号俸
 下欄:3号俸


 条文中に平成22年3月31日とありますが、この法律の施行が平成18年4月1日なので、この規定は「一般法の給与法には昇給は4号俸上げるってあるけど、平成19年・平成20年・平成21年・平成22年のそれぞれ1月1日の昇給では4号俸の部分が3号俸になるよ」と言っていることになります。

 これで一応の一区切りです。要約すると「『昇給抑制期間』とは昇給の際に本来4号俸昇給すべきところを3号俸に抑制される、平成18年4月1日から平成22年3月31日までの4年間を指す」ということになりますね。

■平成19年1月1日の昇給に関する例外
 さて、上記のようにまとめると、「あれ?自分は平成19年1月1日の昇給が2号俸だったんだけど?」と疑問を持つ国立大学事務職員が続発します(自分もそうでした)。この点に関しては事院規則9―8の附則57で説明されています。文言を引用します。

・「人事院規則9-8-57附則」より抜粋・一部要約
 「平成19年1月1日において、一般職員を昇給させる場合の号俸数は、…基準となる号俸数に相当する数から1を減じて得た数に、切替日から平成18年12月31日までの期間の月数を12月で除した数(一未満の端数があるときは、これを切り捨てた数)を乗じて得た数に相当する号俸数とする。

 文中の「基準となる号俸数」とは給与法に定める4号俸であり、そこから「1を減」じるのは「給与法等一部改正法の影響で1号俸分抑制する(4号俸を3号俸にする)」ことを指します。「切替日から平成18年12月31日までの期間の月数」とは9ヶ月と読み替えられる(切り替え日が4月1日を指すため)ので、上記附則はつまるところ下記の計算式を示しています。

・平成19年1月1日の昇給号俸数
  (4号俸-1号俸)×(9ヶ月÷12ヶ月)=2(小数点以下切捨て)

 こういう理由のため、平成19年1月1日の昇給で、昇給区分がCの職員は2号俸しか昇給しなかったわけです。
 なお、なぜ切り替え日が平成18年4月1日を指すのかというと、それだけで論文が三つくらい書けそうなので省略させていただきます。が、「平成18年4月1日を境に国家公務員の給与制度が大きく変わった」ことを押さえておくことは非常に大事です。実際にこの日を境に号俸が4分割されたり、昇給の日が1月1日に統一されたり、俸給表が一新されました。また給与法や人事院規則もこの日に大きく改正されました。給与法等一部改正法などはこの日から施行されています。

 また平成19年1月1日の昇給区分に関してのみ、新しい昇給制度が始まったのにもかかわらず、昇給区分がA・B・C・D・Eの五段階ではなく、古い昇給制度(特別昇給・普通昇給が使われていた制度)の「特に良好」・「良好」・「良好であると認められない」の3段階であるのも特徴のひとつです。これに関しては詳しい資料が見つけられませんでした。なぜこうなったのか知っている人がいれば一報ください。


■まとめ
 さぁ長い道のりでしたが、以上をまとめると昇給抑制期間中の昇給区分Cの国家公務員、および国立大学事務職員の昇給数は各年ごとに次のようにまとめられます。

平成19年1月1日  2号俸
平成20年1月1日  3号俸
平成21年1月1日  3号俸
平成22年1月1日  3号俸
  ~昇給抑制期間終了~
平成23年1月1日から4号俸

 話を簡単にするために、これまでは全て昇給区分Cの職員に限って話をしてきましたが、それ以外の昇給区分に関しても補足しておきましょう。原則は全て話しましたので、各昇給区分の数字を年度毎に書き出します。区分は左から順に、A・B・C・D・Eです(平成19年はAとBが「特に良好」、DとEが「良好であると認められない」です)。

平成19年1月1日 5・5・2・1or0
平成20年1月1日 7・5・3・1・0
平成21年1月1日 7・5・3・1・0
平成22年1月1日 7・5・3・1・0
  ~昇給抑制期間終了~
平成23年1月1日 8・6・4・2・0

 これらの数字は「平成19年の特例」と「抑制期間中は号俸が1減る」ことを念頭に、人事院規則9-8別表7の2を参照すればすればすぐに判明します。それ以前に昇給期間中の昇給号俸数をまとめたものがあちらこちらにあると思うので、探して見てください(たとえばこのファイルの最後のページとか)。


■最後に

 今回は昇給抑制の法的根拠とどれだけ抑制されるのかを中心に書きましたが、「なぜ昇給が抑制されるのか」については触れていません。これはその点に関して充分な資料を見つけることができなかったためです。ちなみに自分が唯一見つけたのは、「人事院月報(06年3月号)」の4ページ下段の短い一文です。それによると、昇給抑制は、新しい給与制度における「新給与制度下の俸給と平成18年3月31日時点の俸給の差額の支給」と、地域手当などの新手当の導入に向けての、財源確保のためだそうです。
 「新給与制度下の俸給と平成18年3月31日時点の俸給の差額の支給」についてはこれ一つでまた新しいエントリが掛けてしまいそうなので省略しますが、いつか資料が揃えばこれに関しても調べて見ようと思います。
 と言うわけで、昇給抑制期間の「なぜするか?」の部分はかなり曖昧です。知っている方などいらっしゃれば、ご意見や参考URLをお教えいただきますよう、お願いいたします。

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