国立大学職員日記
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国立大学職員日記:記事一覧




■はじめに
 今回のエントリーは「国立大学」に勤める「教員」に関するものです。いつも事務職員系のエントリーが多いのですが、たまには同じ国立大学に勤める教員さんの方にも目を向けてみようと思い、とりあえずその「人数・年齢・年収」をまとめてみました。
 Web上には既に「大学教員の年収」などのデータがいくつかあるのですが、日本全国・全職種をごっちゃにして「平均年収○○万円」としてもいまいちピンとこないため、今回のエントリーでは「各国立大学別・各職種別」に細分化してあります(全国立大学でまとめたデータも最後にあります)。


■データについて
 参考にしたデータは各大学の「国立大学法人○○大学の役職員の報酬・給与水準について」という資料で、これは86ある国立大学の全てが公表しています。データが「平成21年度」になっていますが、平成23年元日に得ることのできる最新の情報が「平成21年度」のものであるため、この点はご容赦ください。
 各国立大学の上記資料は文部科学省のWebサイトにリンク一覧があります。下記にそのページへのリンクを貼るので、より詳しく知りたくなった方は参照ください。

資料6 国立大学法人等の役職員の給与水準を公表しているホームページ等一覧:文部科学省


■データの不正確性について
 今回自分がまとめたデータは不正確であることをあらかじめ申し上げます。これは次の理由によるものです。

(1)情報公開の限界によるもの
 例えばある大学に「助手」が1名しかいない場合、その大学で「助手」の「平均年収」や「平均年齢」を公表すると、その「助手」の個人情報が公表されてしまうため、年収や年齢は非公開となります。今回データをまとめるにあたっては、「人数・年齢・年収」の3つのデータがそろっていない場合、その3項目の全てを空白として、合計人数などにもこれを反映させていません。



(2)「教授」「准教授」以外のデータの不存在
 大学によっては「教授」と「准教授」のデータしか掲載していないところがあります。実際には「講師」や「助教」がいるにも関わらず、なぜ「教授」と「准教授」のデータしか掲載していないかというと、これは総務省に少々の責任があるようです。
 各国立大学の「国立大学法人○○大学の役職員の報酬・給与水準について」という資料は、総務省が出している「国立大学法人等の役員の報酬等及び職員の給与の水準の公表方法等について(ガイドライン)」に沿って作成されるのですが、このガイドラインの雛形の、教員の人数・年齢・年収などのデータを入れる部分が、次のようになっています。



 製作者の意図は恐らく「こんな風に職種を書いていってね」ということだと思うのですが、大学によっては本当に見本どおりに「教授」と「准教授」以外のデータを掲載していないところがあり、この影響で教員の結構な数のデータが揃っておりません(それとも本当に総務省から「教授」「准教授」以外のデータは掲載しなくてもよい旨の通知があったのか、情報をお知りの方がいればコメント欄にお書きいただけると助かります)。

(3)入力ミス?
 調べていて発見したのですが、「東京医科歯科大学」の「講師」の「年収」データが明らかにおかしいです。これは恐らくデータの打ち間違いだと思います。前後の四分位の情報を使って平均を出そうかとも思いましたが、統計情報の詳しい知識もないし、あるいは、もしかして本当に何か意図がある数字なのかも知れないので、結局そのまま掲載します。



 以上の理由により、今回まとめたデータは不正確です。ですので、あくまで話のネタくらいに考えて、気楽にご覧くださいますよう、お願いいたします。












■終わりに
 まとめる前は、大きな大学と小さな大学では年収や年齢などにかなりの開きがあるだろうと思っていました。実際、ある程度の差はありましたが、個人的にはその格差は想像よりもかなり少ないものでした。
 国立大学の教員のデータが上記のような結果になる、というのはどのような評価を受けるものなのでしょうか。「護送船団方式で手厚く保護しているから数値が似かよるのであって、効率的な運営のためにはもっと数字に強弱をつけたほうが良い」なんて言われるのでしょうか。それとも「均衡ある研究・教育水準の向上のためには効率化第一ではいけなく、国立大学教員にある程度の年収保証を設けて人材が特定機関や特定分野に偏らないように配慮すべきである」とか言われるのでしょうか。あるいは「各国立大学間の格差以前に、日本の研究・教育全体に対する支出の、GDPに対する割合は、他の先進国と比べて低すぎる」という話を出すべきなのでしょうか。
 こういうのを考えるのは面白いのですが、一体自分に何が出来るのか、と考えると空しいものです。給与体系は国レベルのお話。国会議員様や有識者様や文部科学省の官僚様が利権を効かせる領域です。法人化したとは言え、一国立大学が給与体系で独自路線を走るなんてことはもうしばらくは無理そうです。末端事務職員の自分も、今年もせいぜい、つまらない書類の記入ミスの修正を御多忙中の先生方にお願いして、貴重な研究の時間を奪うことくらいしかやることないのだろうな、と、今から少々うんざりしています。こんなことやるために国立大学事務職員になったんじゃないんですけど、ま、新年も明けたことですし、気持ち新たに元気出して行きましょうか。


※平成23年11月1日追記
 平成22年度の平均年収を別エントリーで作成しましたので、よろしければこちらもごらんください。
 →平成22年度 国立大学教員年齢別「平均年収」一覧

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