国立大学は独立行政法人化したとはいえ、その収入には税金が多く使われています。当然、横領なんて持っての他、無駄遣いも許されないし、いい加減な方法でその税金を使ってもいけないわけです。「税金は公正に使われなければならない」、この論理は正直言って正しい。しかし、この正しさにはある種の「面倒臭さ」が付随するわけです。
ではこの面倒臭さとはなにか。端的に言って、「税金をきちんと使うために税金を使う」ことの面倒臭さなんです。
例えば住居手当。国立大学では「○○月からアパート住み始めたので住居手当下さい」の一言じゃ住居手当は出ません。住居手当だって税金から支出するんです。その支出の内容は公正であり、ましてや職員の虚偽・誤りの申告で大学側が多めに手当てを出してしまうような失態があることは許されません。そこで大学の人事・庶務係は住居手当の申請があると必要な書類を職員に用意してもらいます。賃貸に引っ越したなら「住居届(引っ越したことの申請書みたいなもの)・賃貸契約書のコピー・入居証明書(大家さんにその職員がそこで暮らし始めたことを証明してもらうもの)・初月分の家賃の領収書」等が典型。家を購入しました、家を新築しましたってんならさらに登記などがからむ複雑な手続きとなってしまいます。
これだけの書類を集めるのも職員にとっては手間ですが、コレを吟味し、さらに稟議(決裁するために複数の係に書類を見てもらう作業)する人事・庶務係もかなりの手間です。これだけいろいろやって、OKがでた上でようやく給料に反映されます。
しかし、これで済むならまだ民間会社でだってやってるレベルかもしれません。さらに面倒臭いことに、手当関係は一年に一回、「今支出されている内容が実態に即しているかどうか」のチェックをしなければならないのです。これを「現況調査」と呼びます。これがとにかく面倒臭い。特に人件費なんて考えたら、100人に1人いるかいないかの誤支給者のために、数十人が数百時間かけて書類をチェックするわけで、もう採算的に考えたら絶対やってはいけない作業だと思います。
僕のつたない文章では、上記の面倒臭さは伝わらないかもしれません。要するに、極めて単純に言うと、「山狩りをしてでも万引き少年を捕まえなければならない」面倒臭さというものが、税金を使うものにはついてまわるわけです。
できることなら一度、財務関連の上層部に「10万円の税金を支出するには税金が何万円必要なんでしょうか?」と聞いてみたいです…。
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