国立大学職員日記
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■はじめに
 今回のエントリーは6月末日に公表された各国立大学法人の報酬等のデータを基にして作成した、平成23年度における国立大学教員の年収に関するものです。
 教員に限らず、国立大学法人の給与に関する話題は国家公務員給与削減法案の影響を受けて注目されていますが、「どのくらい給与が下がるか」の前に「そもそもどのくらいの給与を受けているのか」の事実認識も重要だと思いますので、このエントリーがそのような把握の一助となれば幸いです。
 国立大学教員の平均年収に触れたエントリーは何度か作成していますが、今回は特に「年収」に特化した内容となっています。また分かりやすいようにとランキング形式にし、データ上も偏差値や平均値を利用した数値も入れていますが、下のような注意事項もありますので、この点ご注意願います。

■データについて
 本エントリーに用いたデータは全て「文部科学省所管独立行政法人、国立大学法人等及び特殊法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準(平成23年度)の公表について」から取得しました。
 データの集計にあたっては「教授・准教授・講師・助教・助手」だけを対象としました。大学によっては教務職員、研究員、副学長の区分でデータを集計しているところありましたが、これらは省略しています。
 上記の公表データでは、職種の人数が若干名であることから、公表すると個人の年収を特定される恐れがあるため、あえてデータを非公表としている部分がありました。これらについても今回のデータには含めていません。
 本エントリー内の「年収」は年間給与額の総額であり、毎月受け取る月例給与の他、いわゆるボーナスである期末手当と勤勉手当を含み、且つ、いわゆる「額面」の金額です。

■年収に関する注意(重要)
 作っておいてなんですが、実は平均年収を「国立大学内でランキングすること」にはあまり意味がありません。なぜなら、国家公務員の給与体系では「地域手当」と呼ばれる勤務官署所在地の物価等に応じて支給される手当が、給与支給総額に大きな影響を与えているからです。早い話が、全く同じ条件化で給与計算をしたとしても、必ず地方の教員は中央都市部の教員よりも給与が低くなり、また、ある教員が中央都市部から地方に移っただけで、原則として年収は下がる仕組みになっています。このように、実は日本の各地域に散らばっている国立大学教員の平均年収を単純な額面上で比較してもあまり意味がないのです。
 しかしこのように書くと、「それでは物価指数を考慮するとどこが一番平均年収が「お得」と言えるのか?」という疑問が出てくるかと思います。これについては各都道府県の物価指数も考慮した一覧を現在作成中です。出来れば次のエントリー(8月中旬頃)で掲載しようと思いますので、「国立大学間での教員の平均年収の比較をしたい」「他の国立大学への転勤を考える際の参考にしたい」という場合には、そちらも参照ください。

■データの詳細

(データの見方)













■大学全体・職種別ランキング






























■おわりに
 こういうランキングを作ると何でもかんでも1位にくるのが東京大学ですが、今回のランキングでは「一番教員の平均年収が高い国立大学」は「お茶の水女子大学」で、職種別には「東京医科歯科大学」がほぼ独走状態(「助手」だけ「東京大学」が1位)という結果でした。
 ランキングにしてみると、やはり東京勢が圧倒的に強く、各中央都市部の大学がそれに続いています。これが物価指数を考慮に入れるとどう変わるのかは、是非次回をお待ちください。

※ちなみに「職種別」でほぼ「東京医科歯科大学」が独走状態なのに、なぜ総合では順位が低いのか、という疑問を持たれる方もいるかと思います。これについては各職種の「人数」の比率が影響しています。仮に全職種で1位を取ったとしても、例えば教授よりも助教の割合が高いと、「教員総合」の平均年収が他の大学と比べて低くなる、という現象が起こるのです。

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