■はじめに
今回は国立大学、特にその大学病院や医学部附属病院に勤務する看護師さんらの年収情報等をまとめてみました。
このブログで「看護師」を扱うことを意外に思われる方がいるかもしれませんが、実は国立大学という機関はめちゃくちゃたくさんの看護師さんを抱えています。全体で見れば事務職員約2万6千人に対し、看護師さんは約1万8千人です。これだけでもかなりの人数がいることが分かりますが、大学によっては事務職員以上に看護師がいる国立大学もかなりたくさんあります(下図参照)。こういう大学では早い話が、「事務職員vs看護師」でガチの殴り合いが始まれば事務職員がボコボコにされてしまっても全然不思議ではない訳で、意外と国立大学事務職員は看護師さんに頭が上がりません。
さてそんな看護師さん達ですが、幸い国立大学では毎年度に給与水準を公開しているため、各大学ごとの詳細な年収情報を収集することが出来ました。例のごとく、一部の情報はグラフを手作業で数値化したため、完全なものではありませんが、これらの一覧が国立大学に勤める看護師さんの労働条件等の参考になれば幸いです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/05/e94e50acbec00f409fbdf6492a764955.png)
■平成22年度 国立大学病院看護師「平均年収・人数」等の一覧
対象となる42国立大学分を一度に載せるとページが重くなるため、各地区毎に分割して掲載します。
→ 東北・北海道地区
・北海道大学
・旭川医科大学
・弘前大学
・東北大学
・秋田大学
・山形大学
→ 関東・甲信越地区
・筑波大学
・群馬大学
・千葉大学
・東京大学
・東京医科歯科大学
・新潟大学
・山梨大学
・信州大学
→ 近畿・中部地区
・富山大学
・金沢大学
・福井大学
・岐阜大学
・浜松医科大学
・名古屋大学
・三重大学
・滋賀医科大学
・京都大学
・大阪大学
・神戸大学
→ 四国・中国地区
・鳥取大学
・島根大学
・岡山大学
・広島大学
・山口大学
・徳島大学
・香川大学
・愛媛大学
・高知大学
→ 九州地区
・九州大学
・佐賀大学
・長崎大学
・熊本大学
・大分大学
・宮崎大学
・鹿児島大学
・琉球大学
※使用した情報について
基本的な情報は文部科学省及び各国立大学が公表している「国立大学法人等の役職員の給与等の水準(平成22年度版)」を使用しています(一覧はこちら)。病院名や住所については「国立大学病院看護部長会議」のページから引用しました。
年収や人数について、「職種」の部分は公表されている数値を直接引用しているので、データの転載間違いが無い限り正確なものです。また「職種」欄の「0人」や「0.0万円」の表記は、「該当者無し」か「個人が特定されるため公表せず」を意味しています。今回、特に両者は区別していませんので、人数が「0人」なら「該当者無し」、人数が0人ではないのに年収が載っていなければ「個人が特定されるため公表せず」だと思ってください。ちなみに一部の大学で明らかにその職種に該当者がいるにも関わらず(また個人特定をされる恐れが無いにも関わらず)、年収や人数を公表していないところがあります。恐らくこれは総務省が作成した作成見本(8頁)にその職種が載っていなかったので「載せなくていいや」と思って載せていないのだと思います。この対応で問題がないかどうかは知りませんが、個人的には出来れば載せてほしいです。あと「職種」について、一部の大学では「副看護部長」などの名称が違っているところもあったのですが、今回は比較しやすいように全大学で職種名を統一しています。
「年齢層」の部分は公表されているグラフを手作業で数値化したため、例のごとく誤差があること前提です。具体的な数値は人数の誤差で「-1.6773%~+0.8304%」、年収の誤差で「-2.966%~-0.018%」です。
なお「全体人数」などは「看護師の職種だけで給与水準をまとめた資料」が上記の給与等の水準の公開時に資料として作成されていますので、各年度のそれを使用しています。「ラス指数」とは「ラスパイレス指数」のことで、国家公務員の平均水準を100とした場合の、各自の給与水準を表しています。これについて、「一見すると年度経過にしたがって平均年収が下がっているように見えても、実はラスパイレス指数が上がっている(つまり対国家公務員で考えれば受け取る年収は相対的に増えている)」という場合もあるので、平均年収などと併せてラスパイレス指数も参照してみてください。
その他、情報はなるべく正確を期したつもりですが、個人で作っているもののため一部に間違いがあるかも知れません。ひどいものは直すつもりですが、あくまで話のタネにする程度の参考として本エントリーは見ていただきたく、正確な数値は情報源も明記していますので、そちらを参照くださいますよう、よろしくお願いいたします。
■今後の話
今回のエントリーを作成していてふと思ったのですが、「年齢層」が4年毎に作成されていることに鑑み、例えば平成18年度と平成22年度の各「年齢層」の推移を調べることによって看護師の離職率を(完全に正確なものではなく、あくまで全体人数の「見かけ上」のものですが)算出することが出来るのではないでしょうか。今回は時間が無かったためこのデータの作成は断念しましたが、大学病院によっては看護師の離職率を下げようと努力しているところもあると聞いていますので、これはいつか時期を見つけて作成してみようと思っています。
この他、看護師さん(医療職(三)俸給表系職員)の給与についてはその体系(給与決定など)や実態が国立大学事務職員と異なった独自の部分も多いと聞くので、コツコツ情報収集してエントリーとしてまとめられるものはまとめてみようと思っています。
■おわりに
ドイツの「トーマス・マン」という小説家の作品に「魔の山」という長編小説があります。作品それ自体は入院している主人公を中心に話が進むのですが、自分はこの作品に出てくる医師の医療にかける情熱、またこれは文中に出てくる表現なのですが、「病気なんてナンセンスなものはこの俺が全て解決してやる」という言葉が非常に好きで、ことあるごとに思い返して仕事のやる気を上げています。
自分はこのエントリーで最初に「国立大学事務職員は人数の多い看護師には頭が上がらない」なんて書きましたが、そんなことを抜かしても、毎日医療現場で勤務に励む看護師さん達には、医師やコメディカルの方々も含め、同じ大学に勤務する職員として心底頭が上がりません。国立大学は法人化してしばらくの時が経ちましたが、まだまだ煩雑な事務手続きで医療現場にいらぬ手間を掛けさせている面もあるかと思います。この抜本的な改善は決して一筋縄では行かないでしょうが、いつかは自分も、小説に出てきた医師のように「そんなナンセンスなもの」を自分の手で解決してやろうと、虎視眈々と時機を狙っております。
現在、大学病院を持つ国立大学は日本に42あります。自分はその中の一つにおりますので、もし自分と目的を同じくする看護師さんがいるのであれば、いつか一緒に働けることを願っております。
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