国立大学職員日記
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国立大学職員日記:記事一覧




 ボーナス出たので毎回恒例の期末・勤勉手当額をまとめて見ました。
 今回は特にコメントはありません。あえて言うなら思っていたよりも手当額は減少しなかったなということくらいです。

 勤続年数  1年目(2006年)  2年目(2007年) 
支給月 6月12月 6月12月
期末手当74,000280,000250,000289,000
勤勉手当37,000124,000127,000135,000
共済短期-3,600-13,000-11,000-12,000
共済長期-8,000-30,000-28,000-32,000
雇用保険-1,000-3,000-2,000-3,000
所得税-8,000-29,000-13,000-15,000
手取金額91,000330,000323,000362,000
勤続年数3年目(2008年)4年目(2009年)
支給月 6月12月 6月12月
期末手当260,000298,000239,000287,000
勤勉手当153,000134,000128,000128,000
共済短期-12,000-13,000-11,000-12,000
共済長期-31,000-32,000-28,000-31,000
雇用保険-2,000-3,000-1,000-2,000
所得税-15,000-15,000-20,000-15,000
手取金額354,000369,000308,000355,000


 表にまとめてみると今回が8回目のボーナスな訳ですが、もらう度に「明らかに金額未満の働きしかしてないよなぁ…」と世間の皆様に申し訳ない気分でいっぱいです。ボーナスを出す前に事前に職員から減額希望者を募って、浮いた分の金額を研究費とかに流用できるようにすれば良いのに…、とかふと考えてしまいます。我ながら嫌なことを考える事務職員ですね。



※平成22年12月5日追記
期末手当と勤勉手当についてまとめなおしましたので、こちらもご覧ください。
期末手当と勤勉手当について

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 自分のいる大学には医療系の学部があるため、解剖献体の慰霊祭が行われます。人手が足りないとのことで急遽駆り出されたのですが、なかなか考えさせられるところの多い式典で大変ためになったと今では思っています。ネットで各大学の慰霊祭や慰霊式を探してみても、どこもこじんまりとした内容のものが多かったので、今回は解剖献体の慰霊式についてわかったことをエントリーしてみました。


 まず、慰霊祭には解剖献体者の遺族を始め、学内・学外および教職員・学生まで様々な人が出席します。
 学内においては、まず教員サイドから医学部・歯学部・保健学部等の学部長を筆頭に、学長と数名の理事、それに各医療系研究科の教授が出席します。附属病院からも病院長はじめ病院の上層部の医師数名、それに看護部からは看護部長をはじめ看護師長クラスまで出席するので、かなりの人数が出席します。事務サイドからの出席は、解剖が「解剖実習」という講義として扱われるために学務部長が代表として出席し、これに各医療系学部の事務長と病院の医事課の課長が出席します。学生サイドからは解剖実習を行う学部のある特定の学年の学生が全員出席します。学内全員では恐らく200名以上の出席があったと思います。
 学外からの出席者は「来賓」として扱われます。学内からの出席者から比べると人数は非常に少ないですが、医療関係者として都道府県庁保健局の局長が。献体の解剖とは直接関係ありませんが、司法解剖関係で「解剖」とつながりのある都道府県警察本部の刑事部から捜査課と鑑識課の各課長、変死体の検視などを行う検視官などが出席します。また警察本部と同様に海上保安庁からも課長クラスの人間が数名出席します。
 これらの方々と並んで、遺族の方が出席します。献体者1名に付き何人までという制限はありませんので、献体者の配偶者をはじめ孫世代までの一家族で来られたり、また恐らく友人や知人であろう方々も見受けられました。大学側からは遺族に対してのみ案内状を送っているのですが、慰霊祭本部からは例え案内状を持っていなくても遺族用の席は十分に確保してあるので友人等の方々もお通しするよう指示がありました。

 慰霊祭は大学の講堂を一つ貸し切って行います。
 慰霊祭というと医療関係の教員や学生の一部しか大学側からは出席しないのであまりその存在を知られていないのですが、その独特な式典としての性格上から、入学式や卒業式に勝るとも劣らないレベルの荘厳さで運営されます。会場設営や司会進行係などは外注で頼みますし、学長も燕尾服を着用して出席します。
 学生さんなんかはいかにも学生然とした雰囲気で、おそらく入学式用に買ったスーツになるべくモノトーンのものを選んできたネクタイを付けているくらいなのですが、さすがに式が始まると全員が整然とします。自分は医療系学部の出身ではなかったので真意の程は分かりませんが、傍から見てるとこういう式典への出席も「医学」とか「人命の尊厳」を学ぶ上で大切な講義なのだろうなといった印象を受けます。

 式の流れは大まかに次の通りです。
   1.開会の辞
   2.献体者御芳名奉読
   3.黙祷
   4.追悼の辞
   5.献花
   6.謝辞
   7.閉会の辞
 式自体は無宗教の形式で行われますが、調べてみるとかつてはお坊さんを呼んで仏教形式で行われていたようで、十数年くらい前から無宗教の形を取るようになったようです。一般の人でも信じる宗教は様々ありますが、特に献体を希望される方なんかは宗教的な価値観から献体を希望される場合もありえそうなので、個人的には献体者の宗教的価値観に反しないよう、無宗教か、あるいは特定の宗教に限定されない形式で式を執り行うようになったのは良い選択であったと思います。
 「追悼の辞」と「謝辞」の二つがありますが、「追悼の辞」は各学部長が献体者の「御霊」に対して行うのに対して、「謝辞」は遺族の方々に対して行います。ですので、「追悼の辞」は雰囲気としては(例えがあまり適切ではないかもしれませんが)運動会の選手宣誓のような感じとなります。式の壇上には献体者の「御霊」が「居て」、それに対して死後の肉体を与えてくれたことへの感謝の意と、医学研究のより一層の励行を誓います。「謝辞」においては医学研究における解剖の重要性とそれに伴う献体者の必要性などから、協力くださった献体者の遺族の方々へのお礼の言葉などが話されます。
 「献花」は出席者全員が行います。学生は人数が多いので各学部から代表者を選出して行います。
 最後に「閉会の辞」を持って式は終了します。自分の大学のみの慣行かは分かりませんが、閉会した後に遺族の方に壇上に飾ってある供花を自由に持ち帰って良い旨のアナウンスがあります。大学側で供花を包むセロファン等も用意していたためか、結構たくさんの遺族の方々が供花を思い思いの形にして持ち帰っていました。


 慰霊式を終えると、なかなか言葉では表しにくい思いが胸中に残りました。多分それは世間一般でいう「畏敬の念」というものなのでしょう。別に自分はこれまで葬儀に出席したことが無かった訳ではないのですが、親しかった故人とのお別れの儀式という通常の「お葬式」とは違い、生前に会ったこともない献体者が献体者自身も会ったことのない人達のために死後の体を奉げるということを目の当たりにすると、個人的な感情を抜きにした死者に対する尊敬の念というものを感じずにはおれませんでした。
 自分がもっと信心深ければこの胸中の思いを説明して、それをどう人生に役立てるかを教えてくれる神主さんなり牧師さんなりお坊さんなりが身近にいたかもしれませんが、生憎自分の宗教観念は人並みかそれ未満のようで、一人暮らしの部屋には神棚も十字架も仏壇もないような状況です。それでも慰霊式の終わりに自分にも分けてもらった供花の白百合見ているだけで、たまにその「お役所仕事」ぶりが嫌になる国立大学の事務業務にも、献体者をはじめ様々な方の思いが込められているのだろうなと、ふと感慨深くなったりします。仕事が嫌になることがあったらまた窓辺に白百合でも飾ってみようかなとか思ったりと、ちょっと働くことの意義というやつを考えさせてくれた慰霊祭でした。


<画像はコスモス。百合の写真は撮り忘れました>


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